源氏イラスト訳【若紫260】少納言乳母
少納言ぞ聞こえたる。
「問はせたまへるは、今日をも過ぐしがたげなるさまにて、山寺にまかりわたるほどにて。…」
ーーーーーーーーーーーーーーー
YouTubeでも「イラスト訳」の動画を作成しています。
見るだけで楽に、古文の速読力が身についてきます。
【源氏物語イラスト訳】
少納言ぞ聞こえたる。
訳)少納言の乳母がお返事申し上げた。
「問はせたまへるは、今日をも過ぐしがたげなるさまにて、
訳)「お見舞いくださった方(=尼君)は、今日一日も過ごせそうもないような容体であって、
山寺にまかりわたるほどにて。
訳)北山の寺に 移って参ります ところでして。
【古文】
少納言ぞ聞こえたる。
「問はせたまへるは、今日をも過ぐしがたげなるさまにて、山寺にまかりわたるほどにて。…」
【訳】
少納言の乳母がお返事申し上げた。
「お見舞いくださった方(=尼君)は、今日一日も過ごせそうもないような容体であって、北山の寺に 移って参ります ところでして。…」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
■【少納言】…少納言の乳母(めのと)。若紫付きの女房
■【ぞ】…強意の係助詞
■【聞こえ】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」連用形
※【聞こゆ】…「言ふ」の謙譲語(作者⇒光源氏)
■【たる】…完了の助動詞「たり」連体形
■【問は】…ハ行四段動詞「問ふ」未然形
※【問ふ】…訪問する。見舞う
■【せ】…尊敬の助動詞「す」連用形(最高敬語)
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(少納言乳母⇒光源氏)
■【る】…完了の助動詞「り」連体形(準体法)
■【は】…取り立ての係助詞
■【をも】…対象の格助詞+強意の係助詞
■【過ぐし】…ナリ活用形容動詞「をかしげなり」已然形
※【過(す)ぐす】…過ごす。暮らす
■【~難(がた)げなり】…~できそうもない
■【さま】…様子。状態
■【に】…断定の助動詞「なり」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【山寺】…北山の寺
■【に】…場所の格助詞
■【まかり】…~て参ります。おいとまして~する
※【まかる】…「行く」の謙譲語(少納言乳母⇒都)
■【わたる】…移る
■【ほど】…時。程度
■【に】…断定の助動詞「なり」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「少納言」というのは、
若紫付きの乳母であう「少納言の乳母(めのと)」の女房名。
「問はせたまへる」とは、尼君のことです。
尼君は病気が重篤なので、直接お見舞いの返事を申しあげることができず、
少納言の乳母を通じて、光源氏にお返事を申し上げたのですね。
会話文のなかでは、最高敬語が頻繁に出てくるので、
気をつけてくださいね!