源氏イラスト訳【若紫255】shut up.
人びと、いとかたはらいたしと思ひて、「あなかま」と聞こゆ。
「いさ、『見しかば、心地の悪しさ、なぐさみき』と、のたまひしかばぞかし」
と、かしこきこと聞こえたりと、思してのたまふ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
YouTubeでも『源氏物語』を速習できる動画を作成しています。
けっして面白いものではありませんが、
がんばって視聴してもらうと、古文の速読力が身についてきます。
ためしに見てみてくださいねっ♪
【源氏物語イラスト訳】
人びと、いとかたはらいたしと思ひて、
訳)女房たちは、とてもきまり悪いと思って、
「あなかま」と聞こゆ。
訳)「しっ静かに」と申し上げる。
「いさ、『見しかば、心地の悪しさ、なぐさみき』と、のたまひしかばぞかし」
訳)「あら、『会ったところ気分の悪いのも、気が紛れた』と、おっしゃったからよ」
と、かしこきこと聞こえたりと、思してのたまふ。
訳)と、もったいないことを聞いて理解できたと、お思いになっておっしゃる。
【古文】
人びと、いとかたはらいたしと思ひて、「あなかま」と聞こゆ。
「いさ、『見しかば、心地の悪しさ、なぐさみき』と、のたまひしかばぞかし」
と、かしこきこと聞こえたりと、思してのたまふ。
【訳】
女房たちは、とてもきまり悪いと思って、「しっ静かに」と申し上げる。
「あら、『会ったところ気分の悪いのも、気が紛れた』と、おっしゃったからよ」
と、もったいないことを聞いて理解できたと、お思いになっておっしゃる。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
■【人びと】…女房たち
■【いと】…とても
■【かたはらいたし】…きまり悪い。恥ずかしい
■【と】…引用の格助詞
■【思ひ】…ハ行四段動詞「思ふ」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【あなかま】…しっ静かに
■【と】…引用の格助詞
■【聞こゆ】…「言う」の謙譲語(作者⇒若紫)
■【いさ】…ええと。あら
■【見】…マ行上一段動詞「見る」連用形
※【見る】…会う
■【しか】…過去の助動詞「き」已然形
■【ば】…順接確定条件(偶然条件)の接続助詞
■【心地(ここち)】…気分
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【悪(あ)しさ】…悪いこと
■【なぐさみ】…マ行四段動詞「なぐさむ」連用形
※【なぐさむ】…気が紛れる
■【き】…過去の助動詞「き」終止形
■【と】…引用の格助詞
■【のたまひ】…ハ行四段動詞「のたまふ」連用形
■【のたまふ】…「言ふ」の尊敬(若紫⇒尼君)
■【しか】…過去の助動詞「き」已然形
■【ば】…順接確定条件(原因・理由)の接続助詞
■【ぞかし】…~だよ
※【ぞ】…強意の係助詞
※【かし】…念押しの終助詞
■【と】…引用の格助詞
■【かしこき】…ク活用形容詞「かしこし」連体形
※【かしこし】…賢明だ。かしこい
■【聞こえ】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」連用形
※【聞こゆ】…「言ふ」の謙譲語(作者⇒尼君)
■【たり】…完了の助動詞「たり」終止形
■【と】…引用の格助詞
■【思し】…サ行四段動詞「思す」連用形
※【思(おぼ)す】…「思ふ」の尊敬語(作者⇒若紫)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【のたまふ】…「言ふ」の尊敬語(作者⇒若紫)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
若紫は、光源氏が聞いているとも知らず
好き勝手なことを言ってるみたいですね!
でも、光源氏からしたら、悪口ではなく
気分のよくなる内容だったことでしょう。
「聞こえたり」は、
「申し上げた」とも訳出できますが、
それなら、「賢いことを申し上げた」となります。
ま、これでもいいのですが、
ここは、「かしこし」=「恐れ多い」という重要古語で訳出しました。
それなら、
「恐れ多い・もったいないことを聞いて理解できた」となります。
こちらのほうが、
文脈のつながりが良さそうですね。