源氏イラスト訳【若紫254】声
あなたより来る音して、
「上こそ、この寺にありし源氏の君こそ、おはしたなれ。など、見たまはぬ」
とのたまふを、
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【源氏物語イラスト訳】
あなたより来る音して、
訳)向こうからやって来る足音がして、
「上こそ、この寺にありし源氏の君こそ、おはしたなれ。
訳)「祖母上さま、この前の寺にいた源氏の君が、いらっしゃっているそうね。
など、見たまはぬ」とのたまふを、
訳)どうして、お会いなさらないの」とおっしゃるのを、
【古文】
あなたより来る音して、
「上こそ、この寺にありし源氏の君こそ、おはしたなれ。など、見たまはぬ」
とのたまふを、
【訳】
向こうからやって来る足音がして、
「祖母上さま、この前の寺にいた源氏の君が、いらっしゃっているそうね。どうして、お会いなさらないの」
とおっしゃるのを、
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■【あなた】…あちら。向こう
■【より】…起点の格助詞
■【来る】…カ変動詞「来」連体形
■【音】…足音
■【し】…サ変動詞「す」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【上】…ここでは、尼上をさす(若紫からみたら祖母上)
■【―こそ】…人について、呼びかける意を表す接尾語
■【この】…それ以来の。この前の
■【に】…場所を示す格助詞
■【あり】…ラ変動詞「あり」連用形
■【し】…過去の助動詞「き」連体形
■【源氏の君】…光源氏のこと
■【こそ】…強意の係助詞(係り結びの法則)
■【おはし】…サ変動詞「おはす」連用形
※【おはす】…「来」の尊敬語(若紫⇒光源氏)
■【た】…完了(存続)の助動詞「たり」連体形撥音便の無表記
■【なれ】…伝聞の助動詞「なり」已然形
■【など】…どうして
■【見】…マ行上一段動詞「見る」連用形
※【見る】…会う
■【たまは】…ハ行四段動詞「たまふ」未然形
※【たまふ】…サ行四段動詞「思す」連用形
■【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形
■【と】…引用の格助詞
■【のたまふ】…「言ふ」の尊敬(作者⇒若紫)
■【を】…対象の格助詞
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若紫の登場です!
光源氏が、「なんとか、声だけでも聞かせて」とお願いしている、ちょうどその時に、
若紫の声が聞こえてきた、という設定です。
しかも、その内容は
光源氏自身のことみたい…!