源氏物語イラスト訳【若紫205】あさか山
「あさか山浅くも人を思はぬになど山の井のかけ離るらむ」
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【源氏物語イラスト訳】
「あさか山浅くも人を思はぬに
訳)「浅香山ではないが、浅い気持ちで彼女のことを思っているのではないのに、
など山の井のかけ離るらむ」
訳)どうして山の井戸に影が宿らないようにわたしからかけ離れていらっしゃるのでしょうか」
【古文】
「あさか山浅くも人を思はぬになど山の井のかけ離るらむ」
【訳】
「浅香山ではないが、浅い気持ちで彼女のことを思っているのではないのに、どうして山の井戸に影が宿らないようにわたしからかけ離れていらっしゃるのでしょうか」
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■【あさか山(安積山)】…歌枕。福島県郡山市にある山。浅香山とも
■【浅(あさ)く】…ク活用形容詞「浅し」連用形
■【も】…強意の係助詞
■【人】…ここでは若紫のことをさす
■【を】…対象の格助詞
■【思は】…ハ行四段動詞「おもふ」未然形
■【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形
■【に】…逆接の接続助詞
■【など】…どうして
■【山の井(やまのゐ)】…山に自然にできた井戸。やまゐ
■【の】…比喩の格助詞
■【かけ離(はな)る】…かけ離れる(ラ行下二段終止形)
■【らむ】…現在の原因推量の助動詞「らむ」連体形
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「あさか山」は、『万葉集』の
「あさか山影さへ見ゆる山の井のあさくは人を思ふものかは」
という和歌をふまえた、「本歌取り」の和歌です。
本歌は、「物の影まで見える山の井のように、浅い心であなたのことを思っていないのに」というような歌意で、
「あさか山影さへ見ゆる山の井の」までが、
同音反復の「あさく(浅く)」を導く「序詞」です。
それをふまえての和歌なので、
「あさか山浅くも」となっているんですね。
枕詞とか、序詞ってワケじゃなく…;;