源氏物語イラスト訳【若紫204】御文にも
御文にも、いとねむごろに書いたまひて、例の、中に、「かの御放ち書きなむ、なほ見たまへまほしき」とて、
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【源氏物語イラスト訳】
御文にも、いとねむごろに書いたまひて、
訳)お手紙においても、とても心こめて書きなさって、
例の、中に、
訳)例によって、その中に、
「かの御放ち書きなむ、なほ見たまへまほしき」とて、
訳)「あの、若紫のたどたどしいご筆跡を、やはり拝見したいのです」とあって、
【古文】
御文にも、いとねむごろに書いたまひて、例の、中に、「かの御放ち書きなむ、なほ見たまへまほしき」とて、
【訳】
お手紙においても、とても心こめて書きなさって、例によって、その中に、「あの、若紫のたどたどしいご筆跡を、やはり拝見したいのです」とあって、
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■【御】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)
■【文(ふみ)】…手紙
■【にも】…~においても
※【に】…対象の格助詞
※【も】…強意の係助詞
■【いと】…とても
■【ねむごろに】…ナリ活用形容動詞「ねむごろなり」連用形
※【ねむごろなり】…心をこめて
■【書い】…カ行四段動詞「書く」連用形イ音便
■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【例(れい)の】…いつものように。例によって
■【中】…手紙の中
■【に】…場所を示す格助詞
■【かの】…あの
■【御】…尊敬の接頭語(光源氏⇒若紫)
■【放ち書き(はなちがき)】…たどたどしい幼い筆跡。文字を続けて書かずに、一字一字放して書くこと
■【なむ】…強意の係助詞(係り結びの法則)
■【なほ】…やはり
■【見たまへ】…拝見して
※【見】…マ行上一段動詞「見る」連用形
※【たまへ】…ハ行下二段動詞「たまふ」未然形
【たまふ】…謙譲の補助動詞(光源氏⇒若紫)
■【まほしき】…希望の助動詞「まほし」連体形(係り結び)
■【とて】…と言って。~ということで
※【と】…引用の格助詞
※【て】…単純接続の接続助詞
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「放ち書き」とは、文字がくずし字でつながっておらず、
一文字一文字書いてあるような文です。
今では普通のことですが、
平安当時は「連綿」と続いていく文字だったので、
これは、「幼い書きぶり」なんですね!
このような、重要古語でない言葉からも
当時の慣習や常識がよく伝わって来ますよね。