源氏物語イラスト訳【若紫167】乱り心地
「乱り心地、いと堪へがたきものを」と聞こえたまへど、け憎からずかき鳴らして、皆立ちたまひぬ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
【源氏物語イラスト訳】
「乱り心地、いと堪へがたきものを」と聞こえたまへど、
訳)「気分がすぐれず、とてもつらいのになぁ」と申し上げなさるけれど、
け憎からずかき鳴らして、
訳)無愛想にはならない程度に琴を掻き鳴らして、
皆立ちたまひぬ。
訳)一行は出立なさった。
【古文】
「乱り心地、いと堪へがたきものを」と聞こえたまへど、け憎からずかき鳴らして、皆立ちたまひぬ。
【訳】
「気分がすぐれず、とてもつらいのになぁ」と申し上げなさるけれど、無愛想にはならない程度に琴を掻き鳴らして、一行は出立なさった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
■【乱り心地(みだりごこち)】…病気によるすぐれない気分
■【いと】…とても
■【堪へがたき】…ク活用形容詞「堪へ難し」連体形
※【堪へ難し】…我慢できない。つらい
■【ものを】…~のになぁ(逆接確定条件)
■【と】…引用の格助詞
■【聞こえ】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」連用形
※【聞こゆ】…「言ふ」の謙譲語(作者⇒僧都)
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【ど】…逆接確定条件の接続助詞
■【け憎からず】…無愛想にならない程度に
※【け憎し】…愛想がない。そっけない
※【ず】…打消の助動詞「ず」連用形
■【かき鳴らす】…琴などを弾き鳴らす
■【て】…単純接続の接続助詞
■【皆(みな)】…光源氏たち一行
■【立つ】…出立する。出発する
■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【ぬ】…完了の助動詞「ぬ」終止形
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
緑色で説明づけられているのは
敬語の敬意対象です。
「⇒」の左側が、誰からの敬意か、
「⇒」の右側が、誰に対する敬意か、です。
地の文は、基本的に作者(紫式部)からの敬意、
会話文は、会話主からの敬意、です。
源氏物語で、古文のイメージを
確立していってくださいね♪