【夕顔292-2】古文常識「立ち待ち月」
毎週台風が来て大変ですね~!
今回は、少しの風だけで、大丈夫でしたか?
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を名のり、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬…。光源氏は尽きせぬ恋を重ねていくのでした。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。17歳の光源氏は、五条にひっそり住まう夕顔の君に恋をし、彼女を廃院に誘いますが、夕顔は急死してしまいます。部下の惟光(これみつ)に後始末を命じ、光源氏は憔悴しきって内裏にも出仕できず、惟光と夕顔の葬儀へと出向きます。
【今回の源氏物語】
道遠くおぼゆ。十七日の月さし出でて、河原のほど、御前駆の火もほのかなるに、
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☆ 古文オリジナル問題~古文常識「立待月」~ ☆
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道遠くおぼゆ。十七日の月さし出でて、河原のほど、御前駆の火もほのかなるに、
問)傍線部の時間帯として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
1.午後5時ごろ
2.午後7時ごろ
3.午後9時ごろ
4.午後11時ごろ
5.午前1時ごろ
この、「17日の月さし出でて」という表現だけで、
当時の読者たちは、今回の舞台となる時間帯が
ぱっとイメージ湧いたんです。
【立ち待ち月(たちまちづき)】
【名詞】
…陰暦17日の夜の月
※Weblio古語辞典より
こういう名前のつけ方って、
ほんと、情趣深いですよね~!
周期的に、満ちては欠け、また満ちてくる月――。
そんな、様々な月の表情により、
私たち日本人は、月に自分の気持ちを重ねたり、
待ちくたびれる気持ちを月に命名したりと、
趣向を凝らして月を表現してきました。
《月の満ち欠けによる名前》
【十六夜(いざよい)】
…日没とともに東の空に昇る満月十五夜の次の日の月。約50分ほど遅くに出るので、月の出をいざよう(ためらっている)ようだとする。
【立待月(たちまちづき)】
…17日目は、さらに月の出が50分遅くなり、まだかまだかと立って待つうちに出る月。
【居待月(いまちづき)】
…18日目は、日没後なかなか月が出て来ず、待ちくたびれて座ってしまうという月。限定的には、とくに仲秋の名月に続く陰暦8月18日の夜の月をいう。
【寝待月(ねまちづき)】
…19日目は、もう床に入って待つ。別名、臥待月(ふしまちづき)ともいう。
【更待月(ふけまちづき)】
… 20日目は、夜も更(ふ)ける頃に出る月。寝待月の月の出よりもさらに遅く、亥(い)の正刻(今日の午後10時)にやっと月が昇るので、亥中(いなか)の月、二十日(はつか)亥中の呼称もある。
【有明月(ありあけづき)】
…26日目は、夜明け(有明)の空に昇る月。
この1フレーズで、
光源氏が今置かれている時間帯と季節感が
ほんのりとイメージ湧いてくるようになってるんですよね!
陰暦って、すごい!
(*^_^*)
【解答】…2