【夕顔230-2】古文常識☆フクロウって福の鳥?
古文常識は、マニュアル本で学ぶより、
源氏物語の方が多く深くを学べます。
今回は「フクロウ」の話☆
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を名のり、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬…。光源氏は尽きせぬ恋を重ねていくのでした。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。17歳の光源氏は、惟光(これみつ)の実家の隣家にひっそり住まう夕顔の君に執心し、女の家で一夜を明かした後、彼女を廃院に誘いますが、夜半、夕顔は物の怪に襲われて急死してしまいます。
【今回の源氏物語】
夜中も過ぎにけむかし、風のやや荒々しう吹きたるは。まして、松の響き、木深く聞こえて、気色ある鳥のから声に鳴きたるも、「梟」はこれにやとおぼゆ。
↑
――――――――――――――――――
☆ 古文常識~「フクロウ」は福の鳥? ☆
――――――――――――――――――
フクロウというと、
「不苦労」とか「福朗」とかを連想するものとして、
よく縁起物とされていますよね。
また、特に商売をされている人には、
夜行性で夜目が利く⇒夜も働き者、世情に明るい
首が180度以上回る⇒借金で「首が回らない」の反対
など、フクロウの特質から、縁起が良いとされている鳥です。
…ですが、今回の「梟(フクロウ)」は、
あまり、縁起が良さげじゃありませんよね;;
名前の由来 学名の属名(Strix)はフクロウを意味し、種小名の(uralensis)はウラル地方を意味する。 和名は、毛が膨れた鳥であることに由来する、鳴き声に由来する、昼隠居(ひるかくろふ)から転じたなどの説がある。 ... 日本と中国では、梟は母親を食べて成長すると考えられていた為「不孝鳥」と呼ばれる。
…ほんとに母親を食べるのかは分かりませんが、
中国で不吉な鳥とされてきたのは、
当時流行の『白氏文集』の中にも見られます。
『白氏文集』とは、
白居易(白楽天)という中唐の詩人の著した詩集です。
平安時代の日本では、
東方神起や防弾少年団のように大人気で、
あなたが彼らのダンスを踊れるように、
当時の貴族たちは、白楽天の漢詩を吟じていたのです。
その白氏文集の中に「凶宅」という漢詩があります。
読んで字のごとく、「凶(不吉)な宅(邸宅)」のこと。
この「凶宅」の描写のなかに、
「梟鳴松桂枝 狐蔵蘭菊叢」
というフレーズがあります。
梟(フクロウ)は桂木の枝で鳴き、
狐(キツネ)は蘭菊の草むらに隠れる。
…めちゃくちゃ不気味ですね~;;
(((( ;°Д°))))
おそらく、光源氏は、
この漢詩「凶宅」のフレーズを思い浮かべて、
って思ったんでしょうね!
ちなみに、
ハリーポッターのペットに、かわいく利口なフクロウがいました。
ローマ神話の女神「ミネルヴァ」の使いがフクロウとされ、
それを継承して、欧米ではフクロウが英知の象徴と
されているんですね!
そういえば…
イギリスではカラスが王室の守り神として
大事にされているとか…
現在の日本では、
不気味なもの、害鳥として扱われていますよね;;
こういう慣習・象徴の意味や経緯を
昔や今、日本と海外など比較・検証してみると
とっても面白いですね♪