【夕顔168-2】「預かり」という古語の文脈理解☆
関関同立や早慶、MARCHなどの入試現代文は、
古典、とくに源氏物語などの知識が背景知識として
必要となることもありますよね!
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光源氏は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下した。帝の後妻である藤壺宮(ふじつぼのみや)が亡き母に似ていると聞き、思い焦がれるようになる。
ただ今、「4.夕顔(ゆうがお)」の巻。中流階級の空蝉(うつせみ)との仮初めの恋を経て、現恋人の六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)にも、正妻の葵上(あおいのうえ)のもとにも心が向かないでいる光源氏は、惟光(これみつ)の実家の隣家にひっそり住まう、夕顔の君に心惹かれ、こっそり通うようになりました。
【今回の源氏物語】
そのわたり近きなにがしの院におはしまし着きて、預り召し出づるほど、荒れたる門の忍ぶ草茂りて見上げられたる、たとしへなく木暗し。
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☆ 今回の古文オリジナル問題~常識~ ☆
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そのわたり近きなにがしの院におはしまし着きて、預り召し出づるほど、荒れたる門の忍ぶ草茂りて見上げられたる、たとしへなく木暗し。
問)傍線部の解釈として、最も適当なものを選べ。
1.荒れた建物に牛車を引き入れなある間
2.院の主を呼び出している間
3.預かり知らぬ建物へいらっしゃる間
4.女院の家を預けなさっている間
5.建物の管理人を呼び出しなさる間
国公立二次や、私大入試の古文では、
基本的な解釈問題がよく出題されます。
上のような選択肢問題もありますが、
センターと違い、記述で出題されることも多いので、
基本的な古語の意味と文法は、
きちんと押さえ直しておく必要があります。
また、難関大学の場合には、
たんなる重要古語だけでなく、
背景知識や古文常識も知っておかなければ
直訳では意味が通じない場合もあります。
上の傍線部も、まさにそれですよね。
【院(ゐん)】
【名詞】
①周囲に垣をめぐらした、大きな構えの建物。宮殿・役所・寺院・貴族の邸宅など
②上皇・法皇・女院(によういん)の御所
③上皇・法皇・女院の尊敬語
【預かり(あづかり)】
【名詞】
①任されること。担当
②管理人。担当者
③平安時代、役所の事務を管理する職
*Weblio古語辞典より
「院」という古語は、
古文をかじってるあなたなら、
③の意味がピンと浮かんでくるでしょうが、
「院」⇒「預かり」という文脈になるなら、
「院」は、①の「建物」という意味になるでしょう。
「院」は、現代でも、
病院や、寺院など、「建物」の意味で使われますよね♪
「預かり」という古語も、
重要古語には入りませんが、
文脈による解釈として、大学入試でも出題されることもありますよ!
正解……5