【夕顔132-2】「は」の仮定用法☆
源氏物語イラスト解釈です
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光源氏は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下した。帝の後妻である藤壺宮(ふじつぼのみや)が亡き母に似ていると聞き、思い焦がれるようになる。
ただ今、「4.夕顔(ゆうがお)」の巻。中流階級の空蝉(うつせみ)との仮初めの恋を経て、現恋人の六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)にも、正妻の葵上(あおいのうえ)のもとにも心が向かないでいる光源氏は、惟光(これみつ)の実家の隣家にひっそり住まう、夕顔の君に心惹かれ、こっそり通うようになりました。
【今回の源氏物語】
追ひまどはして、なのめに思ひなしつべくは、ただかばかりのすさびにても過ぎぬべきことを、さらにさて過ぐしてむと思されず。
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☆ 今回の思考力・判断力問題 ☆
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追ひまどはして、なのめに思ひなしつべくは、ただかばかりのすさびにても過ぎぬべきことを、さらにさて過ぐしてむと思されず。
問)傍線部の意味として最も適当なものを、次の中から選べ。
1.いいかげんに思いを遂げることもなかったら
2.格別に想いをかけているはずのものなので
3.おざなりに諦めてしまうはずのものなら
4.むやみに思いを決めてしまうようなことは
5.どうしようもないと決断するっようなことも
こういう問題が出題されたら、
まずは、重要古語である「なのめに」に着目します。
【なのめなり(斜めなり)】
【形容動詞:ナリ活用】
①いいかげんだ。おざなりだ
②並ひととおりだ。平凡だ
③(中世以降)格別に
*Weblio古語辞典(学研全訳古語辞典)より
『源氏物語』は、中世でなく「中古」の文学ですので、
①か②の意味ですね。
1.いいかげんに(○)思いを遂げることもなかったら
2.格別に(△)想いをかけているはずのものなので
3.おざなりに(○)諦めてしまうはずのものなら
4.むやみに(×)思いを決めてしまうようなことは
5.どうしようもない(×)と決断するっようなことも
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☆ 「は」の識別にも注目! ☆
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また、重要古語だけでなく、
助動詞や助詞にも注意しなくちゃいけません。
特に、今回のように、
選択肢の文末表現がすべて違ってる場合は、
傍線部末尾の付属語の用法を聞いているのです。
1.いいかげんに(○)思いを遂げることもなかったら
2.格別に(△)想いをかけているはずのものなので
3.おざなりに(○)諦めてしまうはずのものなら
4.むやみに(×)思いを決めてしまうようなことは
5.どうしようもない(×)と決断するっようなことも
選択肢の末尾、
つまり、「は」の用法に着目します。
(*・ ェ ・*)ノ
【は】
【係助詞】
①〔主題の提示〕~は。~については(体言や体言に準ずる語に付く)
②〔他と区別して取り立てる〕~は
③〔強調〕~は
④〔順接の仮定条件〕~ならば(形容詞型活用の語、打消の助動詞「ず」の連用形に付く)
⑤〔感動・詠嘆〕~なあ。~よ(文末用法)
*Weblio古語辞典(学研全訳古語辞典)より
実は、この④の用法は、
④の「は」を、
形容詞型および打消の助動詞「ず」の未然形に付く、
接続助詞「ば」の無濁音化したものとする説や、
係助詞から変化した接続助詞「は」とする説
などもあります。
たしかに、
古語辞書にも、係助詞の仮定用法として説明してありますが、
私は、「ば」の無濁音と捉えるほうが納得いきます。
だって、
【未然形+ば】=~ならば
ですもんね。
!Σ('◇'*)
係助詞「は」なら、
現在とのつながりもまったくない形で
覚えないといけません。
…なので、明日更新の単語説明には、
辞書とちがった形で解説書くかもしれませんが、
ご了承下さいね。
(o´・ω・`o)ノ
…まあ、
辞書にいろいろ説がある場合は、
入試に、活用形などは出ないってことかな。
(;゚;∀;゚;)
とにかく、
あとの繋がりから、
仮定用法であることは、きちんと押さえ
訳せるように、ね♪
(o^-')b
正解……3