源氏イラスト訳【夕顔25】君は
君は、いとあはれと思ほして、
「いはけなかりけるほどに、思ふべき人びとのうち捨ててものしたまひにけるなごり、育む人あまたあるやうなりしかど、親しく思ひ睦ぶる筋は、またなくなむ思ほえし。
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【源氏物語イラスト訳】
君は、いとあはれと思ほして、
訳)源氏の君は、とてもしみじみ悲しいとお思いになって、
「いはけなかりけるほどに、
訳)「私が幼かったころに、
思ふべき人びとのうち捨ててものしたまひにけるなごり、
訳)大切に思ってくれるはずの人々が自分を置き去りにして亡くなっておしまいになった影響で、
育む人あまたあるやうなりしかど、
訳)養育してくれる人々はたくさんいるようであったけれど、
親しく思ひ睦ぶる筋は、またなくなむ思ほえし。
訳)親しくうち解けられる筋の人は、他にいなく 思われた。
【古文】
君は、いとあはれと思ほして、
「いはけなかりけるほどに、思ふべき人びとのうち捨ててものしたまひにけるなごり、育む人あまたあるやうなりしかど、親しく思ひ睦ぶる筋は、またなくなむ思ほえし。
【訳】
源氏の君は、とてもしみじみ悲しいとお思いになって、
「幼かったころに、大切に思ってくれるはずの人々が自分を置き去りにして亡くなっておしまいになった影響で、養育してくれる人々はたくさんいるようであったけれど、親しくうち解けられる筋の人は、他にいなく 思われた。
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■【君(きみ)】
■【は】
■【いと】
■【あはれ】
■【と】
■【思ほし】
※【思ほす】
■【て】
■【いはけなかり】
※【いはけなし】
■【ける】
■【ほど】
■【に】
■【思ふ】
■【べき】
■【人びと】
■【の】
■【うち捨て】
※【うち捨つ】
■【て】
■【ものしたまふ】
※【ものす】
※【たまふ】
■【に】
■【ける】
■【なごり】
■【育(はぐく)む】
■【人】
■【あまた】
■【ある】
■【やうなり】
■【しか】
■【ど】
■【親しく】
■【思ひ睦ぶる】
※【思ひ睦ぶ】
■【筋(すぢ)】
■【は】
■【またなく】
※【またなし】
■【なむ】
■【思ほえ】
※【思ほゆ】
■【し】
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「思ふべき人のうち捨て…」というのは、
光源氏の母、桐壺更衣の亡くなったことなどを
言っているのですね。。。
(ノ_-。)。
大弐の乳母(尼君)を、光源氏がどれほど求めていたのか、
この述懐部分で感じ得ますよね。
(▰˘△˘▰)