ある存在は、他の存在によって条件付けられた存在である。
私も、あなたも、他者によって成立し、また制約も受けている。
このように人間関係は他者との媒介性そのものである。
全くの他人とは、距離を取ろう、とすることで制約が生まれる。
親しくなるほど距離は縮まるが、親密さに拘りという別の意味の制約が生まれることとなる。
見ず知らずの人たちとは、害が及ぶことがないかぎり、多くのことを見過ごしてやろうとし、表現や意志の自由は尊重される。
愛情があるほど、それが直接的に無関係であっても、よりお節介に介入し、相手に影響したいと意欲的になってしまう。
我々は他者とは矛盾を嫌う存在で、さらに葛藤を極力少なくさせようと多くの規範を身につけている。単に憶えている、というのではなく、態度や言動はもちろんのこと、身なりまでも注意しなければならないのだ。それで平和を維持しているのである。
愛情関係では、お互いに条件の付け合いで矛盾が生じ、多くの葛藤を生むことになる。近すぎる関係での影響は、お互いに愛情という制約によって、恋人や夫婦、親子などと成立する。
媒介性が弱いほど・他の存在によっての条件付けがないか、より弱いほど、矛盾や葛藤のエネルギーは弱まる。
媒介性が強いほど・他の存在によっての条件付けが、より強いほど、矛盾や葛藤のエネルギーは強くなる。