ナースチャ「まあ…っ。
で、ではその子は、パパとママを同時に亡くして、お祖父様のお手元に?」
スターリングさんも、今は腕利きの大工で、この辺り一帯の面倒見役で、いい貫禄のお爺さんになったけれど…少年の頃は、この辺一帯で、有名なきかん坊でねえ。私もからかわれては、大泣きして帰ったものだったわ。
そんなだから、スターリングさんは、しょっちゅう先生にも、こっぴどく叱られてた。
そのお孫さん、どんな少年かしらねえ」
幽子「あ~、目に見えるようだな。そいつも間違いなく、暴れん坊主だわ」
トチーちゃん「まっ、幽子さんったら」
幽子「だってあたし、似たようなタイプの子、沢山知ってるもんね」
幽子「アハハ。…いや、でも、あたしもその子のことは、凄く気になってるよ。
…いちまが生まれてからさ、本当に色々、考えずにいられないし
あたしやバミューダーにもしものことがあったら、いちまは…とか、もしも、その逆…
ああ、その逆は本当、考えたくないね。スターリングさんも、本当にお気の毒だよ」
ちいちゃなお孫さんは、一人息子さんを、その奥様と同時にお亡くしになったスターリングさんにとっては、今、唯一の救いでしょうね」
トチーちゃん「きっとそのうち、子供たちが、私たちに、その子を紹介してくれるはずよ。
自然に来る、その時を待ちましょう」
・・・・・
???「よお。この店、子供だと、ただで食わしてくれるんだって?」
???「べらぼうめ。そんなんじゃ、いつまでたったって儲かりゃしねえじゃねえか。
俺、だんぜん金、払うかんな」
ロビンちゃん「えぇ…?」
代わりに、俺、だんぜん手伝うからな。何でも言ってくれよ」
クックちゃん「えっと、じゃあ…
まず訊きたいんだけど、その真っ赤なスケートボード、君のなの?」
???「おう。あたりきよ。
だんぜん、俺のだぜ」
わあっ…すっごくかっこいいや…」
???「うぉっ、そうか?…これ、死んだ父ちゃんから譲り受けたスケボーなんだぜ」
ロビンちゃん「へえっ…もしかして、この金文字で『シスキン』って書いてあるの、君の名前なのかい?」
シスキン君、クックちゃんたちと同じくフェルト製。
スケボーは100均ミニチュアスケボーのペイントをリムーバーで剥がし、上から色を塗りました。
その二つ向こうの通り沿いの、でえくの爺ちゃん家に、こないだ越してきたばかりなんだ。だんぜん、覚えといてくれなきゃ困るぜ」
クックちゃん「じゃあさ、シスキン君。お代の代わりに、僕らに、そのスケボーの乗り方、教えてくれない?」
でもまあ、しょうがねえな、だんぜん、教えてやるぜ」
クックちゃん「わあっ、やったー。嬉しいなあ!
僕、スケボー、一度、乗ってみたかったんだ~!」
今はまだ、このカフェ、営業中なので…」
シスキン君「おう、そうだった。
大事な営業を邪魔して悪かったな。だんぜん、謝るぜ」
…えっと、季節の飲み物は、今は梨のソーダで、スイーツは、ブルーベリーパイと、干し葡萄の…」
昔、こっちの家に、父ちゃん母ちゃんと遊びに来るたんびに、婆ちゃんが俺のために焼いといてくれてたんだ。
…俺、だんぜん、それ頼むぜ」
・・・
シスキンはマヒワ、スターリングはムクドリの英語名。
これまでのお話
登場人物&設定
・・・・・
ヴィヴァルディではなく、ハイドンの「秋」です。
詩に描かれているのは、労働する農夫たちと、収穫・勤労の喜び。