「こんにちは、赤ちゃん」。

トチーちゃん「では、幽子さんは、夕べからずっと病院へ？」

ポムちゃん🍎🍏「うん。バミューダーさんが立ち合いとして、付き添っていったよ。だから、大丈夫。

…さあ、皆、お食事にしようね皆が大好きな、美味しいピザを焼いたよチーズも沢山あるから、沢山召し上がれ」

100均樹脂粘土製のピザ。中のトマトソースは、同じく100均の木工ボンド・アクリル絵の具・少量の軽量紙粘土を撹拌したもの。

お高いモデナペーストを購入せず済むよう、多くの方々のアイデアを参考にさせて頂きました。

おばあさん「昨日の夜に陣痛が起きたと言って入院してから、随分と時間がかかるものなのね。

大丈夫なのかしら…😟」

クックちゃん「幽子さん、一時期、体調がず～っと悪かったから、心配だなぁ…」

ロビンちゃん「でも…心配事が解決してからは、ずっと落ち着いていたし、元気だったよ」

ラーク「バミューダーさん、お誕生と同時に、お母様を亡くされているので…。

元気な赤ちゃんと幽子さんの顔を見るまでは、ずっとご心配だろうと思います」

トチーちゃん「そうね。…私も、不安は全くないわけではないけれど、どんな時でも、一抹の心配はつきものよ

私達まで不安がって、元気を落としてしまってたら、幽子さんも赤ちゃんも、困惑してしまうわ。

明日までには、コウノトリが、必ず可愛い赤ちゃんを運んできてくれるはずよ」

マレットちゃん「あのう、赤ちゃんがお誕生したら、私達、幽子さんと赤ちゃんのお見舞いにお伺いしても、いいのでしょうか…😟」

ラーク「うーん、行きたい気持ちは分かるけどね。

病院は、あまり騒がしくしては良くない場所だから、ここで待っていた方がいいかな」

マレットちゃん「はい…」

クックちゃん「そうだ、僕たち、幽子さんと赤ちゃんにお手紙を書こうよ

それだったら、バミューダーさんが届けてくれるでしょ？」

マレットちゃん「あ、それ、いいですね！」

ロビンちゃん「そうだね。幽子さんが赤ちゃんを連れて帰ってきた時に、お迎えする歌も練習しようよ」

・・・・・

クックちゃん「どーしても、僕たち、眠らなくちゃダメ？トチーちゃん…」

マレットちゃん「赤ちゃんが生まれたというお電話があるまで、お、起きてたいんですが…」

トチーちゃん「多分だけど、お電話があるとすれば、真夜中か、明け方頃になっちゃうと思うわ。

明日の朝、あなた方が起きてきた時には、きっと素敵なご報告が待っているわ」

ロビンちゃん「でもさ…もし、良いご報告じゃなかったら…？」

トチーちゃん「いいえ、そんなこと、あり得ないわ。大丈夫よ

さあ、三人とも、お布団に入って、ゆっくりお休みなさい」

・・・・・

♬～

おばあさん「…ラーク。ラーク。呼び出し音が鳴ってるわ！

すぐリモートを繋いでちょうだい！」

ラーク「…えっ！あっ…は、はい」

トチーちゃん「ああ、私もつい、うつらうつらしていたわ…」

ポムちゃん🍎🍏「ポムもだ。…ああ、繋がったよ

…は～い、もしもし」

ラーク「…ば、バミューダーさん！？

…どうなりました？幽子先輩は、赤ちゃんは？」

バミューダー「はい、無事、生まれました。

真夜中の二時ちょうどにです。女の子でした！」

トチーちゃん「まあ、良かった！…バミューダーさんも、遂にパパになったわね

おめでとうございます！」

おばあさん「そうですか。では、幽子さんも赤ちゃんも、お元気なのね

…それは何よりだわ」

ポムちゃん🍎🍏「バミューダーさんも、一日中、緊張続きだったでしょう。声が疲れ切ってるよ。

兎に角、ゆっくり休んで下さい」

ラーク「そうですね。赤ちゃんと幽子さんもですが、バミューダーさんも、本当にお疲れ様でした

クックちゃんにロビンちゃん、マレットちゃんも、ずっとご報告を待っていました。

三人とも、もう眠ってしまっているので、明日の朝起きてきたら、知らせます」

バミューダー「有難うございます。

赤ちゃんの名前は、幽ちゃんと二人で、色々考えてたんですけど、赤ちゃんの顔を見た途端に、二人でピンときた名前にしました。

…『いちま』です。この子の名前は、いちまちゃん」

トチーちゃん「いちまちゃん…？

…まあっ、本当だわ！これは、いちまちゃんだわ

生まれたばかりなのに、なんて真っ黒でふさふさの髪かしら。

色白で目がぱっちり、そして、ぷっくりほっぺ。市松人形さんそのものだわ。

白い肌と豊かな黒髪は、パパママの両方から、譲られたものね」

100均の樹脂粘土と毛糸製の赤ちゃん、いちまちゃん。

前にも記事にしましたが…バミューダーさん、元の髪色は漆黒なのです。

おばあさん「どれどれ。見せてちょうだい。

…まあ、なんて綺麗な、可愛いお顔立ちをしているのかしら。いちまちゃん」

ラーク「…幽子先輩の方は、今、どうしていますか？」

バミューダー「出産を無事終えて、元気な産声を聞いて、この子の名前を二人で決めて、赤ちゃんを腕に抱いた途端、疲れ切って、僕の腕にいちまちゃんを預けたまま、気を失うようにスーッと眠ってしまいました。

でも、いちまちゃんの産声を聞いた瞬間、ニッコリしていました。…完全に元気です」

ラーク「ああ、良かった…

…あっ、バミューダーさん、どうしました？

…だ、大丈夫ですか」

バミューダー「はい、あの…ええと…

僕、何だろう、今、涙が止まらないんです…」

おばあさん「ご無理もありませんよ

本当に良かったわ。バミューダーさんにとっても、赤ちゃんの産声を聞いて、幽子さんの元気な姿を見るまで、心休まる時はなかったでしょうからね」

バミューダー「…いちまちゃん、凄い子なんですよ

看護師さんが、出産の記念になさるといいですよって言って、いちまちゃんの髪を、ひとふさ切ってくれたんですけど…

その瞬間に、すぐに切った所の髪が伸び始めて、あっという間に、元通りの長さになったんです！

生まれながらにして、非凡の子です。もしかしたらこの子は、大天才かもしれませんよね」

トチーちゃん「う…、そ、そうね。オホホホホ…

（何となくだけど、生まれた時刻も含めて、このお二人のお子さんらし過ぎて…）」

バミューダー「今夜は僕、幽ちゃんといちまちゃんの傍について、こっちに泊まります。

明日は昼になってから、僕だけ一旦はそちらに戻りますが、幽ちゃんと赤ちゃんは一週間ほど入院してから、戻ることになっています」

ポムちゃん🍎🍏「は～い。

バミューダーさんも、何か食べて、よく眠ってね兎に角、おめでとうございます！

おやすみなさい～」

 ・・・・・

これまでのお話

『「ポムちゃんのミニチュアハンドメイド劇場」シリーズ 総まとめ。』

登場人物＆設定

『登場人物＆設定。（ポムちゃんのミニチュアハンドメイド劇場）』

・・・・・

「マルセリーノの歌」Ｐ．ソロサバル

Marcelino Pan y Vino

夢見る　夢見る　マルセリーノ

じきに夜明けがやって来る。

十二人の坊さん、お前を守る

悪い道へと、逸れないように。

マルセリーノ、マルセリーノ

さあ、もう起きて。

十二人の坊さん、お前を守る

悪い道へと、逸れないように。

マルセリーノ、マルセリーノ、

石鹸つけて、お顔を洗おう。

「お台所さん」みたいに、よくお食べ。

トルティーヤもパンも、たくさんね。

「鐘つきさん」と一緒に、鐘つけば

ティリン、タラン　ティリン、タランと　よく響く。

2たす2は…4、4たす4は…8、

8たす8は…？　…20！

…ごまかしちゃダメだよ！

マルセリーノや、お祈りしなさい

良い子はお祈りするんだよ。

日没と共に眠り、

日の出と共に起きようね。

12人の坊さん　眠るお前を見守り

子守歌を歌う。

聖フランシスコも、お空の上で

お前を見守って下さるよ。

おやすみ　おやすみ、マルセリーノ

イエス様も、お前の傍にいて下さるよ。

※「お台所さん」「鐘つきさん」等は、小さな孤児のマルセリーノが、12人の修道士たちにつけた呼び名です。

・・・

この「マルセリーノの歌」は「穢れなき悪戯(1955 西)」という映画の、大変有名な主題歌なんですが…

何故今、これを選んで載せたかというと、

ここ暫くの間、Yuni家含め、保護した小さな子猫の坊やの里親探しに、三世帯の人たちが大わらわだったから。

袋詰めにされて道端に捨てられ、瀕死状態の子猫の坊やを保護し、家に連れ帰ってきたのは、女の子でした。

…ビニール袋の口、縛ってあったそうです…。

すぐに子猫を病院に連れてゆき、消えかけていた命を取り留めさせたのは、その子のお母さん。

でも彼女たちの家は母子家庭、お母さんは日中、二つの職場を掛け持ち。一日に何度も離乳食を与えなくてはならない、衰弱した子猫を飼うことは出来ません。

しかもお母さんは外国人。日本語はまだ使いこなせない。

手厚い保護が必要な子猫は、一時的に、そのお母さんのお友達(日本人)のおうちで、手厚くお世話されることに。

可愛がってもらい、すっかり元気になり、部屋中を飛び回って遊ぶようになった、やんちゃな子猫の坊や。

でもそのおうちにも、既に二匹の保護猫ちゃんがいますので、

あくまで保護は、一時的なものでなくてはいけません。

外国人で、里親募集の依頼を書くことの出来ない、女の子のお母さんに変わり、

里親探しを代わりましょうと言ったのは、Yuni。

保護猫団体をあれこれ調べ、募集依頼をし、周りの知人友人にも、猫を欲しい方いらっしゃいませんか？と

訊ねて回りました。

生後約１ヶ月、可愛さ絶頂期の子猫ちゃん。

なるべく貰い手が沢山いる、可愛い月齢のうちに、真剣に里親さんを探しておかないと

あとあと、本当に苦労することになります。

でも、保護猫団体のシェルターは、聞けばどこも過密状態(貰い手が決まるまでのお世話はこちらでするから、里親募集のみ載せてほしいとお願いしました)。

…ってことは、子猫を欲しいという人が、払底してるということ…

子猫の出産ラッシュのこの時期は、特にだそう。

更に、数年前まで、気軽に里親募集を載せてくれていたタウン誌数社が、コロナ禍中に全滅。

…地方って今、こんな感じだって知ってますか、都会住まいの方々？

いやぁ…これは長期戦になりそう…

Yuni夫は言いました。…もしどうしても、どーしてもだったら、うちで子猫を引き取ろうかと。

でもYuniの家は、夫婦とも、子供時代から一度も子猫を飼った経験がない(二人とも両親がペット嫌い)上、住居は狭い集合住宅、道路沿い。

お世辞にも、子猫が住むに適した環境ではありません（一応、ペット可ではありますが…）。

そんな夫婦が、子猫の里親さんになろうとするなら、物凄い覚悟と、家具の配置や生活習慣の大幅な改革が必要。

過去にYuniは、車道でバタバタ飛び跳ねていた一羽の迷子のセキセイインコを保護し、飼い主探しをすれど名乗り出る人はなく、うちで飼うことにし、それがYuni夫婦の唯一の我が子でした。

その子を喪った時の、尋常ならぬ悲しみは、７年経った今も、Yuniの胸から離れません。

今もYuni夫婦の小さな家には、そのインコちゃんの為だけの小さな一隅があり、夫婦で餌の粟を供え、週1で替えています。

生き物を飼うのは、お別れの時が辛すぎる…

加え、Yuni夫は今、会社がこちらも大規模改革を進めてる最中で、入社以来一番といっていいほどの多忙期。

残念だけど夫の提案は、本当に最後の最後の手段です。子猫にも私達にとっても、それは大きな不幸になりかねない、リスキーなものなので…。

…と思ってるうちに、

猫を飼いたい方がいらっしゃいませんか？ご知り合いに訊いて頂けませんか？

とお願いしていた、Yuniの古いお友達から

「…いましたよ！子猫ちゃんの里親になりたいと言って下さる方が！」との吉報が。

…これぞ天の采配！🕊️✨

嬉しかったです…。新しい子猫の、おうちとご家族が見つかりました…

しかも、里親募集を見て来られた、全く知らない方ではなく(それはそれで有難いことではあっても…)

間接的ながら、古いお友達を通じてYuniとの人的繋がりがあり、猫を飼った経験もおありのご家庭。

ご家族ともども、子猫ちゃんのお迎え（譲渡）の日を、とても楽しみにして下さっていると。

心ない人間によって、この上なく不幸な棄てられ方をしていた子猫の坊やは、遂に小さなお手々で、幸運を掴まえました🐈️💝🐾

まるで福を呼ぶ招き猫。新しいおうちにも、きっと大きな福を招き寄せてくれるはず

里親募集を打ち切らせて頂いた、保護猫団体の方々にも「良かったですね」と、心から喜んで頂けました

しかし、それまでの間に、

多くの人が、無邪気な子猫の坊やの運命を好転させ、幸せを見つけてあげなくてはと、心を砕きました。

…保護し、病院に連れてゆき、お世話をし、里親を探し、それらに協力し。

まるで、12人の修道士たちが、親そのものには成り代われなくても、一人の可愛い坊やの行く末を見守るように、それぞれの形で。

子猫の坊やの里親さん探しをしながら、Yuniはこの「マルセリーノの歌」を思い出し

ず～っと頭から離れなかったのです。

どうか、末永く幸せに、子猫ちゃん

・・・

今は幸せなおうちの子になった、子猫ちゃんの写真は、ここに載せられないので…

よちよち歩きの頃の、ちっちゃなぬこたんの図。