ラーク「バミューダーさんのマネージャーさんから、メールが来ました。

幽子さんを脅迫した人を突き止めたと、警察から事務所へ、連絡が入ったそうです。

でも、そこまでは良かったのですが…」

 

トチーちゃん「特定されたのね!ああ、良かった!でも…
『でも』が付くの…?😟」

ラーク「…捜査の結果、その人は、幽子さんとバミューダーさんのご自宅への『放火』を企てていた…、ということが判ったそうです。

その為に購入した道具類が、それを窺わせる未送信の脅迫文と共に、数点、押収されたと」

 

おばあさん「おおお…!…か、神様!」

ラーク「幸いにして、まだお二人のご自宅はその人に特定されてなかったので、危うく大惨事になるところを直前で食い止められました。
幽子さんとバミューダーさんが、早々にご自宅を離れて此方に来られていたのは、本当に正解だったとしか言いようがありません」

 

トチーちゃん「ああ、幽子さん!大泣き

ポムちゃん🍎🍏「あの…それ、今すぐ幽子さんに伝えなきゃいけないかな。

幽子さん、今も体調を崩して休んでるんだけど…ショボーン

此方に来て、身の安全だけは確保出来たけど、毎晩、警察やバミューダーさんのマネージャーさんとの電話のやり取りで、よくよく、心身すり減らしちゃってたみたいなんだロップイヤー

トチーちゃん「私から伝えるわ。…幽子さんとお腹の赤ちゃんの心身に、なるべくこれ以上のダメージが加わらないように。
その為に、電話やメールも、私たちが幽子さんの代わりに、取ることにしたんだし…」
 
おばあさん「それにしても…もうここまで来てしまったら、バミューダーさんにこの件を隠し続けるのは、不可能なんじゃないかしらおねだり

そのうち、警察の方もここに来て、色々事情を尋ねられるでしょ?😟」

ラーク「そうですね、バミューダーさんへは、僕から伝えます。

ナースチャが、夕方、P市からここに帰って来ます。そしたら、ナースチャとも相談の上で、僕の口から、バミューダーさんにこの話をするつもりですおやすみ

 

・・・・・

ロビンちゃん「あの、あのね、バミューダーさん…おねだり

 

バミューダー「…ん?

あれっ、ロビンちゃん。今日は、クックちゃんやマレットちゃんと一緒じゃないのかい?にっこり

 

ロビンちゃん「…ううん。

僕、バミューダーさんと話したかったから、お兄ちゃんたちから、離れてきたのショボーン

 

バミューダー「どうしたの、改まっちゃって…?ほんわか

 

ロビンちゃん「あのさ、バミューダーさん。

僕ね、バミューダーさんのテルミンのリサイタル、本っっ当に行きたくてね。

ずーっと、ロビンカフェの毎月ほんのちょっとの売り上げだとか、ラークさんやポムちゃんの家の畑仕事を手伝った時に貰ったお小遣いだとかを、貯金してたんだけどね…ショボーン

バミューダー「うん…クックちゃんたちから、そのお話、聞いたよおねがいハート

ロビンちゃん、本当に有難うねほんわか

僕、今年も世界中を、頑張って演奏して回るから…」

 

ロビンちゃん「…僕さ、それ、諦めるから…

バミューダーさんには、幽子さんの傍に、ずっといてあげてほしい😟」

バミューダー「…え…どういうこと?

というより、ロビンちゃん、何故、君、そんなに顔色真っ青にして…驚きハッ

 

ロビンちゃん「僕、聞いちゃったの。

…幽子さん、バミューダーさんの過激なファンの人に、脅されてるよ。

これまでもずーっと、脅されていたみたい。今回は、お腹の赤ちゃんのことまで…」

バミューダー「…えっ!!ガーン

ロビンちゃん「バミューダーさんさぁ、幽子さんが体調が悪くなったから、早目にここに連れて来たって言ったよね。

…『脅し』のせいだよ。幽子さんの体調が悪くなったのは。

幽子さん、ずっと脅されてたんだ。…バミューダーさんと別れないと、お腹の赤ちゃんともども、酷い目に遭わすって。

バミューダーさんが、幽子さんにずっとついてて、守ってあげないと、幽子さん、今に取り返しがつかないことになる」

 

バミューダー「…幽子さんが、僕のファンの一人に?」

ロビンちゃん「うん。
バミューダーさんは、リサイタルツアーを辞めてでも、幽子さんの傍に付いててあげないとダメ。幽子さんも赤ちゃんも、本当に危ないんだ。
僕、ラークさんやポムちゃんたちが、マネージャーさんからの電話を受けて、その話をしているのを偶然聞いて、急いで知らせに来たの」

 

・・・・・

バミューダー「…幽ちゃん」

 

幽子「バミューダー…」

 

バミューダー「あの…幽ちゃん。君は…

君が、体調を悪くしたのは、ぼ、僕の…」

幽子「…バレちゃったんだね」

 

バミューダー「全然気付かなくて、ごめん。

本当にごめんなさい」

 

幽子「…いいや…此方こそ、ずっと黙ってて、本当にごめんね、バミューダー」

バミューダー「でもっ…でもさ、何で?

何で幽ちゃん、僕にだけ、相談してくれなかったの?そ、そんな大事なこと…。

何より誰より、僕が知っておかなきゃならないことでしょ…」

 

幽子「…知れば、バミューダーは優しいから、あたしと、このお腹の子の為に、テルミン弾きを辞めるって言い出すんじゃないかって、思ってさ」

バミューダー「………」

 

幽子「バミューダーの顔を、一度も見ることすら出来ずに亡くなったお母さんのことがあるから、不安で、演奏旅行どころじゃないって、言い出すんじゃないかって」

 

バミューダー「でも、でもっ、だったら、尚更…えーん

何にも知らずにツアーに出掛けた後で、もし、君に何かあったら、ぼ、僕は…。

…ああ、ごめんなさい、君にそういう風に思わせていたのは、僕のこういう態度だったねえーん

幽子「…ロビンちゃんから聞いたんだろう?」

 

バミューダー「うん」

 

幽子「ロビンちゃんは、なんて?」

 

バミューダー「『僕、バミューダーさんのリサイタル聴きにゆくの、諦めるから』って…」

幽子「そう、そういう優しいファンが、大半なんだよ。バミューダーのファンって。

バミューダーのことが、本当に大好きで、バミューダーに辛い思いをさせるくらいなら、大好きなバミューダーの演奏を二度とステージで聴けなくなっても、自分は我慢するって。

優しくて善良で、とてつもないおバカさんだ。…そういう人ばっかりおやすみドキドキ

 

バミューダー「…………」

 

幽子「そんな思いを、多くの誠実なバミューダーのファンにさせるの、可哀想じゃないかにっこり

バミューダー「うん…解った…

でも、僕からも言わせてね、幽ちゃん。

お願いだから、二度と一人で、悩みを抱え込んだりしないでよ。…僕ら、夫婦じゃないか。

僕、幽ちゃんに避けられてる、嫌われてるんじゃないかと思って、本当に悲しかったんだよ大泣き

…ああ、良かった、そうじゃなかったんだね。

僕、僕、今、泣いていいよね?えーんハートハート

・・・・・

 

ポムちゃん🍎🍏「それで…、どうなったの?ネザーランド・ドワーフ

 

トチーちゃん「結局、バミューダーさんへは、ロビンちゃんが知らせてくれたのねほんわか汗

それで…その後は?」

 

ラーク「ええ。…まず、そのファンは警察に問い質されて、自分が幽子さんを脅迫するメールや手紙を各所に送ったと、全て認めました。

仲間がいるかと思って、警察も充分調べたそうですが、完全にその人の単独行動だったそうです。

警察が本人から訊いたところによると、そのファンは以前、人生に躓いて何もかもうまくいかなかった時期に、バミューダーさんのリサイタルを聴いて感動して、楽屋にまで行って、勇気付けて貰ったことがあったそうで…それで、勘違いを。

でも、バミューダーさんの方は、彼女のことを全く覚えていなかったそうです。

…ほんの若い娘さんだったそうです。妊娠が女性の体にとって、どれ程デリケートなものかすら、まだ解ってない位の…」

 

ポムちゃん🍎🍏「あー…その子、知らなかったんだね。

バミューダーさんが極度の弱視で、一度逢って話したくらいでは、殆ど人の顔の区別がつかないってこと…ネザーランド・ドワーフ

おばあさん「おお…😟汗

 

ラーク「今はその人は、深く反省していると、繰り返し繰り返し言っているようです。

幽子さんにも、バミューダーさんの赤ちゃんにも、本当に申し訳ないことをしてしまったと」

 

おばあさん「トチーちゃんの言った通り、孤独な人だったのね…😟」

ラーク「幽子先輩は、そのファン本人が深く反省し、自分たちに申し訳ないと謝っているのであれば、この件は不問に付し、一切取り沙汰しないと言いましたおやすみ

 

ポムちゃん🍎🍏「穏便に済ませることにしたんだね。…でも、それで大丈夫?ネザーランド・ドワーフ

 

ラーク「僕もチラッと不安を感じましたが、思えば幽子先輩は、元々そういう人です。

その幽子先輩の優しくて大らかな人柄に、学生時代、バミューダーさんを筆頭に、僕らは皆、惹かれたんですよ。それにこれからは、バミューダーさんもついていますにっこり乙女のトキメキ

バミューダーさんは、そのファンの人の名前は完全に伏せた上で、今回の一連の騒動を、これこれこういうことが起きました、ということで、ファンの方々に向けて、事務所を通して公表しました。

その上で『自分は妻を心の底から愛しているし、我が子の誕生を心から楽しみにしている。妻は、あなた方ファンの皆様の、誰よりも誠意ある味方であって、敵ではない。そういうことをしたファン自身も、自分の大事な人生に傷をつけてしまうような、こういうことは絶対にしないでほしい』というメッセージを、発信したそうです。

バミューダーさんのファンの方々は、同じファンのうちの一人から、そういう人が出てしまったということを聞いて、激しい衝撃を受けたようです」

おばあさん「そう…おやすみ

トチーちゃん「でも…バミューダーさんの演奏旅行は、やっぱり中止なの?😟今年は…。

ああ、可哀想なロビンちゃん。あの子、本当に、勇気を振り絞ったわね…悲しい汗

 

ラーク「いいえ、中止にはなさらないそうですうさぎのぬいぐるみ

・・・・・

 

幽子「…ああ、いたいた、ロビンちゃん!」
 

バミューダー「…ロビンちゃん、僕らを助けてくれて、本当に有難う」

ロビンちゃん「…バミューダーさんのお役に立てて、僕、嬉しいよほんわか汗

幽子「あたしら、ロビンちゃんに、知らせたいことがあって、探してたんだよ」

 

ロビンちゃん「…うん。解ってる。リサイタルツアー、中止だよね。

…バミューダーさんは、テルミン、これからも、たまには弾くの?おやすみ

バミューダー「ううん、テルミン弾きは辞めないし、今年のリサイタルツアーも取り止めないよ。
赤ちゃんが生まれたら、今年も世界中を演奏して回るよ。

…それについて、ロビンちゃんに、僕のファンの皆から、お願いがあるって、ことづけを貰ってさほっこりラブレター

ロビンちゃん「…ことづけ?…僕に?

バミューダーさんのファンの皆さんから?びっくりハッ

 

幽子「うん。

今回の件で、ロビンちゃんの勇気に心を動かされた、バミューダーファンの有志の人たちからさ『黄泉・バミューダー・ブロッケン・ヴァルプルギスの今年のテルミンリサイタルを、是非、ロビンちゃんに聴きに行ってほしい。ロビンちゃんの貯金の足らない分は、私たちファンが少しずつ負担する。この国でのコンサート会場の座席を一席分、そのロビンちゃんの為に確保してほしい🎫』っていう、強い申し出があったんだよほんわか音符

 

ロビンちゃん「…えっ?驚きアップ

バミューダー「ロビンちゃんは、他のファンのみんなに申し訳ないから、僕の演奏をここで個人的には聴かない、僕からのリサイタルへの招待も受けない、チケット代を、ラークさんからもトチーちゃんたちからも受け取らない、自分でお小遣いを貯めてチケットを買うんだ…って言ってたよね。

…でもね、これは、その『僕のファンのみんな』からの、ロビンちゃんへの、たってのお願いらしいよ。ロビンちゃんに、僕のリサイタルの座席をプレゼントしたいから、是非、受け取ってほしいんだってプレゼントほんわか

その少年は間違いなく、バミューダーの本物のファンで、バミューダーの演奏を、生で聴く価値がある人だから、って」

ロビンちゃん「………驚き

幽子「ロビンちゃん…?」

ロビンちゃん「…僕…僕、今、ちょっと泣いてるの…ぐすん

バミューダーさん、僕が一度も演奏を聴かないうちに、本当にテルミン奏者辞めちゃうんだなぁ…って、正直、僕、本っ当に悲しかった…おねだり

 

幽子「…そうだよね。

そんな思いをしてまで、私達を助けてくれて、有難うねおねだりロビンちゃん」

 

ロビンちゃん「うううっ…えーんあせるあせるあせる

…うわあああん。うわあああん大泣きハート

バミューダー「…ロビンちゃん、僕の素敵なファンのみんなからの申し出、受けてくれるかい?ほんわか乙女のトキメキ

 

ロビンちゃん「…はい。…有難うございますおねがいキラキラ

幽子「な?…バミューダー。

あんたのファン、本当にみんな、良い奴ばっかりなんだってばニコニコハートのバルーン

小さい時、Yuni父が海外出張の度に少しずつ買い集めてくれた、ドイツ、Dusyma(デュシマ)社の伝統的な積み木。

色も手触りも形も最高に美しい、大好き大好きだった積み木。手垢で色変わりしても、なお綺麗だった。子供の頃のYuniの写真には、座敷いっぱいに、この積み木で出来た街や村が広がってた。
大きな袋いっぱいあったのに、20代の時に起きた実家の火災で、1ピース残らず焼けてしまいました。
懐かしくて忘れられず、甥や友人の子たちが遊びに来た時遊ぶ用にと思って買った。ラークさんの農場の背景として、時折登場させるつもりです。
・・・・・
 
♬ピンポーン🔔

 

ナースチャ「…ただいまぁ~!爆  笑🧳アップ

皆さ~ん!私、たった今、P市から帰って来たわ!ニコニコ飛び出すハート

ラークさん、一昨日の電話で、何か私に相談事がありそうな口調だったけど…一体、何が…😟」

トチーちゃん「…ナースチャ!!!…ああ、私達、あなたを待ってたのよ!大泣き

でも、たった今、何もかもが解決したの!ニコニコ

ああ、あなたが元気で戻ってきてくれて、とっても嬉しいわおねがい飛び出すハート

ナースチャ「えっ?…それ、どういうこと?ガーン

…今、どういった状況なの??驚き

 

ポムちゃん🍎🍏「うん、じゃ、ポムから説明するね…うさぎ

・・・・・

 

ナースチャ「なっ…何ですって~!?ムキーメラメラ

…私、皆から、そこまでギンギンに期待されてたのに、私が到着する直前に、事件が全て解決しちゃったっていうの?!無気力ガーン魂

私、とんだ大間抜けみたいじゃないのっ!チーン

ラーク「いやいや、そんなことないよ、ナースチャほんわか

皆、やっと重い軛のような悩みから解放されて、心底晴れ晴れした気持ちで、君の帰りを待っていたんだから…おねがいハート

 

100均おゆまるで取った型に100均樹脂粘土で作ったパーツを入れてレジンを流し、ジャムの瓶を作ってみた。蓋は100均樹脂粘土。

形を均一にするのはホント難しい…

 

ナースチャ「…いいえっ!物申す

なんかもう、皆が幸せそうなのは良かったけど…幾らなんだって、こんな展開ってないわっ炎ムキー炎むかっ

…うう。悔しいわえーんあせるあせるあせる

あんまり悔しいから、ラークさん。私、イクラの沢山載ったスモーブローを、今すぐ戴くことにするわっ!キラキラ怒りスプーンフォーク

 

・・・・・
「鳩の便り」シューベルト

僕は一羽の伝書鳩を飼っている

彼はとても忠義で信頼のおける鳩

宛先に確実に辿り着き、通り過ぎてしまうなんてこともない

 

僕は日に何千回とその鳩を放ち

偵察に向かわせる

鳩は沢山の慕わしき場所を過ぎ

僕の愛する人のもとへ飛んで行く

 

その窓から鳩はそっと中を覗き込み

かの人のまなざしや足音をとらえ

私からの挨拶を、戯れつつ伝え

かの人からの返事を持ち帰る

 

もう手紙を書く必要などないのだ

涙を鳩に預けてやりさえすれば

ああ、鳩は涙をも確実に届けてくれる

鳩は心底、忠実に僕に仕えてくれているんだ

 

昼も夜も、目覚めの時も夢の中も

鳩にとっては同じこと

鳩は飛ぶことさえ出来れば、十分に満足している

 

鳩は倦みも疲れも知らない

飛び立つ空はいつも真新しい

おびき寄せる必要も、褒美も必要とはしない

それほどまでに、かの鳩は僕に誠実なんだ

 

だから僕も鳩を信じ、胸に抱きしめる

心ときめかすお土産を期待しながら

その鳩の名をご存知か?…「憧れ」だ!

それは誠実この上なき、僕の使者。