「あさひなぐ」☆☆

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どうした!?ってくらい盛り上がらなかった一作

 

「あさひなぐ」はこざき亜衣さんの同名人気漫画の実写化作品。監督を「ヒロイン失格」「トリガール!」の英勉監督が務めている。メインキャストはアイドルグループ乃木坂46の面々。主演は西野七瀬さん。

ストーリー:東島旭は高校に入学し、何か運動部に入ろうと思っていた。ひょんなことから薙刀部に入ることになった彼女は運動音痴で、一緒に入った紺野や八十村にも遅れをとってしまう。二年生のエース、宮路真春が引っ張る二ツ坂高校は旭が入ってすぐの団体戦で快進撃を続けていたが、熊本からやってきた一年生、一堂寧々が大将を務める国領高校に破れ、全国大会への出場の夢が絶たれてしまった。暗い雰囲気の中、旭は「一堂を倒して全国へ行く」と宣言するが……。

 

どうしてなんですかね。英勉監督の作品は毎回割と好きなんですが、今回は全くヒットしませんでした。
メインキャストが乃木坂だからダメなんだろ?って思う人もいるかもしれませんが、そうでもなかったんですよね。演技自体が下手でひどいとは思いませんでしたし。まあその表面的な演技の上手い下手というのに加えて、それぞれのキャラクターを魅力的に演じるかどうか、という点において言えば、やっぱりまだまだなのかもしれません。
そういう意味で、演技としては下手ではなかったですが、良かったかと言えば、どうだったのかな、とは思います。

ただね、多分これは演技うんぬんじゃなくて、脚本というか、構成のせいでもあると思うんですよね。

※この後はネタバレを含みます。これを読んでから観ても問題ないように書くつもりではいるのですが、何もしらない状態で観たいなら、読まない方が良いかと思います。

何だか、構成が上手くいってない感じがしました。スポ根ものなんですが、盛り上がりに向けての流れがちゃんとできてなくて、妙に乗れないままエンドロールまでいってしまった感じがするんですよね。

同じ英勉監督の「トリガール!」はそういう意味で、後半の盛り上がりがすごく良かったんですよね。明確な山場があって、一緒に「うおおお!」ってなれたんです。だから、前半のごちゃごちゃ感があまり気にならなかった。でも、今回の「あさひなぐ」はストーリーの山場がちょっとぼやけてしまっていました

やっぱり練習試合がラストの盛り上がりというのはちょっと構成的に厳しいですね。まあ原作がある以上、そういう風にせざるをえなかったところはあると思うんですが、だったら旭と一堂のライバル関係をもっとしっかり描くべきだったと思います。そこもふわふわしちゃってるから、何だか盛り上がらないんですよ。

この旭と一堂の関係性が上手く描かれていないというのと同じような問題点は他にもいくつかありまして。旭含め、部員の薙刀の実力みたいなのがちょっとよくわかんないんですよね。真春と一堂はわかるんですが、他のキャラクターの強さがさっぱりわからないし、旭も特に上手くなったという描写があるわけでもないままになっちゃってて。

まあ大体、この手の作品の主人公って何か特徴があると思うんです。ここが強み、みたいな。それが全然ないので、ちょっとよくわかんないんですよね。ただ口で「一堂に勝ちます!」って言ってるだけのキャラクターになってて、何でそれだけで強くなった感が出てるのか不明でした。

こういうのが結構あって、やっぱり個々の薙刀の強さやプレイスタイルに関する特徴が描かれないために、作中に合宿があっても、その前後で強くなったのかどうかがさっぱりわからないということになってしまいました。

青春スポ根っぽい作品を見ているんだけど、ずっと乗れない。盛り上がらない。そんな微妙な気持ちで最後までいってしまう作品だったと思います。

乃木坂ファンの方々は良いのかもしれないですが、すごく魅力的に撮っているわけでもなく、って感じだったので、どうなんでしょうかね。

あと、恋愛要素的なものもすっごく中途半端に入ってきてて、ここはカットすべきだろう、って程度だったので、全体的に色々構成がおかしかった気がします。

原作を読んでないのでわからないですが、僕の観た中では久しぶりにあんまり上手くいかなかった実写化って感じでした。

 

題材は面白いし、ちょっともったいなかったですね。こまごまとしたところで面白かったので、残念です。

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