
壮大な設定の割に小さく見える世界観とあやふやな展開
「キング・オブ・エジプト」は古代エジプトを舞台としたアクション映画。監督は「ノウイング」のアレックス・ブロヤス。主演は「300」などのジェラルド・バトラー。
ストーリー:古代エジプトでは神々と人間が共存しており、神オシリスがエジプトを、神セトが砂漠を治めていた。しかし、オシリスは彼の息子であるホルスに王位を譲ることにする。その式典にはコソ泥の青年ベックとその恋人ザヤも参列していた。だが、ベックたちの目の前でオシリスはセトに殺され、ホルスは両目を奪われてしまう。セトの統治が始まったエジプトでは人々が苦しい生活を送っていた。ベックはザヤの協力でセトがホルスの目を隠している場所を発見。目を盗み出してホルスに再び立ち上がってもらおうと考えるが……。
うーん。いまいちでした。ハマる人はいると思いますが、僕にとっては全然ハマらず。
今作、エジプト人役に白人をキャスティングするなどして人種差別的な観点からも注目を集めた作品だったわけなんですが、そんなの関係なかったです。キャスティングが悪いとかじゃなくて、つまんなかったです。
まず、それぞれのキャラクターに魅力がありませんでした。そういう意味ではキャスティングが悪いとも言えると思いますが、脚本の問題も大きいと思います。ホルスの成長を描きたいのかわからないですが、しょっぱなからホルスが割とクソ男として描かれるんですね。そうなっちゃうともうそんな息子に王位を継がせるオシリスのことも信用できないし、王位継承式でオシリスぶっ殺しちゃうセトなんか論外だし、神なんて全部クソだなぁ、って思っちゃうわけなんですよ。
しかも、そこでセトに対抗しない神々がその後セトの統治に抵抗をするという展開。えー。何であそこで戦わなかったの。ホルスのおかげでセト結構ピンチになってたじゃない。と、思ってしまいました。
で、何かよくわからないけどザヤが奴隷として働いているところへ割と堂々と入り込んでセトがホルスの目を隠している場所の設計図を見せてもらうベック。恋人を危険な目に合わせているという自覚は全くありません。それなのに見つかるとわーわーわめきます。
何だろう、この世界の人たちは先のことを考えるという能力がみんな欠如しているのでしょうか。
それから、設定が壮大っぽいのに、ちょっとよくわからないんですよね。エジプト神話の知識が前提なのかもしれないのですが。
あと、脚本が大雑把なんですよね。これは結構きついです。正直。だって盛り上がりそうなところが雑なんだもの。ホルスの目を手に入れるためにベックが忍び込むところの罠のギミックとかよくわからないし、作中で言及される2つの橋がどれを指しているのかも不明だし。何か盛り上がりそうなところをあっさり通過したりするので、観ている側からしたら「おっ!どうなるんだ!?どうやって切り抜け……うん……通過するよね。主人公だもんね」って感じでちょっといまいちのれないんですよね。スフィンクスのところとかも不完全燃焼だし。
色々な要素を入れて楽しくしようとしてくれているのはわからなくもないんだけど、世界観も半端なんですよね。エジプトにあんな建物あるわけない!っていう指摘をしたいわけではないんですが、だったらもうちょっと魅力的な建物にしてほしかったわけなんです。これは完全に主観だけどさ。
制作側としては続編を作りたかったようですが、アメリカでの酷評っぷりによってイギリスでの上映がキャンセルされるなど、ちょっとシリーズとして続けるのは難しそうです。
ただ、エジプトが好きな人は好きかもしれないですし、予告編から面白そうだと思ったなら行ってみてもいいかもしれません。僕個人としてはあまりおすすめをしません。
公式サイトはこちら。
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