フランクフルトオペラ フェドーラ | Mevrouwのブログ。。。ときどき晴れ

アスミク・グリゴリアンが歌うということだったので、

チケットを買い、そのあとのオペラナイト

Flying Buffet with Pop-up performances とやらのチケットもはずみで買ってしまった。

フライングバフェというのはドイツ独特の呼び方らしいんだけど、ウェイター・ウェイトレスさんがトレーに飲み物やお料理をのせてお客さんにサーブして回る、っていうもの。

ポップアップパフォーマンスというのは本当はグリゴリアンが歌うはずだったけど、

オペラ自体をキャンセルしたので当然オペラナイトにはお出ましなし。

きっと座付き歌手がさらっと歌う程度だろう。

それにドイツのバフェなんてあんまり期待できないし。

オペラそのものもどうだろうなあ、と、行くかどうか迷ったけど、やっぱ行ってみた。

 

行きは2回乗り換える(うち一つはドイツの私鉄)安い鉄道切符を買い、帰りは夜中にでるフリクスバス。

電車は幸い遅れもなくオペラには十分余裕のある時間に到着した。

だけど、間違えてアルテオペラに行ってしまい、入り口が開いてないので妙だと気づく。

付属のレストランのドアボーイさんに開いてないけど、オペラはここかときくと、

3階にいけというのでいちおう上がってみた。

やっぱレストランだけじゃん。opera っていう名前のレストラン〜

入り口にいた紳士淑女に尋ねてみた。

「オペラ見に来たんですが、ここではないんですか?」

「あら、ちがう劇場よ。」

「え?ここから遠いんですか?」

「歩いて12,3分だよ」

「ありがとうございますー!」

このとき開演20分前。

ランニングシューズだったので走った。グーグル地図みながら。

わりとすぐに着いたけど。

荷物を預けたり靴を履き替える時間なし。

でもゼクトを配ってくれていたのでかけつけ1杯いただき、トイレだけ行ってそのまま着席。
まにあってよかった、、、
 

Fedora

Umberto Giordano 1867–1948

 

Melodramma in drei Akten

Text von Arturo Colautti nach Victorien Sardou

Uraufführung 1898, Teatro Lirico, Mailand

 

Übernahme einer Produktion der Königlichen Oper Stockholm, Premiere 10. Dezember 2016

 

Conductor

Lorenzo Passerini

Director

Christof Loy

Rehearsed by

Anna Tomson

Coach

Aileen Schneider

Set & Costume Designer

Herbert Murauer

Lighting Designer

Olaf Winter

Video

 Velourfilm AB

Chorus Master

Tilman Michael

Dramaturge

Thomas Jonigk

 

Fedora

Svetlana Aksenova

Loris Ipanow

Giorgio Berrugi

De Siriex

Nicholas Brownlee

Olga Sukarew

Bianca Tognocchi

Gretch

Frederic Jost

Dimitri

Bianca Andrew

Desiré

Peter Marsh

Rouvel

Michael McCown

Cirillo

Anthony Robin Schneider

Borow

Gabriel Rollinson°

Lorek

Pilgoo Kang°

Nicola

Leon Tchakachow

Sergio

Lukas Schmidt

Michele

Damjan Batistić

Boleslao Lazinski (pianist)

Mariusz Kłubczuk

A Young Boy

Samuel Preisenberger / Rocco Schulz

Basilio

Dominic Betz

Dr. Müller

Kobe Linder

Commissar's Assistant

Henry Holland-Letz

Policeman

Lauritz Jordan

Wladimiro

Joakim Stephenson

Oper Frankfurt's Chorus
Frankfurt Opern- und Museumsorchester

°Member of the Opera Studio

 
グリゴリアンは5月に2公演だけ歌うはずがドタキャンし、
4月にずっと歌っていたナージャ・ステファノフも千秋楽は無理となり、
急遽このプロダクションは初めてのスベトラーナ・アクセノーヴァがジャンプイン。
ただし、歌うのも初めてだし、演技までこなせるか。
クリストフ・ロイに直接会って稽古つけてもらったらしい。
まあ、万全にはいかなかったと思う。弱音にしてほしいところがなかなか。
が、妙なビブラートもなかったし、とても健闘していたので拍手!
相手役のジョルジア・ベルッジはコテコテのイタリア人だし、役得のアリアも盛り上がってよかった。
脇の歌手陣も悪くない。
 
演出はステージに大きな額縁があって、中身が時にはスクリーンに、時には別の部屋、時には別次元になる。
 
スクリーンでヒロインの心象などの映像が映し出されるときはフェドーラがグリゴリアンの時が多いので、かわいそうなスベトラーナ、という感じ。
グリゴリアンはストックホルムでこのプロダクションが2016年に初演されたときにずっと演じていたのだそうだ。
キャンセルしたグリゴリアンが映像だけで出てくるので申し訳ない、みたいなことを開演前に劇場の支配人が言っていた。

ラツィンスキーがピアノを弾くのも額縁のなかでスクリーンがかかっていた。
フェドーラとロリスの世界とは隔絶したところ、という感じ。

あと、衣装が豪華。

                                          これはステファノフなんだけど、ロシア人のアクセノーヴァも超似合っていた

 

少年が亡霊のように額縁の中で姿を見せつつ歌うのもなんとなくスリラー映画風。


ストーリー

婚約者を殺されたフェドーラは犯人を探しているが、魅力的なロリスと知り合う。ロリスは婚約者殺害犯ではないかと疑われているにもかかわらずフェドーラは彼を愛するようになる。やがて本人に犯人はあなたかと問い詰め、そうだ、と恐ろしい返事を聞いてフェドーラは警察に密告する。復讐できると思っていたら、ロリスの弟が警察に事情聴取で捕まり運悪く留置所が洪水になり死んでしまい、ショックで母親も心臓麻痺で亡くなったという事を聞き罪なき人を犠牲にした事を悔やむ。さらにロリスから実は当時彼の妻とフェドーラの婚約者が不倫しているのがわかって現場を押さえて男を撃ち殺したが、妻もショックで病気になって死んだというさらに驚くべき事実を聞く。フェドーラは罪の意識に耐えきれず毒を飲んでロリスに赦しを乞いながら死ぬ。ほとんどが死んでしまう暗い話。



そしてオペラのあと、やっと靴をはきかえて荷物をあずけ、フライングバフェへ。

期待以上に色々つまみやお料理が配られ、ワインも辛口でよかった。

パフォーマンス、初っ端はなんと指揮者パッセリーニがトロンボーンを吹いた。

それがちゃんとプロだった。もともとトロンボーン奏者でオケにいたそうである。

アクセノーヴァは歌わず、インタビューのみだったが意外にドイツ語流暢だった。

調べたら以前バーゼルの座付きだったのだ。

ほかはズボン役のアルトが「ズボン役はもうこりごり」みたいなコミカルな歌をうたい、

ソプラノがキャンディードを歌い、テノールが南太平洋を歌う、みたいな。

明るく、ノリの良い曲が多く、大いに楽しかった。





その上、スタンドテーブルで一緒になった御婦人がとても良い方で、

もちろんフランクフルト在住でオペラ通。

でも批評家みたいなことは言わない。批評家の書くことも好きじゃない、そうである。

それで、

このオペラの初日に来たらシュテファノフがすごくよかった、とか、

どこそこのあの演目がよかった、

来季はどの演目がおすすめ、

とか色々と楽しくお話をうかがった。

彼女、多分75歳くらいかな。でもずっと立ったままで、ローストビーフをおかわりして食べ、ワインもたっぷり飲んでいた。帰る段になると私は運転して帰るからじゃあね、お元気でね!と。タフで素敵だ。惚れたわ。

こういう出会いがあるのは幸運だった!


その後は夜中発のバスでアムスへ。

またまた朝帰りでそのまま犬の散歩🐕

ありがたい暮らしと思っている。