11年に過去最高の3077件となった直方市消防本部の救急出動件数が、12年はわずかに減ったものの3042件に上った。同本部は「地道に適正利用を呼びかけるほかない」としている。 .  


同本部によると、救急出動件数は11年まで3年連続で増加し、3台の救急車が全て出払う回数も増えた。実際には救急搬送の必要がない利用者もおり、12年度は「救急車、もう限界です……」と書いたポスターを市内に掲示するなどして、適正な利用を求めている。  


統計によると、12年の救急車の2台同時出動は587回(前年比9回減)、3台同時は122回(同11回増)あった。また利用者の症状の内訳は、重症6%▽中等症(入院を伴うもの)55%▽軽症(入院は必要ないもの)39%。「熱が2、3日続いている」など、救急利用にはそぐわない通報もあるという。  


担当者によると、住民への周知に取り組んだ、必要な際に119番に回す消防署の電話も、目に見えた利用増加は感じられなかったという。同本部は「AED(自動体外式除細動器)の講習など、さまざまな機会を通じて、住民に適正利用を訴えたい」と話している。

 福知山市の市民救命士講習を修了した旭が丘の吉田さん(67)と西岡町の乾さん(75)が12日、南丹市園部町の園部消防署で、人命救助に大きな貢献をしたとして中川能季署長から感謝状を受けた。

10月下旬に京丹波町の府立丹波自然運動公園で、心肺停止状態になった京都市在住の男性(78)に、2人で力を合わせて適切な措置をして命を救い、社会復帰させた。

 2人は民生児童委員を務めていた時などに、吉田さんは3回、乾さんは1回、福知山市消防本部が行っている普通救命講習を受け、市民救命士の資格を取得している。
 
 同じシニアソフトボールチーム「京都ビッグマウス」に入り、府立丹波自然運動公園を拠点に京都府内の8チームでリーグ戦をしている。10月下旬にも試合に参加し、自分たちのゲームが終わって、他チームの試合を観戦している時だった。キャッチャーをしていた京都市内の男性が、フライを受ける際に倒れ、見る見るうちに顔が青白くなった。
 
 バックネット裏付近にいた2人は、「倒れ方が不自然でおかしい」と直感。駆けつけて容態を確認すると、心肺停止状態に陥っていた。周りの人に救急車の出動要請を依頼する一方、胸骨圧迫と声掛けを交代で続け、到着した救急隊に引き継いだ。
 
 その場で救急隊によるAED(自動体外式除細動器)を使った処置が施されると男性は息を吹き返し、意識を取り戻した。5日間の入院後、社会復帰し、今は普段通りの生活をしており、福知山市にも救命への感謝の気持ちを伝えるために訪れたという。
 
 2人は「講習で覚えた蘇生法を生かすことができて、良かった。男性が助かってほっとしています。チームの他のメンバーにも、機会を見つけて講座を受けるように勧めたい」と話していた。
 
 中川署長は「2人の冷静な判断で、講座で学んだ胸骨圧迫による心肺蘇生をされ、生命の危機状態だった男性を救うことができた。救急車が到着するまでの適切な処置が肝心。感謝しています」と喜んでいた。
 
 吉田さんは、3年前にも福知山市内で心肺蘇生による人命救助をし、市消防本部から感謝状を受けている。

■普通救命講習を延べ1万4833人受講■

 福知山市消防本部によると、市内の普通救命講習は1996年に始まった。11年度末で、約890回開き、延べ1万4833人が修了しているという。
 
 「講座内容は5年ごとに見直され、2006年からはAEDの操作の指導も取り入れている。今まで複数回受講した方は約2割。3年ほどの間隔で再受講し、救急技能を向上させてほしい」と呼びかけている。


緊急時に119番通報と心肺蘇生法を的確にナビゲートする「救命ナビ」

 仙台市は2月12日、応急手当てについて学べるスマートフォン用アプリ「救命ナビ」を公開した。企画・制作は仙台市消防局。

 救命講習会の開催などを通じ、応急手当て普及に取り組む同市。高齢化などの影響で年々救急車の出場件数が増加していることから、「心肺停止といった重篤な傷病者が発生した場合には、現場に居合わせた方の応急手当てが重要になる」と判断。「より多くの市民の皆さまに応急手当ての知識を身につけてもらいたい」と、アプリ制作に踏み切った。消防庁「応急手当短時間講習普及促進研究事業」を活用し、開発費用は700万円。

 音声や動画を使い、緊急時に119番通報と心肺蘇生法を的確にナビゲートする「救命ナビ」と、心肺蘇生法やAEDの取り扱い方法、止血法や熱中症の対処法などを分かりやすく解説する「応急手当を学ぶ」のメニューを用意。仙台市内と全国のAED設置場所を確認できる地図機能も。

 子どものプールの監視員当番で救命救急講習を受けたことがあるという奥山恵美子仙台市長も同アプリを体験。「いざ何かが起こった時に、講習を受けていたとしても慌てて分からなくなることが相当あると思う。アプリのようにガイダンスがあると、だいぶ助けになるのでは」と話す。

 アプリ公開に合わせ、パソコンやタブレット端末で救命講習の事前学習ができるサイト「応急手当WEB講習」も開設。動画を視聴しながら応急手当ての基本を身につけられるもので、利用することで市内の各消防署や救急サポートセンター(仙台市防災安全協会)が実施する「普通救命講習」の受講時間が短縮される。

 奥山市長は「救える命をしっかり助けるためには、初期の応急手当が極めて重要。ご家族はじめ大切な方のいざという場合に備え、より多くの市民の皆さまに積極的に活用いただき、応急手当てを身につけていただければ」と呼び掛ける。

 利用無料。iOSとAndroidに対応する。


 済生会横浜市南部病院の研修医、木川智博さん(28)(横浜市港南区)が、電車内で突然倒れ、心肺停止状態に陥った60歳代男性の命を迅速な処置で救った。

 バタン――。横浜市のJR京浜東北線関内―石川町駅間を走行中の電車内。大雪に見舞われた1月14日午後5時半頃、イスに座っていた60歳代男性が正面から床に倒れた。

 木川さんは「倒れ方が危険だ」と思い、声をかけたが、返事がない。手首に触れると脈がない状態だった。乗客が非常停止ボタンを押し、電車が停止した。木川さんは男性をあおむけに寝かせた。

 携帯電話で119番したが、つながらない。雪の影響で通報が相次ぎ、つながりにくくなっていた。他の乗客に「誰か、119番をかけ続けて下さい」と呼びかけた。車掌から自動体外式除細動器(AED)が電車内にないことを告げられ、「電車を動かして下さい」と頼んだ。

 倒れて約5分後、石川町駅に到着。駅員が持ってきたAEDで男性に電気ショックを与えた。汗があると電気が分散してしまう。周囲の乗客が貸してくれたタオルで男性の体を拭いた。2度目の電気ショック。呼吸が戻った。「やった」。周囲の人たちから声が上がった。男性を搬送する救急車に同乗し、市内の病院まで付き添った。

 男性は心筋梗塞と診断され入院し、6日に無事退院したという。JR東日本は7日、木川さんに感謝状を贈った。


 テニス大会に出場中に倒れ、心肺停止状態となった男性にAED(自動体外式除細動器)で適切に処置し、人命を救助したとして、奈良市消防局は4日、同市五条の介助者、長谷川さん(59)に感謝状を贈呈した。

 市消防局によると、昨年11月10日午前9時40分ごろ、市内の鴻ノ池運動公園で、テニス大会に出場し、試合を終えて歩いていた生駒市の会社員、仲村さん(61)が突然、意識を失って倒れた。

 大会の受け付けをしていた長谷川さんが気付き、心臓マッサージやAEDの電気ショックなどの応急処置を施し、到着した救急隊員に引き継いだ。

 長谷川さんは普段、障害者福祉施設で障害者の介助などをしており、AEDの使い方についても講習を受けていた。長谷川さんは「とにかく必死だった。講習を受けていなければ、とっさには動けなかった」と振り返る。

 一方、九死に一生を得た仲村さんは「全く意識を失っていた。皆さんのおかげで生きていると思うと、感謝でいっぱいです」と話した。現在は後遺症もなく、元気に回復している。

 長谷川さんに感謝状を渡した市消防局の中央消防署長は「これからも事故に遭遇すれば、ぜひ勇気を出して人命救助に当たってほしい」と協力を呼びかけた。