【K-Pop】Hip-hopで勝負しない方がいい理由(他文化解釈への注意点) | アカデミアからのぞくJ-POP, K-POP, HIP-HOP

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このブログではアカデミックな立場から(主にアメリカで)どのようにJPOP, KPOP, HIP-HOPが認識・議論されているかを文献なども紹介しながらお話ししていきます。のんびり書いています♪

こんにちは〜。

 

以前、K-pop業界における

ブラックミュージック丸パクリの件

をお話ししたことがあるのですが、

これに対してブラックミュージシャン側は

それほど気にしていない、という現状を

書きました。

 

 

さて、本日は、

 

 

【K-Pop】Hip-hopで勝負すると売れなくなる理由

ブラックミュージックを丸パクリしても

アメリカで問題にならないのは、African American

コミュニティーのサンプル文化も関係している

ので、引用をすれば何となく許される・・・

ということはあるかと思います。

 

ただし、今回のお話は、

その後、です。

 

K-popアイドルグループが

African American cultureであるhip-hop(ラップ)

で本格的に勝負しない方がいい。少し

取り入れる程度に納めておくほうがいい。

または控えめにしておいたほうがいい。

(K-popファンダムが

大きいので売れるかもしれませんが)

 

これがなぜかということをお話しします。

 

まず、黒人文化を把握していないことから

誤解した解釈でパフォーマンスをしている

ケースを見かけます。

例えば、ラップをしている時の動き、スタイル、

服装、言葉遣い。

男性アーティストなら、セクシーな動きで

「男性性」を強調する。

女性バックダンサーもかなり露出の多い

衣装でセクシーダンス・・・

 

これがなぜhip-hopスタイルとして

解釈されるのか。

この文化の外側にいる人間にはわかりづらい

ことだと思います。

顔を歪めてラップをしたり、

セクシーな動きをするのが

「かっこいい」のだ、という

解釈になっていないか、という問い。

「なぜ?」が抜けてしまっている。

文化の始まり、なぜAfrican Americanは

ラップで自分を表現するのか、

「なぜ?」をまず追求して、

誤った文化の見せ方、他文化を

借用するときのあり方が問われます。

 

さて、Hip-hop文化の概念は、

  • コミュニティーでのコラボ
  • コミュニティーへの招待と参加
  • 全く制限されない個人のあり方

このようなことが重要視されます。

 

一方、K-pop文化では、

  • 完璧なイメージ
  • 作られたコンセプト
  • 統一性・均一性

このようなことが重要視されます。

 

Hip-hop文化は黒人・ラティーノコミュニティーに

より作られた文化で、人種差別による抑圧されて

いた不正義・不平等からの自由、抑圧されていた

自己表現の解放の手段として生まれた文化です。

 

Hip-hopの基本のコンセプトは嘘偽りのない

本当の姿をさらけ出すこと、なのです。

 

ということは、コンセプトがK-popとは

真逆ということになります。

矛盾が生じるのです。

K-popアイドルは特にHip-hopをパフォーマンス

するときに気をつけなければいけないところです。

というのも、K-popアイドルがそもそも

Hip-hopはできないのです。

K-popアイドルがラップをするのは

結局文化を理解するためではなく、

「かっこいい」と思い込んで誤解したまま

表面的なパフォーマンスに止どまるという

ことになります。

 

ヒップホッパーたちは全く構わないんです。

歓迎するし、感謝をしてくれます。

なぜなら、自分たちの文化がいかに他文化に

影響しているか、自分たちの価値を確認できる

からです。これがものすごく微妙なところなのですが、

実力を評価しているのではないということを

頭に入れておくこと。

それはまた別のお話しです。

自分たちの仲間として受け入れたわけでもなく、

価値にお金を運んできてくれる、もうかる手段は

全て歓迎だ、ということです。(K-Popも

ビジネス面が強いので持ちつ持たれつという

ことにはなるのかもしれません。)

 

彼らのコミュニティーは想像以上に結束が固いです。

ラップをしたり、ヒップホップダンスをしているから

友達にはなれるけれど、では認めてくれているのかどうか

ということに関しては「別問題」なのです。

 

なので、K-popアイドルたちが本格的にHip-hopで

しかもアメリカで勝負しようとするとそれが

アジア系の英語ネイティブ

であってもあまり売れないということになります。

こちらで生まれ育ったアジア人がラップでチャートに

入ってくることはほぼないです。

私が今思いつくのはMC Jinぐらい。(⚠️BTSのJinじゃないよ)

 

MC Jin 下差し

 

ただ、BTSクラスになるとHip-hopコミュニティーの

サポートではなく、ファンダムが巨大なので

チャートに入ってくることはあるかもしれませんが、

そういうケースは珍しいと思います。

どちらかというと、POPで勝負した方が

グローバルでは受け入れられやすいかもしれません。

 

それではまた。