書呆子のブログ -4ページ目

オックスフォード大学からのメール

予想通り、緊急事態宣言が延長されることがほぼ決まった。

 

興行関係では7月10日のチケットを買っていたシアターコクーンのカナダからの招聘公演『HIROSHIMA』の中止の連絡が来た。

これで中止になったのは株主優待も含めて29件。

 

 

【オックスフォード大ではコロナのワクチンの研究が進んでいるらしい】

卒業生向けに同大日本事務所から以下のようなメールが来た。

 

「オックスフォード大学日本事務所より2020年トリニティ・ターム(4月- 6月期)のニュースレターをお送りいたします。いま世界は新型コロナウイルスと闘っていますが、オックスフォード大学でも研究者たちは、治療法の開発、感染患者を助けて社会を守る取り組みに、日々奮闘しています。今回のニュースレターではオックスフォード大学での取り組みをいくつかご紹介します。

  • 新型コロナウイルス ワクチン臨床試験
  • 新型コロナウイルス 治療薬の臨床試験
  • 新型コロナウイルス研究へのご支援のお願い
  • 新型コロナウイルス研究 最新情報
 

 

 
 

News

 

Covid-19 Vaccine Trial 

 
     
 

Researchers from Oxford are working on a large-scale vaccine trial for Covid-19. They are hoping to produce a vaccine and make it ready for large-scale production as quickly as possible. 

オックスフォード大学研究チームは新型コロナウイルスワクチンの大々的な臨床試験を開始しました。大量製造の計画も含め、できるだけ早い実用化を目指しています。

 
     
 

Find out more about Oxford's Covid-19 vaccine trial 」

 

オックスフォードのチームはMERSのときもウイルス開発に貢献したらしく、

「予測を上回るスピードで開発が進んでいる」とあるが、それでも「within the uear」というので、気が遠くなる。

 

東大の卒業生課から来たメールはしょうもなかった。

 

上記のオックスフォードからのメールがワクチン開発について具体性がある情報なのに、総長からのメッセージは下記の通り:

 

2020年4月21日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)緊急対策のために

現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が、世界規模で爆発的に拡大しています。国内においても都市部を中心に患者が急増し、終息の見込みは立っておりません。特に海外では医療崩壊により十分な医療が受けられない状態に陥るケース等も発生し、これまでに例をみない被害が生じています。そうした困難を前に、現場で過酷な診療業務に就いている方々に、心からの敬意と感謝の意をお伝えしたいと思います。

東京大学では、すべての構成員の健康を最優先するとともに、学生の学びの機会を確保するため、オンライン授業への全面的な移行を進めました。その一方で、学生それぞれの接続環境によって不公平が生じないよう対策を講じています。なによりも東京大学の学生には自立した個人として、その行動が他者や社会に与えることの自覚をもち、他者への思いやりを大切にすること、そしてこの危機は必ず終息するということを忘れず、焦らず、希望を持ち、諦めないことを伝えています。

感染拡大を阻止するためには、治療薬やワクチンの開発等を進めることも喫緊の課題です。本学の研究力を活かして、治療に寄与する薬剤の同定や検査技術の開発さらには疫学的解析など様々な分野で研究・開発を進めています。これまでにも感染阻止の効果が期待できる国内既存薬剤を同定したことを発表するとともに、東京大学ではPCR検査を迅速に行うことのできる検査機器の導入、コロナ対応ICUの整備、中等症患者に対応する病棟の開設など、全診療科の医師・看護師が参加しての医療体制の充実を図ってきました。

しかしながら、現時点で速やかに実行すべき取り組みは、これにとどまらず広範囲にわたります。ここに挙げた学習環境の整備や、医療体制の更なる充実はもちろんのこと、例えば財政的基盤が脆弱な東大発ベンチャー企業の支援等、それ以外にも多数考えられます。それらに対応するには、さらに充実した財政的下支えが必要不可欠です。

いま、この未曾有の難局にあたり、東京大学は、開学140年にわたる知の協創の拠点として、世界最高水準の学問の叡智を結集させ、この人類の新たな脅威に全力で立ち向かう所存です。

再び、安心して暮らせる日常を共に、一日も早く取り戻すべく、皆さまのご支援をお寄せいただきますよう、お願い申し上げます。

東京大学総長
五神 真

 

9年前の東日本大震災の際も、いち早くオックスフォード大とハーヴァード大からは日本人の卒業生全員に個別にメッセージが届いたのを思い出した。

 

 

 

岡村隆史の発言は絶対に許されない

【他人の不幸を楽しむという残酷さ】

 

岡村隆史がオールナイトニッポンで、「自粛だから風俗に行けない」というリスナーからの投書に対して、

 

「今は辛くても、自粛明けになったら、普通ならその業界には入ってこないようなきれいな女性が、お金に困って風俗嬢に転身するので、それを楽しみにしていてください」

 

と発言したというので炎上している。

 

ニッポン放送がHPで謝罪した他、岡村の所属するよしもと興業のHPにも謝罪文が掲載され、30日夜の放送で岡村本人が謝罪するということが、NHKのニュースでも取り上げられたのに驚いた。

 

この発言の残酷さ、心無さには驚くほかない。

 

自分は絶対にコロナくらいでびくともしない経済力をもっているという前提で、コロナのために経済的に苦境に陥る人たちを他人事として見下すだけでなく、生活に困って風俗嬢に身を落とす女性がいることを楽しみにするというのが、もう信じられない。

 

簡単にいうと、他人の不幸を喜び、そのために自分を含む風俗ユーザーが得をするのが楽しみだということを、ラジオで公言したということだ。

 

昔から飢饉や親の借金のために、あるいは生活苦のために身を売らざるを得ない女性が数多くいたし、昭和30年代に売春防止法が改正されるまでは遊妓業が公式にも存在し、仲介する女衒と蔑称される職業もあった(宮尾登美子の自伝的な小説『櫂』シリーズは父親が女衒である主人公の葛藤が中心に描かれている。その中には、弁護士の父親の下で裕福な暮らしをしていた主人公の級友が、父親の病死後貧窮し三人姉妹揃って主人公の父親の仲介で身を売るというエピソードもある)。山口百恵の赤いシリーズの中には、主人公の母親が赤線で働く売春婦(左幸子)という設定のものがあったくらいである。山口の実際の生年が売春防止法改正年とほぼ一致しているので。

 

現代でも、風営法を遵守しながらとはいえ、性的サービス業は存在し、職業選択の幅が狭い人が就く職業という側面が否めないことは、岡村自身が、通常はそんなきれいな人は風俗嬢になっていない、と認める通りである。

 

コロナのために、職業選択の幅が狭くなる人が増加するという、社会全体の不幸として憂うべきことを、自らの楽しみとするというのは一体どういう人間性なのかと思う。

 

 

岡村の発言でもう一つ許せないのは、「自粛だから風俗に行けない」ということを、「神様は乗り越えられない苦難は与えない」という表現で、いかにも大変な苦労であるかのようにいっていることだ。衣食住にも困る人が多数いる中で、このお気楽さは一体何なのだろうと思う。

 

【知事のジェンダー・バイアス】

女性差別という点では、誰も指摘しないが、神奈川県知事の4月8日朝の生放送での発言にも私は非常にひっかかった。

 

「保育園は休業しません。医療機関等で働くお母さんがいますから」

 

これは、育児は女性が担うものというジェンダー・バイアスに基づくものではないだろうか。

 

この知事は、自分では何も判断せず、4月10日に東京都が自粛する業界を正式に発表してからそれに倣った。

「東京と神奈川は隣接していますから」といっていたが、そこでは東京との類似性を強調するのに、補償の話になると,「東京とは財政の潤沢さが全然違いますから」と違いを主張するとか、8日の発言から始まった疑念は膨らむばかり。私も横浜市民だったことがあるが、こういう首長がいる県には住みたくないと思った。

 

 

【歌舞伎のLIVE配信】

外出できないから暇だ、という人が信じられない。

 

この機会に積読されている本やDVDを消化しなければならないし、在宅促進プロジェクトで、期間限定で通常なら見られないコンテンツが無料配信されているから、配信期限までに見なければならない。この期限があるところが、在宅を促してとてもいい方法だと思う。


 

国立劇場の、菊之助が忠信、知盛、いがみの権太の三役に挑む『義経千本桜』通し狂言三部作のチケットを買っていた。

歌舞伎でも文楽でも何度も見ている演目だが、小劇場なので、臨場感のある歌舞伎体験ができると思ったから。

 

なんとそれが無観客上演され、明日まで無料配信されているので、今日はそれを見ていた。

 

鮓屋の段は、実は私が初めて生で見た歌舞伎作品だ。高校生の時歌舞伎教室で同じ国立小劇場で見たのである。

そのころ私は吉右衛門の方が兄だと思っていて、担任の数学教師に訂正されたのだった。

 

何度見てもお里はいじらしい。弥助(実は熊野で補陀落渡海した平維盛。「いよいよ助ける」、という意味が劇中でも語られている。弥助寿司は今も存在する)を恥じらいながら新床に誘うシーン等は他の歌舞伎作品にはない微笑ましさだ。

 

太宰治の長女で、厚生大臣になった婿をとって青森の津島家の跡を継いだ(生前、放蕩や度重なる心中未遂等で実家に迷惑ばかりかけていた末っ子の裔が津島家を継いだのである)園子さんが最近亡くなったが、次女は既に亡くなっている小説家の津島祐子で本名は里子。『山を走る女』『寵児』を読んでその才能に驚いた。『斜陽』の太田静子を母とする太田治子の書くものとは比べようもない。(本妻の子より愛人の子の方が才能があるだろうと推測したが現実は逆だった)

 

太宰は歌舞伎好きで、『艶姿女舞衣』のお園と、このお里から娘の名を付けたそうだ。

 

菊之助はどんどんいい役者になっていくなと思う。

一昨年『夏祭浪花鑑』で、義父の吉右衛門と女房役の彼、息子の三人で花道を歩いているのを見たときは親せきのようにうれしかった。

今回の『義経千本桜』もとてもよかったが、忠信は菊五郎、猿之助、知盛は吉右衛門、権太は団十郎の方がやはり良かった。

とくに、上品さ、線の細さがこれらの役の妨げになっているような気がする。

 

しかし、無観客だと、大向こうから声がかかることもないし、おどける場面で笑いが起こることもないのが何とも物足りない。

 

明後日以降は、新国立でシナリオを公開しているのを読もうと思う。

 

【アイドルのLIVE配信】

山下智久のLIVE配信も見た。

インスタというのはほとんどやったことがなくて、今回のコロナ騒動で初めて見たので、スタンプの押し方とか、わからないのだが、動画を見ながらコメントをするとそれも同時配信され、配信主もそれに対してリコメントするというインタラクティブ性がある。

 

私は目立つために日本語、英語、スペイン語でコメントしていたら、最後の方で山下君が「英語の人もいましたね」といって、別れの挨拶を5文くらい英語でいっていたのに、同時性を感じてうれしかった。

 

【中止】

6月の浦井健治のコンサートも中止になった。

これでコロナで中止になったチケットは26件になった。自分からやめたのが1件で計27件。

 

【日中関係史】

エズラ・ボーゲルの著書。

中国が中央集権国家だったのに対し、日本が地方分権国家だったから、教育程度、経済基盤等が全国的に整っており、スムーズに近代化を成し遂げることができたという考え方が卓見だと思った。

 

東北軍の暴走の詳細も知ることができたし、

中国のどこに行っても奉られている孫文が実は中華民国設立に関しては、資金集め以外の貢献は大してしていないこと(多分、本当の貢献者は国民党員になるので、共産党政権はいいたくないのだろう、と私見では思う)、孫中山という名前が中国では通っているのに、実は中山は、中山孝麿が日本での大スポンサーだったことから名乗った号であったことなど、初めて知ることもあった。

 

石橋湛山が偉大なジャーナリストであったことも。

 

ついでに、満州生まれの小澤征爾の名が、板垣征四郎と石原莞爾からとったということも、著者のほとんどが漢字のない米国出身者である本書から教えられた。

 

 

イキウメまで

【公演中止】

6月13日のチケットを買っていた私の一番好きな劇団イキウメの新作公演も全部中止になった。

 

『散歩する侵略者』の初演を見て衝撃を受けてから必ず見ている。『太陽』を見たときはしばらく動けなかった。theatre goerで本当によかったと思う作品だった。この作品は蜷川演出のものは全くひどかった。演出によってこうも違ってくるのか、と思った。

 

1999年に野田秀樹の『パンドラの鐘』もほぼ同時期に、野田演出(堤真一、天海祐希主演)と蜷川演出(勝村政信、大竹しのぶ主演、野田とはかつて事実婚していたことが話題になった)で競演されたが、私が女優として最も評価している大竹を使っても、比べ物にならないほど前者の方が良かったし、受賞もした。

 

蜷川の芝居は主に藤原竜也(『身毒丸』を見て以来のファン。ホリプロのメインバンクにその頃勤めていたので、行員割引があったのである。当時15歳の藤原のことは知らなかったが、白石加代子[『悪魔の手毬唄』で出演シーンがほとんどなかったのにその怪演に中学生ながら魅了されたのであった)]出演しているものをかなり見てきたが、あざとさが目立ち、どうも好きになれなかった。

 

葬式の中継では、藤原、小栗旬、松坂桃李が一番目立つところに並んで立っていて、藤原はともかく、小栗・松坂は出演回数は少なく(松坂に至っては『ヘンリー4世』だけではなかっただろうか。ファンだから年に1度は立つ舞台は欠かさず見に行っているけど)、故人とのかかわりよりイケメンということを重視して目立つところに置いたのかなと違和感を覚えた。

 

なぜ6月の公演が中止になるかというと、外出自粛を守っていると、舞台に欠かせない稽古もできないからである。

 

6月の公演は、東京芸術劇場の『三人吉三』、青年団、彩の国『ジョン王』、サードステージ『日本人のへそ』、ケラの『欲望のみ』、浦井健治ライブがまだ中止されずに残っているが、稽古はリモートとかでしているということだろうか?

 

【美術館】

美術展等にも月数回は行っていた(身体障害者手帳で夫と二人分無料になったのでとても助かっている。東博については、年間メンバーになることも検討していたくらいだから)が、東京国立博物館の『出雲』展は単身赴任先からたまに上京した夫と行こうとしたら閉館になり、西洋美術館等、主だった美術館は軒並み閉館が続いている。

 

しかし、西洋美術館は、これまでのシアタートークをネット上無料公開しており、これから楽しむつもり。

 

【この不完全な世界】

昔から、ルールやマナーを守らない人がいると本当にストレスがたまるたちだった。

それで損ばかりしてきた。

 

国公立大学で教員をしていたときすら、同僚の教員のほとんどが授業に遅刻してきたり、早く授業を切り上げたりして、その間の学生の私語で隣の私の教室の授業を妨げるのがどうしても許せなかったが、学部長に「大学の教師は5分や10分遅刻したり早く終わってもいいという不文律があるからがたがた言うな。私の名前を出して文科省に問い合わせてもらってもいい」と言われたりした。

 

先日どこかの自治体で毎日5分遅刻してくる女性職員が停職二か月の処分を受けたのに、どういうことなのかと思う。

 

これまではルールを守れない人、向上心のない人たちに、ただイラついていただけだが、今電車内とかでマスクをしない人等には、現実に感染させられる可能性もあるのだから、精神的なことだけでなく肉体的にも攻撃されていることになる。

 

今平気で外にマスクなしで出ている人(そういう人は他人の命にも自分の命にも無頓着らしく、歩きたばこも前より目につくくらいだ)は、まさに私が子供のころから徹底的に忌避し、「そういう人のいないコミュニティで生きていきたいから」、という理由で、勉強して上へ上へと目指してきて、現に日米英香港の一番の大学を卒業した原因になった人たちである。

 

世界は不完全で、Nobody is perfectということは頭ではわかっていても、今、本当に辛い。