地区大会、横浜市大会決勝。
チームの勢いは最高潮。
だが練習試合で何度も戦ったことがある相手で、
相手チームの特徴がわかっていることは
相手も同じである。
優勝候補のチームを撃破した時と違って、
その日は最高のグランドコンディション。
これまでのどこかの学校の校庭と違い、
決勝の舞台は、今でいうJリーグの試合が行われるサッカー場だ。
天気も良い。
やはり強かった。
終始押され気味で防戦一方。
何本シュートを撃たれたか。
全員で必死に守る。
だがついに均衡が破れ、先制点をゆるし追加点も与えてしまった。
前半2点を先制され後半に折り返した。
このままでは負けてしまう。
後半は少ないながらもチャンスが訪れるもゴールを奪えず、時間だけが過ぎていく。
チームで一番上手なセンターフォワードのキャプテンにボールを集めるが、
当然ながら先方の守備陣もしっかりキャプテンをマークし思い通りにならない。
しかし当たり前だがキャプテンのマークを厳しくすればどこかが空く。
そしてゴール前、ディフェンスだらけのキャプテンからフリーの私にナイスなパスが出された。
俊足を生かしボールに追いつきニアポストめがけてシュート。
俊足だけでレギュラーを勝ち取った私。
ミスキックながらなんとか枠内にボールが蹴られ、
ネットを揺らした。
待望の1点で2-1!
時間はあとわずか。
その得点から何分もたたないうちに
先ほどと全く同じ形でキャプテンからパスが出された。
全く、全く、先ほどと同じ形だ。
ゴール右前、フリーの私。
俊足でボールに追いつき、インサイドキックでシュート。
練習では監督からいつも「逆のサイドネットを狙え」と常々言われていたことを
瞬間的に思い出し、逆のサイドネットに向かって蹴った。
相手ゴールキーパーは先ほどと全く形の為、ニアを予測し体も向けていたため反応が間に合わず、
ファーポスト、逆のサイドネットに、今度は落ち着きミスキックとなることなくきれいに
ボールが飛び、サイドネットを揺らした!
ゴール!
試合を振り出しに戻す。
俊足だけの崖っぷちレギュラーの私が連続得点し、
得点後まもなくホイッスル。
後半が終わって延長戦に突入した。