2024.5.4(土)ガルガンチュア音楽祭 太田弦指揮 大阪フィル | Concert memory

石川県立音楽堂

 

 ガルガンチュア音楽祭は「風と緑の楽都音楽祭」に代わり、今年から始まったもの。この音楽祭は映画音楽やアニメ、ミュージカルも多く取り上げるということで、発表当初は様々批判もあったわけだが、どうやら昨年よりチケットが完売する公演が多いようである。活気は昨年のほうがあったように思うが。

 大阪フィルは、30歳にして九州交響楽団の首席指揮者に抜擢された太田弦と共に、グローフェの組曲「グランド・キャニオン」、アイヴズのアメリカ変奏曲(W.シューマン編曲)を演奏した。コンサートマスターは須山 暢大。

 どちらの曲も初めて聴くものであったが、なかなか面白い曲であったと思う。グローフェの第三曲”山道を行く”での須山氏や、名前は分からなかったがチェレスタ奏者のカデンツァは光るものがあった。私自身チェレスタの演奏をじっくりと聴いたのは今回が初めてかもしれない。

 アメリカ変奏曲は太田氏の腕の見せ所であっただろう。正直グローフェの組曲は拍子が変わったり、裏から入ったり、オーケストレーションが複雑で指揮者の味は見えづらかった。演奏は軽やかで明るく、まさにアメリカの管弦楽曲だなという感じだ。彼の指揮は無駄がなく、的確に指示を出す。下手に音楽を揺らすことなく気持ちよく聴いていられる音楽を創り出してくれるのだ。人柄もよさそうで、演奏者とも良い関係を築いていそうだ。太田氏を抜擢した九州響はさすがだなとしか言いようがない。

 アンコールはルロイ・アンダーソンのワルツィング・キャット。終盤にティンパニやトロンボーン奏者らが異常にうまい犬の鳴きまねにはある意味仰天してしまった。こういうネタ的な部分も全力でやるのは関西人ならではなのかもしれないなとか思ったり。

 余談ではあるが、大阪フィルにはこの音楽堂は狭すぎるようで、金管勢は特に音を抑えているようだ。とはいえ、十分すぎる音量なのではあるが、フェスティバルホールに慣れていると管も弦も音量をかなり抑えないといけないのだろう。フェスティバルホールで広々と思いっきり吹いている姿を知っている身からするとついにやにやしてしまう部分であった。