(1)奨励会3段から小児科医に、立石径さん
少し前に奨励会3段から小児科医になった、立石径さんのことを記事にしました。
奨励会3段から小児科医に、立石径さん | ADHDの小児科医が伝えたいこと (ameblo.jp)
立石は径さん小学校3年生の夏から将棋を習い、小学生名人戦3位を経て、奨励会に入会しました。
中学卒業時には二段となりました。高校に進学するも両立できずに高校を2か月で中退しました。その後すぐに三段となり三段リーグに進むも昇段のタイミングが悪く、半年間の待ちぼうけをくらい、好きだった学校の勉強を独学で行い、16歳で大学検定を取得しました。
立石さんは当時久保利明九段、矢倉規広七段とともに「関西の三羽烏」と呼ばれ、将来を嘱望されていました。その3人の中で誰よりも早く三段になったのが立石さんでした。
しかし、医師になることを目指し、17歳で奨励会を退会し、受験生活に入りました。立石さんのホームページの記載によると
「医学部の難易度が高いことすらわかってない状況で、2,3か月勉強すれば受かるかもと楽観していました。事態を把握してからは真剣に取り組み、ほぼ自宅学習でしたが現役生に遅れること3年(遅れすぎ?)神戸大学に合格医学部生となりました」
その後、小児科医になり大学病院、総合病院勤務などを経て、現在は兵庫県三田市で開業されています。
(2)奨励会3級から現役で金沢大学医学部、その後小児科医に
上記の立石さんは奨励会3段まで進んだ後に退会したケースでしたが、私の大学時代、奨励会3級の時点で奨励会を退会して、金沢大学に現役入学された方(Mさん)がいました。
上記立石さんとの比較は以下の通りです。
退会した年齢 最終段級 大学 現浪
立石さん 17歳 3段 神戸大学 3浪
Mさん ? 3級 金沢大学 現役
立石さんはアマチュアの将棋の大会に学生時代に出場すれば最強だったと思いますが、出場されることはありませんでした。
Mさんは大学に入学後、学生将棋の大会に出場されていました。学生トップクラスの実力でした。
立石さんは17歳3段の段階で奨励会を退会しました。それから医学部に入学するまでには3年の回り道が必要でした。
Mさんの奨励会退会のタイミングは不明ですが、立石さんよりも早いタイミングで退会したと思われます。ある時期までは将棋中心の生活を送っていたはずですので、それから勉強中心の生活に移行して、現役で金沢大学医学部に合格するのは素晴らしい限りだと思います。
将棋の道から医師の道への転身のタイミングが医師としてのスタートを切る時期を3年間左右しました。
この3年間の違いは医師としてのキャリアに影響を与えたのでしょうか?
それとも大きな違いはなかったのでしょうか?
(3)好きなことを取るか?収入や安定性をとるか?
将棋は非常に面白いし、「棋士」という仕事は魅力的です。
しかし、競争は激しいし、成功するのは一握りです。
トップで活躍できる期間もそれほど長くはありません。
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将来の職業として考えた時、「棋士」と「医師」とでは期待できる収入と安定性がだいぶ違うと思います。
仕事に「やりがい」を求めるのか、「収入」「安定性」を求めるのか。
各人各様でよいと思います。
しかし、それぞれの職業の持つメリットとデメリットを慎重に検討して選択すべきだと思います。
「好きなことを仕事にする」
「好きなことは仕事にするのでなく、趣味として楽しむ」
どちらの方がよいのかよく考えてください。
大学の進学先も同様だと思います。
大学は「職業」に直結する面があります。
「〇〇が学びたいから」と自分の興味だけで大学の進学先を決めるのは、相応のリスクがあります。よく考えてください。