超福祉展 がんから復職した日テレ女性記者など | 艶(あで)やかに派手やかに

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11月7日、渋谷ヒカリエで行われた「超福祉展」に出かけ、色々見てきました。

なかでも私が伝えたいのは…

「病とともに生きるこれからのキャリア」と題した、がん就労をテーマにしたセッション。



登壇者は日本テレビ報道局社会部記者の鈴木美穂さんと、医療法人社団同友会産業保健部門の産業医の大室正志先生。進行役は婦人公論編集長の横山恵子さん。

鈴木さんは、日テレに入社して3年目でがんを発病し、休職・治療期間を経て、復職し、報道の現場に戻りました。いまでは台風の報道に行けるまで回復したそうです。
鈴木さんは、がんになったときに、職場や家族が一丸となって助けようとしてくれたことを語りました。初めは病気がつらすぎて退職し治療に専念も考えた鈴木さんでしたが、上司をはじめとする周囲からの熱い励ましのおかげで、報道の現場に戻ることができました。

産業医の大室先生は、職場におけるがん患者の立場を、メンバーシップ型雇用の日本企業とジョブ型雇用の欧米企業とを対比させながら説明し、「鈴木さんは日テレのメンバーシップ型の良いところが働いて成功した貴重なケースだ」と語りました。
筆者もこの講演を聞いて、日テレのイメージが良くなりました。


ただ鈴木さんは、周囲の過剰反応に戸惑ったこともありました。
職場の人々が「大丈夫?」と言っておせっかいとも言えるアドバイスをしてきて、鈴木さんはそれをむげに断るわけにもいかなかったこと。
家族が鈴木さんを支える過程において、それぞれ持っていたキャリアを犠牲にして、鈴木さんに尽くしてきたこと。鈴木さんは、「家族はなるべく過剰反応することなく自分の人生を大切にしてほしい」と語りました。

がんから生還し復職した鈴木さんは、自分と同じ境遇の人々が集まって何かできる場が必要だと考えました。そうしてNPO法人マギーズ東京を立ち上げました。


大室先生によれば、古き良き日本の良さが働き、職場が一丸となって、障害や病気と向き合おう、となるケースもあります。
一方で、初めは協力的ムードでも、「なんであの人だけ特別なの?」という人が次第に増え、しまいには村八分的な結末になってしまうケースもあるそうです。
また身体の疾患については比較的サポートを得られやすいですが、精神の疾患についてはスムーズな理解を得ることはまだまだ困難です。(実際には身体疾患を抱える人は精神疾患も併発することが少なくないので、分けられそうで分けにくいことです、身体と精神の問題は)

大室先生は、障害者の雇用にも産業医として関わったことを語りました。
大室先生が関わったのは、米国に本社を置く製薬会社ジョンソン・エンド・ジョンソン。その日本支社で、優秀な障害者の採用をしていたが、定着しなかった。なぜなら現場の仕事はきついので辞める人が多かったそうです。
というのも、この会社は「ノーマライゼーション」を掲げ、障害者も健常者と同じように平等に扱う方針をとっていました。こう書くと、一見すごく進んだ会社のように見えますが、実際には「ノーマル」を健常者、それもごく限られた人々だけを基準にしていた。全国転勤・長時間労働を前提とする総合職の大卒男性。一般に程度・種類を問わず障害者は、そういう働き方はできないことが多いです。極論すれば、滅私奉公的な働き方ができなければ、非正規雇用で責任や専門性や付加価値とは程遠い内向きの仕事しかできなくなるのです。残念ながら、それが多くの日本の大企業の現状です。
米国本社では勤務時間内に終わらせるスマートな働き方が根付いていましたが、日本支社では米国本社のやり方から離れ、典型的な昭和的メンタリティのマネジメントが行われていたのです。

先日、外資系企業における障害者採用と題した記事を上げました。活躍したい障害者は、今の日本企業の現状を考えれば、ジョブ型雇用と勤務時間内に終わらせることを前提とする欧米企業に行った方が活躍できることもあります。
ただ、ジョンソン・エンド・ジョンソンのような日本人寄りの外資も一定数あることは確かです。外資の良いところと日本人的な団結力の合わさった働きやすい企業、外資の厳しさと日本の悪いところが合わさった働きにくい企業など、外資系企業も色々です。

大室先生は「日本の人事はかつて、ある社員が病気や障害を持つと、完治して一般社員と同じように働けるようになるか、それが困難なら退職して治療に専念するか、どちらか二択に迫ることが多々ありました。病気と付き合いながら働くという道は、個別対応を嫌がる日本の人事システムになじまないとされてきました。しかし、時代は病気と付き合いながら働くことを受け入れる方向に変わってきています。特に日本の人事がより個別対応に前向きになれば、より障害者や病気を持つ人も働きやすくなり、より働き方改革が進むのではないか」と締めくくりました。

なるほど、障害者をノーマルに近づけるノーマライゼーションより、多様なものは多様なもののまま取り込んでいく「ダイバーシティ&インクルージョン」の方が、時代にフィットするな、と思いました。
正直ダイバーシティ&インクルージョンって、面倒なこともあるし、私から見ても「それってどうなの?」と言いたくなるケースもあることは確かですが。


会場にはこれだけ集まっていました。

超福祉展、展示色々。


「車椅子が入ってきて狭いと感じること自体は、必ずしも我慢しなくていいと思う。本音で話し合うことで、少しお互いのことがわかることもある」

「性格のいい人もいれば、よくない人もいる。それは私たちも同じ」

「日本人がマナーを教える」

近頃の高齢者スゴイ。

ヤマハ発動機開発のバイク型歩行器。

こういうダンディーなビデオでアクティブシニア層を取り込んでいく戦略。

ヒカリエ内のカフェで、ココライフ女子部編集部のメンバーと。