ダイバーシティ駅伝マラソンに参加した時、こんなTシャツを着てやってきた人がいました。
これは、ランニングの世界で発達障害への理解を広めて行こう、というプロジェクトです。
提唱者は南雲岳彦さん(本人のフェイスブックより)。
南雲さんは自閉症児の父として、社会にわが子のような特性を持つ人々への理解が広まってほしいと願っています。
このプロジェクトのコンセプトは4つ。
1.走って健康を維持・向上
2.発達障害に対する理解と支援を求めるメッセージ付きのTシャツを着て走り、社会にメッセージを発信
3.障害のあるなしにかかわらず、誰もがいきいきと輝き、豊かに暮らせる社会、つまりインクルージョン社会の実現を目指す
4.頑張りすぎず、マイペースで走る
南雲さんの呼びかけに応じて、現在、日本全国、そしてアメリカ、オランダ、シンガポール等の海外も含め、200名以上が賛同者になっています。障害のある子の親御さんのみならず、ランニング愛好者など、様々な背景を持つ人々が、この黄色いTシャツを着て走っています。
2015年には、ランニング雑誌「ランナーズ」 が主催する、市民ランニングの普及、発展に貢献した人物、団体などを表彰する「ランナーズ賞」に、Run4uの賛同者、関根豊さん・さとるさん親子が選ばれました。
ところで南雲さんは、「発達障害児のマラソン大会出場機会を増やすための大会参加費無料化しよう」という運動をしています。
みなさんはどう思いますか?「なんで? それって特別扱いじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。
南雲さんによると、特に重度の発達障害児がマラソン大会に参加するには、大変混雑する会場への移動(公共交通機関を使うのが難しいタイプの子もいる)から始まり、伴走者を確保すること、個別対応を含む現場でのサポート態勢、迷子になりやすいタイプの子は迷子になってしまったときの対応策も必要です。彼らのほとんどが話すことによるコミュニケーションが困難です。
健常者が参加するには大会参加費だけで十分ですが、障害者が参加するうえでは大会参加費に加えて上のような安全対策コストがかかってしまう、ということ。 そこでこのようなプロジェクトを立ち上げたそう。
正直、障害者のためにすべての大会を参加費無料にするのは難しいでしょう。けれど、考えさせられることだと思いました。
重度の障害があると、スポーツ大会に参加するのにこれだけのハードルがあるのか、と。
パラリンピックの選手も練習や遠征などでいろいろ苦労している話は聞きます。
カンパやクラウドファンディングで大会参加費を募る選手もいます。