砂原浩太朗「いのちがけ」~大河ドラマのことなど | 内垣新平のブログ

内垣新平のブログ

気まぐれに思いついた事、感じた事など書いてます

 「いのちがけ」は砂原浩太朗の第一著作である。

 前田利家の近臣として仕えた村井長頼という人物の物語だ。信長・秀吉・家康らと同時代の人なので、ほとんど去年の大河「どうする家康」と時期はかぶっている。

 同じ事象を前田側から見るとこうなんだといったおもしろさもあった。文章も読みやすい。

 

 あるじが前田利家なのでその妻まつも登場する。なんだか昔の大河「利家とまつ」を思い出してしまった。

 そういえば「利家とまつ」では誰がこの村井長頼を演じていたんだろう、まったく記憶にないがと思って調べてみると、的場浩司だった。う~ん、覚えてないなあ。

 というか、「利家とまつ」の記憶に残っている場面がほとんどない。主演が唐沢寿明と松嶋菜々子だったこと以外で覚えているのは、松嶋が番宣の中でやたらに「わたくしにお任せくださりませ」と連呼していることくらいだ。

 

 2000年以降の大河では「篤姫」に次いで高視聴率だったらしいのに、なぜこんなにも私の記憶に残っていないのか。

 その理由はすぐに判明した。この大河ドラマは唐沢と松嶋以外にも、トレンディドラマに出るような俳優を多く出演させて若い視聴者を取り込んでいこうとした。

 しかも戦国の戦い場面よりもホームドラマ的な場面をたくさん入れて、女性層をも狙ったということだった。そう言われれば、まつ(松嶋)とねね(酒井法子)あたりが長屋でわいわいやっている場面があった気がする。

 

 まあ視聴率を上げようとすることはNHKでも民放でも同じ課題だから、いろいろ試みるのはいいことだろうと思う。たまたま私にとってはあまり記憶に残らなかったというだけだろう。

 

 ただ、たとえば合戦場面が多ければ男性で、ホームドラマ的なら女性とかいう一方的な思い込みはそろそろやめたほうがいいかも、と思う。

 今BSでやっている「篤姫」の再放送を私は楽しみに見ているが、この大河は幕末の混乱期であるとはいえ、江戸城内の大奥などが話の舞台である。だから討幕志士も新選組もほとんど出なかった(と思う。会話のなかにはあった気がするが)。

 それなのにこの大河はおもしろかったし、高視聴率でもあった。なぜか。脚本もよかったし、演出も今よりも丁寧だった気がする。

 まあそのへんは、制作側の労働環境の変化(過剰労働禁止など)もあるのだろうから、あまり言えないけどね。

 

 

蛇足

なぜか私は、大河ドラマで前田利家というと渡辺徹を思ってしまう。みなさんはどうですか?