IFRSにおける収益認識(2) -商社の会計処理はなぜソフトウェア取引を参考にするのか-
みなさん、こんにちは。
前回に引き続き本日も、IFRSにおける収益認識についてのトピックをお伝えしていきます。
●
先日公表された『我が国の収益認識に関する研究報告(中間報告)』
などにおける現在の議論では、大きく3つの論点があります。
1 収益認識(売上計上)のタイミング
2 収益認識(売上計上)の表示方法(純額か総額か)
3 その他収益認識(売上計上)に関するイレギュラー取引の処理
これらのうち、前回は「1 収益認識(売上計上)のタイミング」について取り上げました。
本日は、「2 収益認識(売上計上)の表示方法(純額か総額か)」にスポットを当ててみていきたいと思います。
●
日本の会計原則では、従来より「総額」での表示が基本的な考え方となっておりました。
その中で、本来であれば純額表示での手数料のみを売上すべきような商社的取引においても、
会計慣行の中で総額表示(総額で売上を計上)していた経緯があります。
ただし数年前に、ソフトウェア業界のスルー取引や売上の水増し計上(証憑のみ整備して売上をかさ上げする会計処理)などが横行した経緯があり、
平成17年に日本会計士協会より『情報サービス産業における監査上の諸問題について』が、
平成18年に企業会計基準委員会より『ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い』が、相次いで公表されました。
その中で、米国会計基準を参考に、ソフトウェア取引に関する売上計上の純額/総額表示に関する判断の指針が初めて明文規定として示されたことになります。
●
その規定の中で売上計上の純額/総額表示の判断基準としては、下記を「総合的に勘案して」判断することになります。
(収益を総額で計上すべき指標)
ア.取引において主たる債務者(ユーザーに対してサービス責任を負う者)である。
イ.商品受注前又は顧客からの返品に関して一般的な在庫リスクを負っている。
ウ.自由に販売価格を設定する裁量がある。
エ.商品の性質を変えたり、サービスを提供することによって付加価値を加えている。
オ.自由に供給業者を選択する裁量がある。
カ.製品やサービスの仕様の決定に加わっている。
キ.商品受注後又は発送中の商品に関して物的損失リスクを負担する。
ク.代金回収にかかる信用リスクを負担する。
(収益を純額で計上すべき指標)
ア.供給業者が契約の主たる債務者である。
イ.会社が稼得する金額は確定している。
ウ.供給業者が信用リスクを負う。
●
さて、話を戻して今回のIFRSにおける収益認識の議論の中で、売上計上の純額/総額表示について、
前述の『我が国の収益認識に関する研究報告(中間報告)』の中でも、商社(同様の取引を含む。)の収益の表示方法の会計処理の考え方として、下記のようにまとめられています。
・・・我が国では、収益の表示方法については、契約上、取引の当事者として行われる取引は総額で、代理人として行われる取引は純額で表示されていることが多いと考えられる。
これに対して、商社では、業界慣行として、契約上、取引の当事者として行われる取引だけでなく、代理人として行われる取引についても収益を総額で表示している場合がある。
しかし、我が国の会計基準では明示されていないものの、契約上、取引の当事者ではなく、代理人として行われる取引については、収益を総額で表示するのではなく、手数料のみを収益として表示することが適切と考えられる。
また、契約上、取引の当事者として行われる取引についても、ソフトウェア取引実務対応報告の考え方を参考にすることが考えられる。
同報告の考え方を参考にすれば、契約上、取引の当事者となる取引であっても、通常負うべき様々なリスクを実質的に負担していないと考えられる取引については手数料相当額のみを収益として表示することになると考えられる。・・・
●
商社(同様の取引を含む。)の収益の表示方法について、なぜ業界が異なる「ソフトウェア取引実務対応報告」を参考にしなければならないのか。
これは前述のとおり、日本には売上計上の純額/総額表示についての明文規定がなく、
数年前のソフトウェア業界における会計不祥事などをきっかけに、ソフトウェア取引に関する収益認識の詳細規定が先に整備されたことが大きな理由としてあります。
ここにも、一般的に言われる「IFRSは原則主義、日本基準は規則主義」とは少し異なる景色が見えてくるのではないでしょうか。
本日の『会計と企業経営のあいだ』はここまでです。
今後のIFRS対応へ向けて、少しでも参考になれば幸いです。
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株式会社アドライトでは、新しい会計基準への対応支援を含む決算業務支援を行っています。
専門コンサルタントが会社を訪問し、決算早期化のための支援を行います。
業務が集中しやすい時期のアウトソーシングによるコスト削減や、難易度の高い決算処理や開示書類作成・会計監査等の対応に、是非ともお役立て頂けますと幸いです。
詳細は http://www.addlight.co.jp/ao_02 をご参照ください。
初回相談は無料で承っております。
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前回に引き続き本日も、IFRSにおける収益認識についてのトピックをお伝えしていきます。
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先日公表された『我が国の収益認識に関する研究報告(中間報告)』
などにおける現在の議論では、大きく3つの論点があります。
1 収益認識(売上計上)のタイミング
2 収益認識(売上計上)の表示方法(純額か総額か)
3 その他収益認識(売上計上)に関するイレギュラー取引の処理
これらのうち、前回は「1 収益認識(売上計上)のタイミング」について取り上げました。
本日は、「2 収益認識(売上計上)の表示方法(純額か総額か)」にスポットを当ててみていきたいと思います。
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日本の会計原則では、従来より「総額」での表示が基本的な考え方となっておりました。
その中で、本来であれば純額表示での手数料のみを売上すべきような商社的取引においても、
会計慣行の中で総額表示(総額で売上を計上)していた経緯があります。
ただし数年前に、ソフトウェア業界のスルー取引や売上の水増し計上(証憑のみ整備して売上をかさ上げする会計処理)などが横行した経緯があり、
平成17年に日本会計士協会より『情報サービス産業における監査上の諸問題について』が、
平成18年に企業会計基準委員会より『ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い』が、相次いで公表されました。
その中で、米国会計基準を参考に、ソフトウェア取引に関する売上計上の純額/総額表示に関する判断の指針が初めて明文規定として示されたことになります。
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その規定の中で売上計上の純額/総額表示の判断基準としては、下記を「総合的に勘案して」判断することになります。
(収益を総額で計上すべき指標)
ア.取引において主たる債務者(ユーザーに対してサービス責任を負う者)である。
イ.商品受注前又は顧客からの返品に関して一般的な在庫リスクを負っている。
ウ.自由に販売価格を設定する裁量がある。
エ.商品の性質を変えたり、サービスを提供することによって付加価値を加えている。
オ.自由に供給業者を選択する裁量がある。
カ.製品やサービスの仕様の決定に加わっている。
キ.商品受注後又は発送中の商品に関して物的損失リスクを負担する。
ク.代金回収にかかる信用リスクを負担する。
(収益を純額で計上すべき指標)
ア.供給業者が契約の主たる債務者である。
イ.会社が稼得する金額は確定している。
ウ.供給業者が信用リスクを負う。
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さて、話を戻して今回のIFRSにおける収益認識の議論の中で、売上計上の純額/総額表示について、
前述の『我が国の収益認識に関する研究報告(中間報告)』の中でも、商社(同様の取引を含む。)の収益の表示方法の会計処理の考え方として、下記のようにまとめられています。
・・・我が国では、収益の表示方法については、契約上、取引の当事者として行われる取引は総額で、代理人として行われる取引は純額で表示されていることが多いと考えられる。
これに対して、商社では、業界慣行として、契約上、取引の当事者として行われる取引だけでなく、代理人として行われる取引についても収益を総額で表示している場合がある。
しかし、我が国の会計基準では明示されていないものの、契約上、取引の当事者ではなく、代理人として行われる取引については、収益を総額で表示するのではなく、手数料のみを収益として表示することが適切と考えられる。
また、契約上、取引の当事者として行われる取引についても、ソフトウェア取引実務対応報告の考え方を参考にすることが考えられる。
同報告の考え方を参考にすれば、契約上、取引の当事者となる取引であっても、通常負うべき様々なリスクを実質的に負担していないと考えられる取引については手数料相当額のみを収益として表示することになると考えられる。・・・
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商社(同様の取引を含む。)の収益の表示方法について、なぜ業界が異なる「ソフトウェア取引実務対応報告」を参考にしなければならないのか。
これは前述のとおり、日本には売上計上の純額/総額表示についての明文規定がなく、
数年前のソフトウェア業界における会計不祥事などをきっかけに、ソフトウェア取引に関する収益認識の詳細規定が先に整備されたことが大きな理由としてあります。
ここにも、一般的に言われる「IFRSは原則主義、日本基準は規則主義」とは少し異なる景色が見えてくるのではないでしょうか。
本日の『会計と企業経営のあいだ』はここまでです。
今後のIFRS対応へ向けて、少しでも参考になれば幸いです。
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業務が集中しやすい時期のアウトソーシングによるコスト削減や、難易度の高い決算処理や開示書類作成・会計監査等の対応に、是非ともお役立て頂けますと幸いです。
詳細は http://www.addlight.co.jp/ao_02 をご参照ください。
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