会計と企業経営のあいだ -14ページ目

IFRSにおける収益認識(4) -日本の実現主義とIAS18号との比較-

みなさん、こんにちは。
先週に引き続き本日も、国際会計基準(IFRS)における収益認識についてのトピックをお伝えしていきます。


「規則主義」と言われる日本の会計においても、収益認識については、実現主義という「原則」を基準に、各業種・業態ごとに明文化されていない会計慣行に従って会計処理がなされているという実態があります。

日本の実現主義は、企業会計原則などで示されている収益認識要件として、
「財貨の移転または役務の提供の完了」及び「対価の成立」
の2つから構成されています。


一方、IFRSにおける収益認識要件IAS18号では、「物品の販売」、「役務の提供」及び「企業資産の第三者による利用」の3つの取引形態に分けて、それぞれ収益認識要件を定めています。

「物品の販売」における収益認識要件
a 物品の所有に伴う重要なリスクと経済価値が移転していること
b 重要な継続的関与がないこと
c 収益の額を信頼性をもって測定できること
d 経済的便益の流入可能性が高いこと
e 原価の額を信頼性をもって測定できること

「役務の提供」における収益認識要件
c 収益の額を信頼性をもって測定できること
d 経済的便益の流入可能性が高いこと
e 原価の額を信頼性をもって測定できること
f 決算日現在の進捗度を信頼性をもって測定できること

「企業資産の第三者による利用」における収益認識要件
c 収益の額を信頼性をもって測定できること
d 経済的便益の流入可能性が高いこと


このような日本の実現主義とIAS18号における収益認識要件との違いについて、
『我が国の収益認識に関する研究報告(中間報告)』では両者の間に大きな差異はないとしています。
両者の対応関係としては、下記のようにまとめられます。

日本の実現主義の要件1 「財貨の移転または役務の提供の完了」

a 物品の所有に伴う重要なリスクと経済価値が移転していること
b 重要な継続的関与がないこと
e 原価の額を信頼性をもって測定できること

日本の実現主義の要件2 「対価の成立」

c 収益の額を信頼性をもって測定できること
d 経済的便益の流入可能性が高いこと


この他、
f 決算日現在の進捗度を信頼性をもって測定できること
については、日本の基準の体系では「工事契約に関する会計基準」で定められています。
また、個別の取引で上記要件について別途考慮しなければならない取引については、個別の会計基準で具体的な対応が行われています。

まとめると、日本の実現主義とIAS18号は「大枠で本質的な差異はない」といえますが、イレギュラー取引や個別取引などでは、両者につき同様の結果にならない場合がありますので留意が必要です。
詳細は、前述の『我が国の収益認識に関する研究報告(中間報告)』の巻末のケース事例のなかで詳細の記載がありますので、そちらも合わせてご参照ください。
いずれにせよ、企業経営に大きなインパクトを与える収益認識における日本基準とIFRSとの差異については、今後の議論にも注意しながら、早急に対応準備を進めていく必要があります。

本日の『会計と企業経営のあいだ』はここまでです。


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