書評:「ウルトラセブン EPISODE No.1~No.4」 | アディクトリポート

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この記事(ウルトラ白抜き画像の館2023−5)の続き。
 
書評:テレビマガジン特別編集 ウルトラセブン EPISODE No.1~No.49
 
 
本題に入る前に、
ひょっとすると「ウルトラマン大怪獣図鑑」の続刊、
双葉社の「ウルトラセブン大侵略者図鑑」
「セブン」登場星人・怪獣がページフルサイズ掲載されて圧巻。
 
特にキュラソ星人のページには、
これまで見覚えのない星人の正面顔が掲載されていて、
改めてC-3POの頭部原型の一つとの類似性を思い出した。
↓この二つを並べても「そんなの偶然の一致でしょ」と言える人の鑑定眼を疑うが、
しかし↑右のキュラソ星人の正面顔の鮮明画像はようやく2023年4月23日の本書発売日が初見で、
『スター・ウォーズ』(1977)の造形資料には使えるはずがなかった。
 
とにかく当時の怪獣図鑑にはキュラソ星人の実物スーツ写真は載っているはずがなく、

その理由は円谷プロ社内でキュラソ星人の資料写真撮影が実施されず、

同プロが紙媒体に提供できるのは
↓成田亨のデザイン画しかなかったため。

↓それを参考にリズ・ムーアが造形したのはほぼ確実だ(それ以外に方法はなかった)が、

具体的な元ネタの書名までは特定できていない。

 

さて、ここからが本題。

 

ウルトラセブンのマスクとスーツのタイプ違いは、

初代ウルトラマンほどには明確でなく、

一応分析を試みたものの、

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それは中途半端に終わってしまいその後は分析を怠り、

もっぱら講談社のセブン関連書籍に頼りまくって今日に至る。

 

だがひたすら画像サルベージに努めるばかりで、

文字情報をほとんど読まず。

 

そこで今回の再編を機に、

きちんと文字情報も読み出しておこう。

 

まずはタイプAとタイプB

タイプA
  • 制作開始直前、マーチャンダイジング用に撮影されたNGスーツで、体のラインが白く、肩のプロテクターは完成形と異なっている。
  • マスクの口は、動かすことを前提に別パーツで制作されている。また、アイスラッガーの前部にスリットがつけられていた点も特徴。

タイプAプレ(予) 〜1967/10

商品化権の三面写真がこれ。

この時はボディラインが白。

 

塗装が剥げやすい難点があった。

口は別パーツ。

アイスラッガーの正面に窪み。プロテクターの窪みは周囲と同じ銀色。

タイプA 1967/10/8

プレのラインを銀に塗り替え、

窪みにテープを貼ってマスクを補修し、制作第4話まで使用。

テレビ登場は制作第1話、放送第3話のエレキング戦から。

 

背中のプロテクターにはさまれた中央部が銀色。

 

タイプB

  • "TYPE-A"と並行して制作。事実上の完成セブン第1号スーツで、修復を繰り返しながら制作第16話(ユートム回)まで使用された。プロテクターの溝にクリーム色のテープが貼られ、体と首の接合部が赤と銀に分けられ、ラインも銀に変更された。?
  • 下唇のパーツがマスクに接着され、Aと角度が変更。空気穴が大きくなった。セブンの目の縁にはイエローのマジックインキが塗られている。

タイプB 1967/10/1

第1話(制作順では5話)からテレビ画面に登場。

制作・放送共に第2話のワイアール星人戦では、

エメリウム光線を発射する場面で、口の周囲に切れ込みのあるセブンが登場。

以後は口の下半分がパテ埋めされて、タイプAと見分けがつかなくなる。

口周りの補修整形が雑なこちらがタイプB。

プロテクターの窪みには、黄色い光沢のある反射テープが貼られていたが、短期間のみ使用で、
以後はクリームホワイトの市販のビニールテープに貼り替えていた。
ここまで、プロテクターはラテックス製。

 

タイプAと並行して制作第4話まで、すなわち、

①エレキング

②ワイアール星人③ペガッサ星人④ゴドラ星人

↑制作順も放送も4話だったゴドラ星人の回でも、等身大の場面(左・タイプB)と巨大化の場面(右・タイプA)では、口のパテ埋め処理に違いがある。

その後単独で制作5話=放送1話の⑤クール星人まで使用。

 

タイプC

  • 制作第6話(ビラ星人回)から"TYPE-B"と合わせて使用されたスーツで、プロテクターがシリコン素材となり、体のラインが上半身でほぼ平行になり、股の位置で側面に広がっている。
  • このタイプから、特製の赤いウェットスーツが使用されるようになった。

タイプC 1967/10/29

ここからプロテクターはシリコン製になる。

制作第6話から10話

⑥ビラ星人

背中のプロテクターにはさまれた中央部が赤色。

 

⑦イカルス星人⑧キュラソ星人⑨スペル星人⑩メトロン星人

まで、

および制作第13話・14話(⑬アイロス星人⑭アンノン)の等身大場面に使用。

アンノン回に出演したヒロシ少年(稲吉千春)のこの衣装、

↓これですね。右上隅の不自然なちぎれ雲は、文字隠しのデジタル画像加工。

↓セブンは、このタイプC。

じょわ

背景はセットではなく実景です。

タイプA/B/Cのボディラインの山型の幅は狭い。

 

タイプD

  • 制作第11話(チブル星人回)の撮影で初登場し、徐々にウルトラセブンの最終完成形になるスーツ。
  • "TYPE-B"及び"C"と並行しつつ使用され、制作21話(アイアンロックス回)からは新調したウェットスーツが取りつけられたが、体のラインが太くなっていることが特徴。
  • 額のビームランプがやや大きめに造られ、口と下唇の隙間が以前より狭くなった。
  • プロテクターが一部、FRPに変更されたものも存在する。

タイプD 1967/11/26

大胸筋の処理に工夫がある、完成形と言えるスーツ。

↑対ベル星人戦。ボディラインの山型の幅が広くなった。

口の切れ込みが初代マン同様に、唇の水平部分だけになった。

制作11話から16話、すなわち、

⑪チブル星人⑫宇宙竜ナース

⑬アイロス星人⑭アンノン⑮ベル星人⑯ユートム、

タイプE(後述)の17・18話をはさんで、

19話と20話(⑲バド星人⑳シャプレー星人/ギラドラス)に使用された、

 

首とプロテクターの境目が、銀と赤の2パターンがある。

 

…と言われても、タイプDは赤首しか見つからないので、

↓首下の鎖骨あたりが銀のタイプB(変身シーン)

じょわ

↑同じ箇所が赤いタイプF(後述・カナン星人に操られたウインダム戦)

 

タイプE(菊池英一ウルトラセブン)

  • 制作第17話、第18話で使用された専用スーツで、アクターの菊池の体型に合わせて新調されたものだが、マスクは"TYPE-C"が付けられていた。

タイプE 1968/1/7

制作第17話、18話(キングジョー)で菊池英一用に新調したもの。

マスクはタイプCと同じ。首下が銀に、ボディラインの幅が狭く戻った。

背中の中央は赤色。

 

タイプF 1968/2/25

制作第21話(アイアンロックス)から使用。

タイプDとの判別が困難。

㉑アイアンロックス㉒ブラコ星人㉓ガブラ(シャドー星人)㉔ウインダム(カナン星人)

㉕ガンダー(ポール星人)㉖ギエロン星獣

㉗ボーグ星人㉘恐竜戦車㉙プロテ星人㉚プラチク星人

 

タイプG 1968/5/5

制作第31話(ダリー)から使用。

やはり、タイプDと区別がつきづらい。

㉛ダリー㉜リッガー㉝ペガ星人㉞シャドウマン㉟ダンカン

㊱ペテロ㊲マゼラン星人マヤ㊳㊴アロン/ガッツ星人㊵クレージーゴン㊶ガイロス(ノンマルト)

 

対テペト専用スーツ 1968/7/14

㊷テペト(テペト星人)

胸板に逆テーパー(隆起ではなく、えぐれ)がついた特異なスーツで、ホンモノのセブンとしてはテペト回以外の登場を確認できず、わずか制作4話後に、ニセ・セブンに改造される。

 

5.ニセ・ウルトラセブン 1968/8/18

テペトの回で使われた、タイプGに分類できない、

独特のえぐれ胸のセブンスーツを改造。

全身にひび割れが盛大なので、テペト戦スーツは新造ではなく、水中シーン用に旧スーツの補修でしのいだことが判明。独特な形状の胸は、詰め物が縮んで肉痩せした結果。

 

タイプGのつづき

㊸ロボット長官/ロボット署長/第四惑星人㊹ペロリンガ星人㊺ゴーロン星人

㊻にせウルトラセブン(サロメ星人)㊼フック星人

 

最終回スペシャル 1968/9/1

㊽パンドン(ゴース星人)㊾改造パンドン(ゴース星人)

最終2話用に、既存スーツの使える部分を寄せ集め、首部分のみ新造した。

その姿はセブン本人よりも、

セブン上司としての登場場面でよくわかる。

 

6.セブン上司 1968/9/1

唯一、瞳の中の合成のカットのみ、首下がまだ赤い時の撮影だが、

ダンの部屋や、資材置き場では首下も銀。

——と「光跡」ではされているが、

↓白黒写真に自動色つけした後、あちこちいじった結果では、

れんだ

資材置き場でも首下が赤いようだが、気のせい気のせい。

※パンドンと戦うセブンの首下は銀です。

 

と、ここまでが新刊の選り抜きと、

過去ログをまとめたものだが、

ついでながら、こちらもゲット。

テレビマガジン特別編集スペシャル ウルトラセブンパーフェクトファイル (講談社ヒットブックス) Mook – February 1, 2008

 

スタイル・バリエーション

ウルトラセブンの撮影用マスク・スーツは、上西浩次氏用が3着、菊池英一氏用が1着存在し、それがマスクとスーツの付け替えや一部再塗装、補修によって使用されたようだが、各スタイルの変化は、かなり微妙であった。

 

タイプ1

  • 製作開始直前にNGとなった、体のラインが白く肩のプロテクターの形が違うスーツが改造されて完成したものらしい。
  • 当初、セブンも口を動かす事が考えられ、口が別パーツで製作されたが、このアイデアは断念。マスクに接着固定されている。
  • また、アイスラッガーの前部にスリットがあるのも特徴的。
タイプ2
  • 製作第3話前後から使用され始めた、第2号マスク・スーツ。口は一体成形ではあるが何故か下唇は別パーツで、接着固定によって処理されている。
  • また、ビームランプが他のタイプよりも大きい。
  • 初期のみが、プロテクターに至る首の部分が銀一色になっているが、後期は一部、赤に変更。
タイプ3
  • 後期は1体のスーツに2個のマスクを付け替え、使用していたと思われる。
  • 現存するマスクによると、目は2㎜のヒートプレスで、塗装のイエローはマジックインキ。耳はウレタンからFRPに変更されており、アイスラッガーはビスによる取り外し型だったようだ。
  • スーツの首部分にも赤が入る。
と、今回はここまで。
 
足りない点、至らぬ点はまたいずれボチボチと。