もうスレーブ1とは呼ばせない/『ボバ・フェット』4話雑感
ネット配信ドラマ『ボバ・フェット The Book of Boba Fett』については、
とにかく話題が多すぎる。
※いずれ別記事で取りあげましょう。
しかしあれもこれもと盛り込もうとすると、
いつまでも記事更新ができないため、
今回は〈スレーブ1〉に話題を絞ろう。
「ボバ」第4話では、この宇宙船は〈スレーブ1〉(Slave-I)ではなく、
〈ファイアスプレイ〉(Firespray)と呼ばれていた。
理由は、
〈スレーブ1〉は個別の船名だが、一匹狼だったジャンゴ/ボバ・フェットしかその船名を知らず、
宇宙船の種類が、ファイアスプレイ・ガンシップ(Firespray Gunship)という設定だから。
いわば、ハン・ソロ(演:ハリソン・フォード)がカンティーナでベン・ケノービ(演:アレック・ギネス)に、
「〈ミレニアム・ファルコン〉って船名を知らねえって?」とうそぶいた裏返しで、
〈ファルコン〉の名前を出したってどうせ相手にはわからないから、
YT-1300コレリアン・フレイターと、一般船種名を出しておこうというようなもんである。
〈ファイアスプレイ〉という船種名の設定は、ロールプレイングゲームの会社、
WEG(ウエスト・エンド・ゲームズ)によるもの。
だがしかし、ボバ第4話で、〈スレーブ1〉の呼称が出て来なかったのは、
ディズニーからのお達しで、
“スレーブ1=奴隷Ⅰ号”と言う、いかがわしい言葉を同社の作品から駆逐する意向だからなんだとか。
この変化は、レゴの新製品〈スレーブ1〉(仮)から始まっており、
製品名は「ボバ・フェット専用宇宙船」(Boba Fett's spaceship)と、
まるでガンプラの「ララァ・スン専用モビルアーマー」(エルメス)みたいになっている。
個人的にはSlave-Iと英字表記は一つでも、
日本語表記は“Slave”が
- スレーブ
- スレーヴ
- スレイブ
- スレイヴ
“Ⅰ”(ローマ数字の1)が
- Ⅰ(ローマ数字)
- 1(アラビア数字)
- ワン
と3案あったため、
なかなか公式設定名に行き着かないもどかしさからは解放されるが。
しかしそれを言ったら、
“fire”は、
- ファイア
- ファイヤ
- ファイヤー
- スプレイ
- スプレー
と、こちらも表記案が複数あるけど。
さて〈スレーブ1〉と言えば、
再登場は「マンダロリアン」シーズン2以来だが、
元々は、ジャバ宮殿に駐機したままと言うことに気づくところが、
「ボバ・フェット」全7作脚本のジョン・ファヴローのスルドイところ。
このルーツは今(2022年)をさかのぼること、40年前の1982年頃。
プロ野球球団のヤクルトは、1978年から99年までの22年間、アリゾナ州のユマでキャンプをしていた。
すると、練習用の野球場以外に何もない広大な砂漠に、
巨大な異世界型の船のセットが建設されていて、
それを当時のスポーツ新聞が、スター・ウォーズ次回作『ジェダイの復讐(当時邦題・1983)』のセットではないかと報道。
雑誌「宇宙船」(朝日ソノラマ版)がこれを受け、
船のセットは〈スレーブ1〉ではないかと推測していた。
結局は〈セール・バージ〉だったわけだが、
この写真については、こちらで。
「ボバ・フェット」第4話を見て、
「そうそう、〈スレーブ1〉は、ジャバ宮殿に駐機してるはずなんだよな」と思いだした。
ジョン・ファヴローは、
子どもの頃から思い描いていた、
自分なりのスター・ウォーズの「その後のストーリー」を紡いでいるが、
それを言ったら、私にも、私なりの『エピソード5 帝国の逆襲』〈特別篇〉があるので、これを機に披露しておこう。
ルークはXウイングでダゴバを離れ、
ハンとレイア救出のため、
雲の惑星ベスピンの空中浮遊都市、
クラウド・シティのプラットフォームに着陸する。
ルークはシティ内でベイダーと対決するも敗れ、
都市構造の最底辺から突き出した電子風向観測板に引っかかっているところを、
〈ミレニアム・ファルコン〉に救出される。
この時点で、ルークの愛機Xウイングのレッド5は、
クラウド・シティのプラットフォームに駐機したまま放置された。
シティの支配はランドから帝国軍が奪ってしまい、
その後も回収には行けないはずだから(※諸説あり)、
『ジェダイの帰還』でルークが乗っていたレッド5は、別の機体をあてがったもの(のはず)。
でもって、私なりの『帝国』〈特別篇〉では、
エンドクレジット後に、最近(MCUで)はやりのポストクレジットおまけシーンが追加され、
無人のプラットフォームに放置されたレッド5機がもの悲しげに映し出され、
クラウド・シティになびく風音がかすかに響いているのである。
マニアックすぎますかね?
今回は以上です。