かくれスタトレ映画『500ページの夢の束』

500ページの夢の束　Please Stand By

2018/9/9　新宿ピカデリー　スクリーン９　E-10

ありがたくも試写状をもらいながら、

6/22

7/2

7/18

7/23

8/2

8/10

のいずれも行けず。

9/8の「王様のブランチ」で紹介され、

「これは見なければ！」

しかし上映館は、

関東で行けそうなのは、

新宿ピカデリーと

MOVIXさいたまの２館のみ。

いつ行けるのか…。

すると9/9の日曜日、パソコン

MacBook Pro(13-inch, Late 2011)

の電源アダプタがついに完全断線。

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正規品はクソ高いが、

通販でゲットする時間の余裕はとてもないので、

家電店まで買いに行き、ついでに『500ページ』も観ることに。

（以下、決定的なネタバレはありませんが、若干内容に触れています）

【プロット】

『スタートレック』の並外れた知識を持つ自閉症のウェンディは、『スタートレック』の脚本コンテストに参加するため、500ページの原稿を持って愛犬とともにハリウッドへ旅に出る。

アメリカ社会の典型像がよく描かれていて、

なかなかの充実作。

大がかりな仕掛けや、

派手な見せ場は全くないが、

役者の演技でじっくり見せる。

主演のウェンディ役は、お久しぶりのダコタ・ファニング。

『アイ・アム・サム』（2001）

『ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ』（2005）

公開当時、日本では数箇所だけで別パターンのエンディングを上映して話題を呼んだ。

DVDでは更に別のパターンを収録している。

『宇宙戦争』（2005）

『シャーロットのおくりもの』（2006）

『コララインとボタンの魔女』（2009）

くらいは観たが、最近は10年近く見かけなかった。

本作では自閉症のウェンディを着実に演じきり、

観客はハラハラしながらも、彼女を応援し続ける。

自閉症といえば、

『レインマン』（1988）でも、

先述『アイ・アム・サム』でも、

自閉症は、正確なデータ集積、

すなわち写真的記憶力による数値の正確な記憶とか、

映画のスタッフ、キャストと言ったリスト情報に特化するかたわら、

良好な対人関係を築けず、

創造的活動／創作や芸術にはまったく不向きだと思っていた。

2008年のSWセレブレーションジャパンには、

スティーブン・サンスイートの介添えに、

本職が学校の教師だという男性がつきそっていて、

手渡された資料などをかいがいしく一括管理していた。

自分も元教員だったから、

その人の教科を訊いてみると、

自閉症児の受け持ちだという。

「自閉症は健常者にはできないことができることと引き替えに、

社会性などが欠如してるが、

コンピュータなどのない時代に

それに代わる役目を果たしていたんですよね」

と知ったかぶると、

「そう認識してくれる人はそうはいない」

と、一目置いてはもらえた。

とにかく、数字やデータ記憶には強いが、

創作や芸術は苦手なはずでは？

ところが『500ページの夢の束』のウェンディ＝ダコタ・ファニングは、

500ページ近い「スタートレック」の懸賞応募脚本を書き上げる。

めちゃめちゃ芸術力の塊じゃんか！

この話は実話ベースではないものの、

自閉症児の施設の場面で、

実際の症例者も出演しており、

ずっと歌を歌いっぱなしの女性なんかもいる。

あらためてチェックし直したら、

『レインマン』の数字と記憶力に特化した例はサヴァン症候群というもので、

そういや、

５年前に３歳児の自閉症、

アイリス・ホームショーの例もあったし、

「木の絵」"Painting on Wood"

「色の爆発」"Explosions of Colour"

「安らかな心」"Equilibrium"

 

自閉症だからといって、

芸術性や創作活動に劣るどころか、

むしろ自閉症だからこそ、

傑出している場合もあるようだ。

ウェンディが苦労の末に提出した脚本は、

知人や身内には内容を称賛されるも、

期待どおりの結果に終わらないのがまたリアル。

公募、公選という建前でも、

いわゆる出来ゲームで結果が先に決まっていて、

種々の規定は、その結果にあてはまらないものをはねるための「ふるい」だったりするからね。

結果だけを見て、

期日内に書き上げて、

提出した創作の過程と実績を無視するのはどうかと思うよ。

ダコタ・ファニング以外も、

『シックス・センス』（1999）以来の存在感を示す

トニ・コレットの役名が「スコッティ」（エンタープライズの機関主任と同名）だったり、

スタトレつながりで、

『イントゥ・ダークネス』（2013）でキャロル・マーカスを演じた

アリス・イヴが姉のオードリー役なのが「なるほど」

かくれスタートレック映画といえば、

スピルバーグの『ターミナル』（2004）があったが、

あちらが表層をかする程度だったのに対し、

ゾーイ・サルダナは、これが縁で『スター・トレック』（2009）からウフーラ役に。

『スター・トレック BEYOND』（2016）

『500ページの夢の束』は、よりＳＴの核心をつきながら、

さりとてトレッキーでなくても内容が伝わり、客席はぎっしり。

見応えがあり、鑑賞できてよかったと思える映画でした。

どなた様も、ぜひご覧ください！