帰ってきた?品川のIMAX/場所の記憶(19) | アディクトリポート

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TBSラジオが、ポッドキャストをやめて(新サービス「TBSラジオクラウド」に移行)以来、
とんと聴かなくなった
「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」
内の最注目コーナー、ムービーウォッチメン。

私の中では、一つの役目を終えたコーナーで、
もう卒業かなという気もする
が、
たまたま『シン・ゴジラ』の回を後から聞いて、
番組の作りがしっかりしているのには、あらためて感心した。

たとえ投稿の9割が「賛」でも、
「否」の意見もとりあげ、
どちらの投稿にも、あえて意見は差し挟まない。

その中には、
番組パーソナリティよりも見抜く目を持っている人だって当然いる。

『シン・ゴジラ』の問題は、
しょせんは観客をだます作品で、
9割をだまし通せて興行的に成功し、
高評価を得たところで、
だました事実に変わりはないこと。

たとえばですよ、
絶対にやるはずないですが、
「『ナウシカ』のミヤザキ先生、次のゴジラをお願いします!」
となって、かの巨匠が引き受けたとしましょう。

できあがった作品が、
「これ、ゴジラじゃなくて、ナウシカじゃん…」だったら、
信用を落としこそすれ、
「さすがミヤザキ監督!」なんて、なりますかね?

問題はそれだけじゃありません。

『シン・ゴジラ』の劇中世界では、
これまでゴジラという怪獣(巨大生物)は存在しておらず、
人類(日本人)が初めて遭遇した脅威で、
劇中で命名の瞬間も描かれる。

別に過去作と訣別して、
新世紀のゴジラをゼロから始めるつもりなら、
それはそれで英断だから、
そのこと自体は歓迎します。

いさぎよい選択だし、
何より、真にクリエイティブ(創造的)じゃありませんか!

ですけど、
だったらオープニングタイトルの出し方とか、
伊福部昭いふくべあきらの音楽とか、
自ら勝手に「なかったこと」に葬ってしまったものになぞらえて、
ゼロからの再出発を過去作に依存し、
未練がましく飾り立てるのは矛盾してるし、
「虎の威を駆るキツネ」じゃないんでしょうかね。

ついでに言えば、
一応、音楽は鷺巣詩郎さぎすしろうとなってるが、
例のドラムで始まる、ヱヴァの「作戦」音楽だって、
元ネタはジョン・バリー
なんだから、
結局は一つも自分で作曲してないし。

私はそういう欺瞞に、
つきあいたくないんですよ。


同時期に『X-MEN:アポカリプス』みたいな、
観客に誠実に向き合った映画も公開されてるのに、
よくもこんな詐欺まがいの作品で、
同じ料金をふんだくろうとできるのか、
その図々しさに呆れます。

でもって、この回を聞いて得たもう一つ有意義な情報は、
品川のIMAX館が復活したこと
しん
7月1日からだったんだ。

博物館などに併設の、教育映画用(45分程度)のIMAXでない、
しょうめん
市川の千葉県立現代産業科学館のIMAX。(2004年閉館)
劇場映画用フィルム映写式IMAX館は、
新宿タカシマヤ内の
東京アイマックスシアター(18m×25m/スタンダードサイズ1:1.43)が都内初で、
ときょ
この超貴重な画像は、ここと、ここと、ここから拝借。
1996年に開館。
2002年2月1日に閉館し、
閉館後は、
スクリーン(8.5m×16m/ビスタサイズ))と映写機を換装した、
通常式映画館テアトルタイムズスクエアが、
47475
2002年4月27日開館~2009年8月30日閉館。
kusodekai
“クソデカイ、ミニシアター”で、ヴィスコンティの『山猫』(1963)、『アラビアのロレンス』(1962)を観た!

その東京アイマックス閉館からほんの3ヶ月後、
2002年4月25日からは
sina
画像はこちらより。館内の画像はこちらにも
メルシャン品川IMAXシアター(16m×22m/スタンダードサイズ1:1.43)が開館。
あいま
2007年3月31日まで営業していた。

メルシャンはこの時期、IMAXに肩入れしており、
品川開館より2年前の2000年から、
メルシャン軽井沢IMAXシアター(16.275m×21.3m/スタンダードサイズ1:1.33)を経営、
外観の背がさほど高くないのは、地下を8メートルほど掘り下げているため。画像はこちらこちらより。
みn
長野の友人を訪ねたついでに、『スパイダーマン2』(2004)をここで見たら、キルスティン・ダンストの大映しがグロかった。

2007年3月31日に、品川と同時に閉館した。

同じ2007年3月末には、メルシャン流山工場も操業停止
unndou
元々は、流山の地場産業の“みりん”醸造から受け継がれてきた工場。福山工場が完成して用済みになったらしい。ネットには入口の写真と、更地になった跡地の写真のみ。現在はケーズデンキ店舗。
なぜここを知ってるかというと、草加近辺にはシネコンがない時代が続き、2007年3月12日に、TOHOシネマズ流山おおたかの森が開館。三郷経由でチャリ通の途上にあったから。操業中はブドウの香りが漂っていた。

色々と事業縮小の時期だったようだ。

1994年11月3日、メルシャン最大のライバル酒造会社、
サントリーの天保山ミュージアムに併設された※
さんとりー
1994年11月3日、サントリーミュージアム[天保山]の名称でサントリー創業90周年事業で開設された。2010年12月26日に閉館し、施設は大阪市に無償で寄贈され、2013年2月8日、新名称は「大阪文化館・天保山」と発表された。
てmぽ
IMAX館は、2010年12月26日で閉館。

※世界最大級のIMAX、
サントリーミュージアムIMAXシアター
(スタンダードサイズ20.2m×27.6mなら1:1.33に、20m×28mなら1:1.43に近い)
への対抗意識からの、
どうやねん
IMAX進出だったろうが、
2006年からはメルシャンが味の素経営体制からキリンビールの子会社化し、
これに伴う事業整理で、関東首都圏からIMAX館が消滅。

日本のIMAX館は、2009年6月19日の、
109シネマズ川崎・菖蒲しょうぶ箕面みのお
のデジタル式(IMAX MPX=後述)で再開。
都内初の109は、木場の2011年7月15日だった。
きばば
めら
既存館改修の「なんちゃってIMAX」のスクリーンサイズはこんなに小さく、これでIMAXを名乗るのはおこがましいのでは?

しかしシネコンの既存館をIMAX館に改造する、IMAX MPX(マルチプレックス=シネコン)は、
ぬぬ
しょせんは疑似IMAX

最大の問題は、
●見上げるばかりのスクリーンの高さこそが売りで、
天井までの距離があるため突き抜けるような開放感が醍醐味のIMAX

の魅力が損なわれ、
いくらデジタル映写は壁際ギリギリまで投影可能だからって、
●スクリーン上辺が天井と連なり、
圧迫感となって観客にどっしりとのしかかること。


つまりMPXは根本的にIMAXの精神に反するシロモノで、
むしろ真逆を行っている。

さらに、本来のIMAXのフォーマット、
スタンダード型(1:1.331:1.43)でないと、
みんと
途中までビスタやシネスコ上映が、
IMAX専用画面で上下が増えて、
画面いっぱいに映写することができない


なのにデジタルIMAX館は、
4K導入前は、よくてビスタフォーマット(1.85:1)、
ひりつ
ひどいところではシネスコフォーマット(2.35:1)で、
これでは画面表示面積を上下に増やしようがなく、
画面が大きく鮮明なこと以外は、
絵的には通常版と変わらない。

一応、ビスタ型なら、
途中までシネスコで上映し、
IMAX特写場面をビスタで表示という、
「まねごと」IMAX効果を演出でき、
「トランスフォーマー/リベンジ」(2009)を109IMAXで観たときに、
これにまんまとダマされた。


品川IMAX閉館後は、
2007年12月21日から、
品川プリンスシネマの通常型映画館、
シアターZERO(6.7m×16.5m/シネスコよりさらにワイドだが、HDの9:16ではない)として営業していた。
ぜろ

品川プリンスシネマは、
ぷり
日本で唯一のホテル直営によるシネマコンプレックスだったが、
しなぷり
通常版の上映作品には「佐賀のがばいばあちゃん」(2006→時間つぶしにここで観ました)等、
東映グループのティ・ジョイ系も多く、
2016年4月1日よりティ・ジョイとの共同運営に移行し、
名称をT・ジョイPRINCE品川に変更した。
へんこう

そしてティ・ジョイ初のIMAX館、
T・ジョイPRINCE品川IMAXデジタルシアターは、
かつてのメルシャンIMAX館を、デジタル式に改装したもの。
こんせ
コンセッション(売店)や通路こそ、
わら
↑シアターZERO時代の通路。
前と同じだが、劇場内は完全にリニューアル
めんざ
この画像をみると、一抹の不安が。

↓これだけ見せられたら、かつてのメルシャン品川だとはわからない。
ここいう
以前は中央に通路なんて、あったっけ?(後述)
↓カップホルダーも見覚えないし。

ででで

302席(280席+プレミアシート20席+車椅子2席)

スクリーンサイズは非公表。
これは画面サイズで劇場を選ばせない、新IMAX協定のためだろう。

そしてデジタルIMAXでは日本の始祖となる109も、さすがに意地を見せてMPXではない本格派で勝負。
2015年11月19日から、4kツインレーザー、スクリーン縦18m×横26m(スタンダード1:1.43=真性IMAX)、次世代音響12.1chを導入。
ekisupo
キャパは、一般席358、エグゼクティブ46、車椅子席3の計407。

ただし場所は、大阪市吹田の、
109シネマズ大阪エキスポシティ
えきすぽ

大阪のIMAX館は、サントリー天保山も含め、
私は一切未経験。


そこで新宿TOHOシネマズIMAXと、
エキスポのレーザー版の『フォースの覚醒』を両方観た人に聞いたところ、
両者の違いは歴然で、映像の鮮明度は圧倒的にレーザーIMAXの方に軍配が上がる。
ジャクーのファルコンチェイスの場面でスター・デストロイヤーの残骸の人影などが、薄ぼんやりでは無く、はっきりと確認出来た。
同場面が1:1.43のフルスクリーン全体で繰り広げられるのも圧巻だったが、それよりも映像の鮮明度の方に驚かされた。
——とのこと。


現在の品川IMAXのスクリーンサイズが非公表でも、
メルシャン時代が、
縦16メートル×横幅22メートルだったのは、周知の事実。
えれれ
中央に通路はありました!ひじかけにカップホルダーはありません。
同じであってくれと願っていたが…
あいま
どうやら天井とスクリーンの背丈は思い切り低くなり、
正方形に近い純正IMAXスクリーンから、
109以来スタンダードの、MPX仕様、
しかも最悪のシネスコ型に変更されてしまったらしい。

他スクリーンとの比較から算定すると、
横幅の22メートルだけが維持されていたとしても、
縦は16メートルからたったの9メートルへと、
ごっそり短く(低く)なっている。

品川IMAXと同日に開館した、
同じティ・ジョイが運営する横浜ブルク13の※
とc
横浜ブルク13(よこはまブルクサーティーン)は、
横浜市中区桜木町のTOCみなとみらい内(6〜9階)にあるシネコン。
TOCみなとみらいのオープンに合わせて、
2010年3月19日開業した。
東急レクリエーション、松竹、ティ・ジョイ(東映)の共同経営。劇場はティ・ジョイが運営する。

いまx
横浜ブルク13シアター7(IMAX)は、
客席からスクリーンまでの距離が近く、
よこはま
明らかに品川よりスクリーンが小さい、
(ただしビスタ型なのがいくぶんマシ)
既存館の改修版なのに、
れっと
座席数は360(330席+プレミアシート 26席+車椅子 4席)と、
品川より多いことからも、
ティ・ジョイは純正IMAXの復活などという崇高な志はみじんもなく、
先行シネコンの109/ユナイテッド式にならうしかなかった様子。

ということは、ティ・ジョイ品川IMAXは、
↓メルシャン純正IMAXの再来ではなく、
hikaku
↑品プリシアター通常館ZEROの、
↓拡張疑似IMAX(MPX)、
なんて
最悪の選択、シネスコ型という位置づけになる。

……

何してくれとんねん!

そうなると、どうしても東京アイマックスシアターの、
301
純正サイズでのデジタル復活を期待してしまうが、
2008年以来、IMAXはテリトリー制をとっており、
近隣地域にIMAX館がある場合、
後から別のIMAX館を作れない。

TOHOシネマズが、
同シネコンで初めてのIMAXを新宿に持ってきたのは※
たた
色々あって、
TOHOシネマズ新宿SCREEN 10 IMAXデジタルシアター
のスクリーンサイズは非公表。ビスタ型。座席数311+2。
この方のブログでは、「109シネマズ川崎(8.53m×17.86m)より若干大きく、
ユナイテッドとしまえん(サイズ非公表・ビスタ型なら推定12m×22m)と同等サイズか?といったレベルで、
成田の怪物(ビスタ型14m×24.5m)を脅かす存在には到底なれなかった…といった感じ」とのこと。

※先行シネコン、バルト9や丸の内ピカデリーとの差別化のためだけでなく、
タカシマヤ内施設に眠る、IMAX館の再生復活を阻む意図もあったのだろう。

と、とにかく、池袋の来年開館(予定)で、
いけぶくろ
大阪エキスポシティと同等のものが出現するまで、

(以下、過去記事引用)
高さ18メートル、横幅26メートルのスクリーン(約600席)を最上階に設置する。
スクリーンの面積は468平方メートル。
札幌市や千葉県成田市にある国内最大のスクリーンより3~4割大きくなる。

強力なレーザー光源を使った新型のデジタル映写機を導入し、大画面で高精細な映像を楽しめるようにする。ターミナル駅に近い立地を生かし、映画スターを招いた試写会も誘致する。


当面、
成田HUMAXシネマズ・シネマ9の、
でかっ
縦14m×横24.5mに匹敵する規模のIMAX館を※
なれいた
どうして成田HUMAXは、
スクリーンサイズで従来IMAX館(サントリーやタカシマヤ)を、
思い切って越えようとしなかったのか。

答は、
当時のデジタル2K映写機の表示限界がこのサイズだったから。
つまりこれ以上大きくは建設できなかった。
りた
スクリーンがスタンダード型でなく、
ビスタ型なのも、
2012年建設当時のデジタルIMAXの規格に基づく。

※都内でとなると、
横幅で品川か新宿TOHOシネマズ、
たぶんどちらも同じ22メートル。

つまり横幅だけなら、通常館の日本最大、
22.6メートル(ユナイテッド豊洲/スクリーン10&TOHOシネマズ海老名/スクリーン1)に、
60センチ負けている。

縦はシネスコ型の品川が9メートル、
新宿トホシネマIMAXはビスタ型だからもう少し高くて、
12メートル。

品川、新宿に負けてんじゃん!

箱形スクリーンの品川IMAXは、帰ってこなかった。

TOHO新宿にヘンな気を遣うなんて、
つくづくガッカリだよ。


やっぱアレかな。
ティ・ジョイには、
うちはしょせんシネコン(シネマコンプレックス)ですからっていう、
劣等感(コンプレックス)でもあるのかな、なんつて!

それでも品川駅から、
あp0る
映画館まで、
ぽぽ
煽りまくっている模様。
090909

燦然と輝くIMAXロゴもめでたく復活
どうどう
しょせんはMPXだけどな。

以上、ダラダラと述べてきたが、
ここまでをまとめると、
冒頭で「欺瞞につきあいたくない=ダマされ通しはまっぴら」
宣言をエラソーにしておきながら、
日本人は全員、
2009年6月19日の、
109シネマズのIMAX MPX3館オープンから、
2015年11月19日の、
同シネコンの大阪エキスポシティの4kツインレーザー式IMAX館オープンまで、
6年以上も、なんちゃってIMAXをあてがわれ続けていたわけである。

3
私はだまされていました!(2012年8月)

さて、フィルム時代のIMAXスクリーンに、
1:1.33と、1:1.43が混在していたのはどうしてか。

1:1.33というのは3:4=30:40
つまりそもそものスタンダード規格の縦横比。

1:1.43というのは30:43で、
これがより正確なIMAXの画面縦横比。

もともとスタンダードの3:4(1:1.33)縦横比は、
35ミリフィルムの1コマ分、4パーフォレーション(フィルム送り穴が4つ)に由来する。
35

通常の70ミリフィルムは5パフォ/垂直送り。
いkじゅふ

IMAXは70ミリフィルムを1コマで15穴使う水平送りなので、
minty
結果的に縦横比が1:1.43となった。
221

縦径(高さ)が同じだと、
1.33は1.43の面積比93パーセント。

IMAXで1:1.33のスクリーンに縦を全部映せば、
横方向の7パーセントがスクリーンからはみ出して表示されない、
ムダ部分になっていた。

デジタル4kでは正確無比に表示可能なので、
スクリーンサイズも画像情報どおりの1:1.43に統一されている。

ところで、なんで品川には地下鉄駅がないのか!

うちから東京メトロ区間乗り降り自由で、
往復たった990円(去年は1040円だったのがなぜか値下げ)のトクトクきっぷが使えないんで、
ICカード使用で片道549円、往復1098円、しかも目的地往復だけで、ですよ。

西新井から都バスを1日乗車券で乗り継ぎ、
890円で済ませる手もあるが、
西新井から品川まで片道2時間を越える(132分)よ。

東京メトロでトクきっぷだけで済ませようとしても、
白金高輪駅から、品川駅まで、30〜40分もかかるらしい

以上、映画館の雄大な規模にしつこく食い下がる一方で、
100円程度の電車賃にみみっちくこだわる、
なんともちぐはぐな今日のブログでした。