続々・Aウイング/マジメに考えてはいけないSWメカPART6 | アディクトリポート

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ようやくの、これ(続・Aウイング)の続き。

Aウイング関連記事の第1弾は色々と不備が多く、
次の記事で、
ご指摘いただいたお二人のコメントを借りて修正した。

A-wing 全長5.4m
きまり
スタジオモデル(プロップ) 1/9スケール

mpc A-wingキット
はそ
約1/35スケール


でもって、なんだって,
ずさんな段階で記事を出してしまったのかについて。

1.時機を逸したくなかった

記事には旬(しゅん)というものがある。

1回目の記事の頃(2016年4月24日)と言えば、
英国王室の王子2人(ウイリアムとハリー)
が、『エピソード8』の撮影スタジオを訪れ

(2016年4月19日)
そこにAウイングがあったのが判明した直後。

…なんだが、
↓正直この公開画像にはガッカリ。
っっbh
超小型機だったAウイングが、中型機に様変わりしているのももちろんだが、
同機に一度も搭乗したことのないルーク役のマーク・ハミルが、
エラソーに操縦指南していることまで含め、
ニセモノ感炸裂。
aaaaa
↑なんやねん、この広々としたコクピット。
↓見よ、これが本当のAウイングだ!

565555
ぐりーん

「マジメに考えてはいけないSWメカ」として、
いずれ取り上げるつもりで、
ボチボチAウイングの写真集めを進めていた段階で、
「まだバンダイプラモまでは時間があるよな」
と油断していたので、あせった。

今ではこうしてめでたく、発売されたが。



2.リサーチが雑だった

私はそもそも数字は苦手なので、
SWメカの寸法も、
その道の権威がきちんと計算してるんだろうと信じて疑わず、
したがって、その権威が関わっている製品ならば、
ちゃんとしてるだろうと盲目的に思い込んでいた。

だが、どうやらそうではないと気づき、
その後は検証したら、
ボロボロと不適切なデータが出てきた。

なんとも、裏切られた思い。

まるでフォルクスワーゲン三菱自動車スズキである。

誰にだって間違いやミスがあるし、自分だって時折やらかすから、
一度や二度だったら、ネチネチと責め立てたりしない。

ところが一事が万事ってなると、
これはもう、その職責への適性を欠いていると判断せざるを得ないのでは。

なにしろ、このブログで情報が間違ってたって、
せいぜいブログ止まりでさしたる責任があるわけじゃないが、
プラモは製品として広く一般に行き渡り、
おまけにわざわざお金を払って買っていただいてるんだから、
その責任を軽々しく考えてもらっちゃ困るんでは?

と言う思考プロセスを経て、
別に私はバンダイと利害関係もないんだし、
結局不利益を被るのは消費者なので、
ダメなものはダメと指摘することにした。

最初に検証したのはC-3POで、
mimi
↑プラモ(左)は、超合金=魂ネイション(右)のデータの使い回し。
プラモは急遽2ミリ背を伸ばすことになり、靴がビミョーに上げ底になっている。
↓写真解析とR2-D2(107.8センチ)との対比で、3POの身長は173.5センチ(概算)と判明。

まま

次のXウイングで、
2011~2013年のドイツ人グループの綿密な検証に行き着き

かんぜん
本来あるべきXウイング実機の寸法は、
●機体全長13.01メートル(42フィート8インチ)
●機体本体(主船体)の長さ11.89メートル(39フィート)
●翼水平時の全幅11.18メートル(36フィート8インチ)
めck
●翼展開時の全幅10.42メートル(34フィート2+3/16インチ)
●着陸時の機体全高3.04メートル(9フィート11+5/8インチ)
●飛行時の水平翼状態で、全高2.45メートル(8フィート5/8インチ)
●飛行時の翼展開状態で、全高4.51メートル(12フィート9+1/2インチ)

みぃおん

以来、もっぱら英文データに頼って来た。

しかしここに落とし穴があった。

●アメリカ人はきわめてアバウト
●そもそも公認商品を疑ってかかる人が少ない


例のスノースピーダーの断面図?は、
53
パイロットを強引に収めるために、
うんと寝そべった姿勢にした努力は買うが、
この機体の先端はくさび形にすぼまっているので、
足先がおさまり切らないぐらいの察しはついた。

しかし、このページで、
詳細な解析が行われていながら

それがさっぱりあてにならないなどとは、
夢にも思わなかった。

3.どのみち提示データは破棄する運命だった

かなり雑で急ごしらえを承知で出したのには、
どのみち否定、破棄する予定だったから。

なにしろルーカスフィルムは、
Aウイングは全長9.6メートルなどという、
根拠希薄な設定を変えるつもりがない。

もしかしたら、
あまり小さすぎる機体にハイパースペース(超光速)航行機能があるのは…
って見地からかも知れないが、
そんなの、映画『ジェダイ』自体の否定じゃないか。


プロップ(スタジオモデル)の、
コクピットとパイロットの比率を算定基準としないのは、
人形には首振り機構がついていて、
劇中でその動作がわかるように、大きめに作られているから、
なんだそう。
ookime
うれい

これにより、
スノースピーダーも、
ro-
ツインポッド・クラウドカーも★——
tぽd
どうやって乗り込むのかも不可解な、
クラウドカー〈ストームⅣ〉

kuraudo
——★人形の頭部から機体全長を算定してもムダとなった。

というわけで、
コクピットの人形頭部から寸法を割り出した、
Aウイングの全長5.4メートルは、
あくまでも参考値
にとどめるしかない。

4.恣意的な誘導の結果

「恣意的(しいてき)」とは、
気ままで自分勝手なさま。論理的な必然性がなく、思うままにふるまうさま。
「―な判断」「規則を―に運用する」

つまり現東京都知事や現総理とされる、なりすまし詐欺犯たち(=本来その職責についているはずがないのに、居座っている)と同じやり口で、
自分でもさすがに
「Aウイングの全長が12フィート≒3.7メートルなんて小さすぎんだろ」
と気づいていながら、
話の流れで、あえて珍説を支持してしまった。

たとえば前に、
Yウイングのコクピット部は、
ぴくせ
4.5~4.6メートル≒15フィートと算定済み。
(全長17メートル≒56フィート想定の場合)

↓このマットペインティングを見れば、
87878
Yウイングのコクピットブロックと、
Aウイングのどちらが大きいかは一目瞭然。
したがってAウイングの全長は、
4.6メートル以下なんてありえない。

そもそもルーカスフィルムが長年にわたって固持する、
全長9.6メートル説の根拠は?

↓ラルフ・マクォーリーのプロダクションペインティングでは、
454545
かなり大型の機体で、『エピソード8』版に近いので、
たぶんこれではないか。

というより、他には思い当たらない。

しかしデザイナーの設定どおりにスタジオモデルが作られることは稀(まれ)なので、
平面設定を基準にするのはキケンである。

タイ・ファイターがずっと小さめに設定されていたのも、
↓ジョンストンの作図による、この二面図/一部図解が原因。
っっxz
こんなもん、参考にしちゃいかん!

↓忌まわしき過去の歴史に後退してはいけない。
imawasiki
↑(左)ケナー社のタイ・ファイター初版。1978年製
(中)ハズブロ社の「反乱者たち」の尋問官用タイ・アドバンス。2014年製
(右)ハズブロ社の改良版タイ・ファイター。2003年製

↓ファインモールド版(左)よりは改善されても、まだ突き抜けが足りないバンダイ版(右)公称1/72スケール(実際は1/86スケール)プラモ。
いまわ
画像はこちらより




ジョー・ジョンストンは、
Aウイングのデザイン画を、
↓知る限り後方から捉えた1点しか描いておらず、
だし
スケール算定の手がかりにならない。

しかし速度比較表では、そこそこな対比で各機が描かれ、
nnnto
ファルコン=213ピクセル
Bウイング=94ピクセル
Aウイング=35ピクセル
Xウイング=74ピクセル
Yウイング=80ピクセル
なので、
Xウイングを基準の13メートルにすれば、
ファルコン=37.42メートル(34.75メートル
Bウイング(垂直飛行時の全高/水平飛行時の全幅)=16.5メートル
Aウイング=6.15メートル
Yウイング=14メートル(17メートル
( )内は、実際の寸法=スタジオモデルが算定基準。

正確な作図ではなく、描き殴った割には、
そこそこイイ線行ってるんじゃないか。

なにしろ『ジェダイ』の制作現場に、
Aウイングの厳密なサイズ統一規定がなかった。

リチャード・エドランドの「シネフェックス」記事によれば、
「例えばスタンダードのXウイングは、長さ18インチ≒46センチだが、あるショットには、もっとカメラが寄れるように、4フィート≒122センチのモデルが使われている。

とはいえXウイングは、モデルのサイズに関係なく、2フィート≒61センチ(円盤部の直径)のファルコンに釣り合う大きさに見えなければならない。

これはAウイングにも言えることで、設定上はXウイングの半分のサイズだが、モデルはXウイングよりも大型だ」

4321

というわけで、ILM社内での認識では、
AウイングはXウイングのハーフサイズ、
全長13メートル÷2だから、
約6.5メートル見当だったらしい。

これなら、先ほどの速度チャートにも合致する。

ここに来て、映画の制作現場からは、
Aウイングの大きさ算定の手がかりが尽きてしまった。

他にないものか…。

あった!
けなー
これはスペースモンキー(Spacemunkie)氏が、
ケナー/ハズブロ社の1/18スケールフィギュア用のビークルを大改造し、
スタジオモデル風に仕上げる制作途中の写真。(2010年)

こちらが完成写真(2010年5月)
2221
黒バックはスタジオモデル。

外形寸法は玩具のまま。
3333
1985年にケナー社から初版「DROIDS」箱で発売、
1997年にハスブロ社からケナーブランド、「POTF」箱でパイロットつきで再版、
2003年にハズブロ社から「サーガ」箱、ターゲット限定でグリーンの機体が、
2008年にハズブロ社から「レガシー」箱、ウォルマート限定で、グリーンリーダー、アーヴェル・クライニッドつきで、コクピット改修版が、
7878787
——と、都合4回発売されたが、
基本形状はずっと変わらず。

パイロットとコクピットの比率は、
↓こんな感じで、
なにを
プロップよりも自然かも。
これはこれで、なかなかイイ感じ。
ぇt

それに比べて…
re
このラクラク、ゆったりかげん。
王室向けの特別ゴージャス仕様かっ!

ケナーのAウイングの発売は、『ジェダイ』公開から2年も遅れ、
生産数も少なく、
その希少価値から、これのみを重点的に集めるコレクターさえ存在する
いおいおいお
ダン・フラーリダ(Dan Flarida)氏の、
オリジナルAウイング・コレクション。
みんt

発売こそ後回しにされたが、
SWトイは『ジェダイ』公開までは超絶人気だったため、
Aウイングは、
初期ラインナップのXウイングやタイ・ファイター、
あるいは『ジェダイ』時発売の大型機Yウイングや巨人機Bウイングのように、
寸詰め(小型化・縮小)の必要もないので、
スノースピーダー同様、プロップや
88888
↓実大セットよりも、大型の機体に設計されている。
どやねん

しかして、その寸法は?

ケナーのAウイングは、全長12.2インチ

フィギュアは1/18スケールだから、
12.2×18=219.6
219.6インチ≒220インチ≒5.6メートル

トイビークルからの算定だと、
Aウイングは全長5.6メートル

ただしフィギュアは1/18でも、
ビークルは1/20スケール疑惑(※調査中)があるので、
12.2×20=244
244インチ≒6.2メートル
Aウイングは全長6.2メートル説も捨てがたい。

そこで別の試算。
全長6.25インチのmpcキットは、
えあふぃうす
全長5.6メートル(約220インチ)設定なら、
219.6÷6,25=35.136
1/35スケールときわめて妥当。

全長6.2メートル(244インチ)設定なら、
244÷6,25=39.06
約1/40スケールと、いくぶんアヤシイ。

とにかくバンダイのAウイングは、
444444
ルーカスフィルムが9.6メートル設定をゆずらないため、

1/72スケール表示、
全長133ミリで製品化、
同スケールの小さなパイロットフィギュアもついている。


133ミリは、
Aウイングがホントは全長5.6メートルだとしたら、
5600÷133=42.105......
1/42スケール。

みんt

Aウイングがホントは全長6.2メートルだとしたら、
6200÷133=46.6165......
1/47スケール。

すんz

だがそもそも9.6メートル設定にはなんの根拠もないから、
近いところを取って、
それぞれ
1/43スケール(全長5.6メートルなら)、
1/48スケール(全長6.2メートルなら)

と捉えるべきだろう。

11111

実際にモデグラ7月号の作例では、
どろぼうひげ氏も、迷わずパイロットフィギュアを1/48に交換し、
実質上の1/48スケールキットとして完成させている

↓今号は記事内容、作例の完成度、誌面構成と三拍子そろった、出色の出来でした!


これは裏技として、バンダイも非公式ながら意識しているのでは?

というのも、この記事に貼り付けた動画の4つのうち3つが、
付属する謎の人型プレートに言及しているが、
説明書にはなんの説明もない。

開発陣だって、
9.6メートルのAウイングなんて、バカげてるのは重々承知。
それを1/72スケール対比の人型でさりげなく示し、
ささやかな抵抗を試みたのかも知れない。
(※憶測に過ぎず、裏付けはありません)

なにしろ1/43のフィギュアはなかなか入手がムズカシイので、
1/48でやむをえないとして、
次は完成後に並べる他のメカの選択も重要。

バンダイのスケール表示が1/72だからといって、
同社の1/72キット、XやY,タイシリーズと並べるなんて、もってのほか。

Aウイングも激しく表示スケールと逸脱しているばかりか、
他のキットも、のきなみ微妙にスケールがズレているから、
並べても奇異なだけで、
互いに引き立たないこと、このうえなし。

だったら、Aウイングのホントのスケールにより近い、
同社の1/48スケールと並べればいいかというと、これまた違う。
Xウイングは事実上の1/50だし、
ama
スノースピーダーは厳密な1/48なのに対し、
29999
Aウイングは、1/43がより適正。
かろうじて、AT-STが事実上の1/44スケールなので、
おう
ほぼつりあうはずだが、
スピーダーにせよAT-STにせよ、
そもそもAウイングと同じ場所に居合わせる状況がない。


そうなると、1/43スケールの他社キット、
mpcの最初のXウイングか、
みに
同社のベイダータイ、
たいひ
デアゴのファルコン(すべて実質1/43スケール)と並べるしかないようです。
いんこ


そんなこんなで、
バンダイのAウイングが、
このサイズでこのスケール表示になっているのは、
ルーカスフィルムのゴリ押しで、
バンダイのせいじゃないし、
いつものことだが、
キット単体での完成度は文句のつけようがないのに、
同シリーズの他キットと並べた途端に
バランスが大きく崩れて破綻する

ので、

○パイロットをすげかえる
○並べるキットを選ぶ
——の2点さえ押さえれば、
スノースピーダー同様、


スター・ウォーズ スノースピーダー 1/48スケール プラモデル
バンダイ (2015-05-30)
売り上げランキング: 1,422

いやそれ以上に、
「マジメに考えてはいけないSWメカ」を、
よくぞここまでと誉め称えるべき、
名作プラモと言えるだろう。