「半沢直樹」応援したくなる人・ならない人(1) | アディクトリポート

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色々考えるところあって、この新シリーズ。

8/25放送の「半沢直樹」の第2部開始回(第6話)が、視聴率で前回を越えることなく、記録は更新されなかった。

裏番組の24時間テレビで、森三中の大島がゴール出来るかどうかに引っ張られて、そのまま見続けた人が多かったのも一因らしい。

まあ視聴率だけが全てじゃないが、つくづく文化レベルの低い国である。

「半沢直樹」こそ、現代あまたあるドラマの中で、
真に見る価値のある1作と言える。

お笑いタレントが一人、時間内にゴールするかどうかなんて、これに比べたらどうでもいいよ。

いやあ、ますます見応えあったよねえ、「半沢直樹」第6話。
鬼気迫るとは、まさにこのドラマのこと。

どこがいいって、一言で言えば「わかってらっしゃる」に尽きるんだが、
①出し惜しみをせずに、
基本的に一話完結で話をドンドン進める。


第二部の初回ってことで、支店の敵(アンガールズの山根みたいなオッサン)の特定だけで終わるかと思ったら、
その話にはさっさと決着つけて、第二部の敵の本丸(香川照之)との対立まで描いた。

『ダークナイト』で、「この1本で、(ジョーカーだけじゃなく)トゥーフェイスまでやっちゃうんだ。すげえ!」と、そのてんこ盛りサービスに驚いたのを思い出した。


②ヘンな水増しや引き伸ばし、
後退の姿勢が皆無。


具体的にロクな話が思いつかないゴミ作家にかぎって、なかなか話を進めない。
いったんこういう引き伸ばし方をおぼえちゃうと、
「たゆたって」なかなか話を終わらせず、いたずらに話数や冊数を重ねることに罪悪感を覚えなくなる。

本物と偽物を見分ける目印だとも思う。

③小さな押さえや成功のコツコツとした積み重ねが、
相乗効果で次の大成功につながる。


前の話が5億で、それをやってこそ、今回の100億とか120億をあつかっても、ウソくさくなく、説得力がある。
逆に言うと、前半を経てこそ、作者も後半をやり抜けている。

不可能に思える危機的状況の脱し方、
その布石のちりばめ方なんかも、小ネタの成功を積み重ねることで、
さらにムリめで大きな危機を乗り越えられるようになるのは、実生活や人生でも同じ事。

④誰しもの心の奥底にある、
正義感や倫理観に訴えかけ、期待を裏切らない。


主人公が単に立ち回りに長けている奴だったら、こんなに支持されないし、見ていてもカタルシスは無いよね。

この根本をわきまえてなく、立ち返らずに話を進める作家が多すぎる。

⑤全力で注力すべきところと、
手を抜いてもかまわないところの加減が絶妙。


だいたい、半沢直樹って名前からして、

「浦」沢直樹(「20世紀少年」の作者
 ↓
「裏」沢直樹
 ↓
「反」沢直樹
 ↓
「半」沢直樹と、
たんなる連想ゲームで、
ようは主人公の名前なんて、どうでもいい、
肝心なのは、話の中身っていう、原作者の姿勢でしょ。

まさかこれがドラマのタイトルになるとは、作者も予想もしなかったことだろう。

----等々、成功要因を数え上げたら枚挙に暇(いとま)がない

同時期放送でも低迷している、
日テレの「Woman」(1話だけ見て、あきれ果てて見るのをやめました)とか、「顔を洗って出直してこい!」
と言いたくなる。

また、堺雅人だからヒットしたと考えて、
「リーガル・ハイ」の新シリーズを決めたフジも、
やはりその見込みは違うと思うぞ。

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他局だけではない。
「半沢直樹」のヒットにあやかろうと、番組のケツには必ず「名もなき毒」の予告がくっついてるが、主演の小泉孝太郎はともかく、他に顔出しするのが江口のりこなんかで、視聴者が見る気になるわけねえだろ!

なんかのきなみ、見込みが甘いと言おうか…。

「半沢直樹」の制作陣(脚本や監督)だって、前に手がけてたのは、
「華麗なる一族」とか「南極大陸」とか、
キムタク頼りの竜頭蛇尾で、ホントにドラマをわかってるのかは、はなはだ疑問。

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結局行き着くところは、原作なんだよ。

その意味で、原作者の池井戸潤氏は、真の作家と言え、

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私も作家の名乗りを上げた以上、
この方に匹敵するか、
それを越える作品/タイトルを目指さなくちゃ、
わざわざ転職して、「俺にはこの道しかない」と決めた意味がないと思うべな。

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今回は「応援したくなる人」で長くなったので、
「応援したくならない人」については、また今度。