どうせつくなら/ピルトダウン人の話 | アディクトリポート

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※今回は、画像がほとんどありません。
(ブログの画像データが満杯気味なのと、載せたくない画像は、あえて載せるまでもないので)


この記事他。

「みえすいたウソなんて、いずれバレるに決まってるのに、なんてバカなことを」
というのが、ごくごくまっとうで当たり前の世論だが、どっこい虚言癖の人の独特の思考法では、同じことでも捉え方が全く異なる。

まず、ここに至るまでについてきたウソは、ふつうなら否定される、「よくないこと」「けしからんこと」だが、本人にとっては、そもそもそのウソは、「なくてはならない成立条件」とか、「現状の安定基盤」とか「大前提として揺るぎないもの」に「昇格」済みなので、完全に肯定されてしまって、それなしにはやっていけない大切な部分と捉えられている。

守口氏の場合、1千万円近い助成金をもらったのは事実なので、そのお金をもらう根拠だった、医学研究者という詐称も、お金をもらった時点で厳然たる事実になってしまっている。

で、その資金をムダにしないためには、研究成果を示さねばならないから、山中伸弥教授のノーベル賞受賞を好機とばかりに、はるばる渡米した学会で、自分で「手術に成功しました」とポスターを掲げて、自己宣伝と既成事実化につとめたわけである。

だから彼はウソをついているつもりなどなく、あくまでも事実を語っているつもりで、それを揶揄(やゆ)したり疑う意見は、自分の描いたシナリオの邪魔者だから、「みんなが、やいのやいの言うから、ホントのことに尾ひれがついた」と、他者のせいにしたがったり、責任転嫁をしたがるわけである。

手術例が当初の6つから1つに減ったが、それでも意地でもゼロと認めないのは、ゼロだと助成金の返還を求められるから、なだけである。
そもそもウソとわかれば、当然全額返還というところに、彼の意識は全くない。

滑稽で愚かに見えるが、実は虚言癖のある人間はけっこういて、私も、日本という国の内外を問わず、異なるレベルで(重症から軽傷まで)何人か知っている。

重症になると、ウソはやむを得ない必然で、つかざるを得なかったのだから、本人の中では事実として認識されていることも多い。

こういう人の場合、犯罪につながる可能性が非常に高い。

「1回だけなら」とか、「今回限り、やむをえず」のはずだったのが、次第に常套手段化して、ウソをつくのが日常的な問題解決の手段として当たり前になってしまう。
そのうち、どれがウソでどれがホントか、一々覚えていられなくなり、だったら全部ホントと思い込んでしまえと言うことになる。
という過程を経て、平気でウソをつき、言ったウソは本人の中ではホントに自動変換されてしまうようになる。

虚言癖のそもそもの考え方の始まりは、「バレなきゃいい」と開き直っているわけだが、どっこいウソは、必ずバレる。

ただし当人が生きているうちにバレないことがあって、その場合、嘘つきや詐欺師としては大成功かも知れないが、後世まで永遠に不名誉がついてまわることと引き替えなので、長期的展望では得だとは思えない。

「当事者の生存中にバレなかったウソ」の最たるものは、
ピルトダウン人(Piltdown Man)
だろう。

1909年~1911年当時、考古学での待望論は、猿人と原人の間に位置する理想の中間的存在の発見だった。
つまり、それまで発見された頭骨の化石はことごとく、類人猿(ゴリラ、チンパンジー、オランウータン等)にとても近いか、あるいは一気に進化の過程が飛んで、人間にとても近いかのどちらかで、間を取り持つような中間的なものが見つからなかった。

そんなところへ、弁護士でありアマチュア考古学者でもあるイギリス人、チャールズ・ドーソンが、ピルトダウンから発見された頭頂骨と側頭骨と称して、大英博物館のロンドン自然史博物館に勤務する、アーサー・スミス・ウッドワード卿の研究室にもたらしたものは、頭骨は現生人類に近く、顎の骨は類人猿に近かった。

うってつけの理想の化石発見に、ウッドワード卿はピルトダウン人を更新世初期に由来する現生人類の最古の祖先とみなした。

$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ぽいお
ウッドワード卿が復元したピルトダウン人頭骨。
大きく膨らんだ脳頭骨と、突出した原始的な顎が特徴。


で、第二次世界大戦後に大英博物館のケネス・オークリーによって確立された年代測定法の一つ、フッ素法を用いて、1950年にピルトダウン人頭骨の検査が行なわれると、骨は1,500年以内のものときわめて若いことが判明、さらに1953年により精密な調査が行われて、下顎骨はオランウータンのものと判明した。
※頭骨は「子供の人骨」だと何かで聞き知ったが、Wiki他にはその記述が見あたらない

こうして40年近くにわたって古人類学界を混乱させたピルトダウン人は、捏造された化石であると断定された。
※ただし、最初にドーソンからもたらされた頭頂骨と側頭骨は、後期更新世に由来する化石の現生人類(クロマニョン人の類)と考えられている。

発見当初から
「ドーソンが自宅で骨を造っているのを見た」
(↑おいっ!)
という目撃情報が流れ、専門家の中でもボヘミア生まれの米国の人類学者アレシュ・ヘリチカは、ピルトダウン人の下顎骨は類人猿のものであろうと唱える等、疑惑説はあれこれ浮上したそうだが、結局真相は、関係者がのきなみ亡くなった後世で、ようやく明らかになった。

教訓:どうせつくなら、自分が生きている間は
バレないウソを!

(ち…違うか)