インターバル/大河原ザクを求めて(39) | アディクトリポート

アディクトリポート

真実をリポート Addictoe Report

今回は、話を先に進めずにちょっと立ち止まり、これの補足説明から。

デザイン

クリンナップ(設定画決定稿)
は同一人とは限らず、そこらへんの線引きが曖昧でしたね。

もう一度きちんと仕切り直しておくと、
ガンダムの「デザイン」は、基本的には大河原邦男。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-りつぞう
↑ガンダム大河原邦男バージョンの、ほぼ最終デザイン+色彩案。
このままだったら、「機動戦士ガンダム」という番組は、エポックとなり得たかどうか……。

「このドラマの主役に、口はないでしょ」と、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-kuchi
唇周りをカバーで覆い、
$オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-顔比べ
↑準備稿(左)と決定稿(右)では、平行に走る2本のスリットの位置が違う。
↓原画は共に、安彦良和。

$オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-koharu

サマになる立ち姿の全身図を描き直し、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-たち
色まで決めたのも、安彦良和。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-kara-
↓かくして、危機は回避された!
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-hutatu

ガンダムの口以外に、安彦良和が「デザイン」した「メカ」は、
ガンキャノンと、
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-kyanonn
↓ガンキャノンのデザイン変遷。
左の2点は安彦良和。右のアニメ用設定線画2点は大河原邦男(推定)。

オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-キャ変遷
↑上のガンダム頭部もそうだが、当初は金属光沢で周囲の景観が映り込む、シルバーメッキが想定されていた。

コアファイターだけ。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-koafa

ジー・ツー・オー Volume.4―ガンダム・トリビュートマガジン (アスキームック)/著者不明

¥840
Amazon.co.jp

つまり安彦良和は、ジオンのモビルスーツの「デザイン」は、一切手がけておらず、
連邦軍側MSでもGM(ジム)は、富野善幸がデザインラフ(本稿未掲載)を、
大河原邦男が、設定画決定稿を手がけている。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-じむむ
↑頭部を簡素化した、連邦の量産型MSのGM(ジム)の姿(右)は、偶然にも大河原邦男の描いたガンダム別原案(左)に通じる部分が多い。

それ以外に安彦良和が手がけた、メカの設定画決定稿は、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-dedede
ドムとゴッグのみ。

では、安彦デザイン以外のMSの「デザイン」は、全て大河原邦男氏だったのかというと、
それはザクと旧ザクと、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-さんれん
その延長のグフまでに過ぎず、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-dezaza
↑ザクのデザイン案の一つ(左)は、結局グフ(右)に結実した。
ドムから最後のジオングまでのデザインは、
モビルアーマー全種も含め、
ことごとく富野善幸だった。

忍者風のドムの場合は、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-こんらん
結局、安彦氏に太めに描き直された大河原氏の原案がスリムなのは、それまでの設定画のプロポーションを踏襲しただけでなく、富野ラフの忍者風ドムが、いかにも身軽そうな細身だったからではないだろうか。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-MSV
連邦、ジオン双方で、MSの基本デザインが固まったところで、
総監督の富野氏が自ら、その方向の延長でやってみたのだろうが(本稿未掲載)、
これ以降もずっと、ラフデザインを続けた理由の中には、
ザザザクさんのご教示によれば、)
デザイン料の圧縮、倹約を兼ねてもいたらしい。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-420
↑『THE ORIGIN』22巻末の対談より。
文脈から察するに、1タイトルまとめてこの値段で、デザイン点数は関係ないらしい。
1年間で300万円を、番組短縮等々で250万円弱に減らされたと言うことか。


大河原氏は当時について、
「(ゴッグ以降の水陸両用MSは)富野ラフをクリンナップすればいいだけで、自分でデザインをひねり出さずに済んだので、作業は楽だった」旨の発言をされている(と、氷川竜介様より教えていただきました)。
↓ゴッグ、ズゴックに関してのコメント。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-hanntenn1
↓ビグ・ザム、ジオングに関してのコメント。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-422
↓水陸両用MSVに関してのコメント(1)
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-3
↓水陸両用MSVに関してのコメント(2)

$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-4

大河原邦男GUNDAM DESIGN WORKS (A collection―Mechanic.../大河原 邦男

¥2,310
Amazon.co.jp

ドムに話を戻すと、テレビ放送当時、ドムとリックドムはどこが違うのかと話題になったが、相違点を明確に示す資料は公表されなかった。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-domumu
↑MSV(モビルスーツバリエーション)が違いを示す良い機会に思われたが、カラリングとマーキング以外は、外形の違いはドム(左)とリックドム(右)の間には認められない。

<復刻版>機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション(2)ジオン軍MS・MA編 (KCデラックス)/著者不明

¥840
Amazon.co.jp

当時は設定も存在しなかったのだと思われる。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ba-nia
↑近年の書籍では目にするこの資料。ファーストガンダムのテレビ初放映時や劇場版三部作の頃には、まったく見かけた記憶がない。
後年の追加設定と思われる。


ガンダムの常識―一年戦争モビルスーツ大全/著者不明

¥500
Amazon.co.jp

劇場版でリックドムやゲルググのスカートや、フレアパンツ(=パンタロン)の裾(すそ)の内部にバーニアを加筆したのは、アニメーターの板野一郎氏が、原画の段階でのことだったという。(これもザザザクさんに教わりました)

作家集団Addictoe オフィシャルブログ-どむむ
↑ドム(左)とリックドム(右)のバーニア装備数の違い。
↓ゲルググのバーニア。
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-げるぐ
現在では玩具や模型で当たり前に立体化されている三連バーニアも、劇場版で描き込まれたからこそ。


知らなかったよ……。

皆様も、何かご存じでしたらご教示ください。

次回は、ながく中断していた話題に戻ります。