リック・ベイカーだったんだ!(3)/ベイダーマスクのひみつ | アディクトリポート

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真実をリポート Addictoe Report

これの続き。
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-reje2

まずはeFX社の記述の続き。

Even though there were 3 known castings made from the mold made from Muir's sculpt, only 1 helmet was used in the entire filming of A New Hope.

ミュアー(ミュワ)が造形した原型を元型に写し、そこから抜いたベイダーマスクは3つだったことがわかっているが、1作目『スター・ウォーズ』(1977・いつも思うが、制作当時を振り返るのに、後の1981年から追加された『エピソード4 新たなる希望』のタイトルで呼ぶのはどうなのか?)撮影に使用されたのは、最初から最後まで、一つきりだった。


ここまでは記述通り。

知ってる情報から補足説明すると、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-hiuyu
*量産を考慮しなかった元型(石膏型?)は、3つ複製を抜くだけで破損。
*とにかく現物を納品するのがミュアーに課せられた急務だったため、粘土原型も元型も「うっちゃられて」(=放置されたまま、かえりみられず)、残されていない。
*ミュアーの納品時は、型取りで樹脂がまんべんなく回り込んでいるかをチェックするために、黒いジェルコートを元型に塗って、ヘルメットはその全体黒一色の状態で納品。わざわざ塗装しなくても、表面を磨くだけで、いい感じでツヤが出た。
*ヘルメットのグロス塗装(撮影の中盤から)や、マスクの左右非対称のブラックとガンメタル(黒鉄色)の2トーン塗装は、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-buy
ミュアーが施したのではなく、現場のプロップ担当の塗り直し。
*ヘルメット全体は、うっすらと青みがかった光沢のトップコート仕上げ。劇中でベイダーがなんとなく青みがかって映っているのは、このため。


で、このたった1式しかない貴重なダース・ベイダーのコスチューム、映画がヒットするかが未知数な公開(1977年5月22日)前から、早速プロモーションに借り出される羽目に。

2006年4月に公式サイトで公表された情報から、以下抜粋。
(当時ミクシィで発表したものを一部編集)

79年から82年までの5年間、アメリカのファンの前に姿を現し、
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-てれび
握手をし、ショッピングセンターでサインをし、
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-sainn
チャリティイベントや各種の授賞式に出席したダース・ベイダーには、
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-じゅしょう
カーミット・ブライス・エラーが扮していた。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-えらー

ブライスの名前は当時ほとんど公表されず、彼は影武者を貫き通したが、2006年のインタビューによれば、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-2006
当時の状況は以下のようなものだった。

事の起こりは、まだ1作目が公開前の、1977年の春。

ドン・ポスト・スタジオは、映画のプロップや、頭からすっぽりかぶるタイプのマスクを製作する会社で、社員の一人ボブ(ロバート)・ショートが、LFL(ルーカスフィルム)とマスク造形の契約をかわし、SWのTシャツを着てドン・ポスト社に戻ってきた。

ショートの同僚のブライス(・エラー)もこのTシャツを気に入り欲しがったので、ショートは数日後に彼のためにユニバーサル・スタジオの撮影所内、426Aビルに設置されたSWC(スター・ウォーズ・コーポレーション)のオフィスを訪れ、広報担当のチャールズ・リピンコットと会った。

「SWのTシャツが欲しいんですけど」
「あの隅の箱の中にあるけど、サイズは特大しか残ってないよ」
「かまいません。ぼくが着るんじゃないので」
「特大サイズにぴったりの友だちがいるのかい? 彼の身長は?」
「6フィート5インチ(約196センチ)ってところでしょうか」
「体格は?」
「肩幅はがっしりしていて、そりゃあ立派な体格ですよ」
リピンコットは切り出した。
「その彼に、ダース・ベイダーを演ずる気はあるかなあ?」

拍子抜けするぐらいあっさりとした申し出だったが、ブライスはコスチュームに身を包む仕事の経験なら、友人のウィリアム(ビル)・マローンがTVのパイロット版のために作った、『地球が静止する日』のゴートに扮したりと、仕事柄も手伝ってたくさん経験していた。
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ブライスが着ることになるダース・ベイダーのコスチュームは、映画本編の撮影に使用された、まぎれもない本物だった。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-magure
背景の赤レンガの建物が、ユニバーサル・スタジオの撮影所内、426Aビルに設置されたSWC(スター・ウォーズ・コーポレーション)のオフィス。

そんな貴重なものをプロモーションやイベントに使い回すなど、現在の常識では考えられないが、公開前の映画SWの位置づけは、収支トントンならば上出来といったところで、使えるものは徹底的に使い回すべきだと考えられていた。

リピンコットとゲイリー・カーツ(当時のプロデューサー)は、1977年アメリカ書籍販売組合の見本市で、SWノベライズの第2版を売り込むために、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-nihann
プロモーションの強烈な決定打が欲しかった。

ブライスはいわば歩くマネキン役をオファーされたわけだが、
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ichi
生来の完璧主義者だったので、やるからには堂々とベイダーを演じたかった。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-2
そこでキャラクターの映画での様子をぜひとも知って、自分の演技の参考にしたいと申し出た。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-さん
まだ映画公開までには間があったので、各国語を作成中の編集室への立ち入りを許可された。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-4
ブライスは自己判断でカセットレコーダーを持参していた。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-5
編集室ではブロッケード・ランナーに乗り込んでくる場面と、反乱軍将校(アンティリーズ船長)を放り投げる場面を見させてもらい、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-6
参考にセリフを録音しても良いですかと訊くと、これまた実にあっさりと現場の判断で許可された。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-7
まだ映画『SW』の価値は未知数で機密はゆるく、どのみち1週間以内に映画は一般公開される、という時期でもあった。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-8
12ほどのセリフを録音して、宿泊中のセント・フランシス・ホテルに戻って何度も何度もくり返してセリフを頭にたたきこんだ。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-9
ジェームズ・アール・ジョーンズそっくりに声色をまねられるようになったはいいが、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-みさんが
当日のブックフェアではまだ誰も映画を観ていないので、彼のセリフはあまり効果を発揮しなかった。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-11
それでも6フィート9インチ(約206センチ!)のコスチュームと、ブライスのパフォーマンスは会場でひときわ目を引く存在で、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-へんしん
たまたま居合わせたフォックスのニューヨークの幹部達まで感嘆しきりで、彼らはリピンコットにこう言った。

「この1回で終わらせてしまうのは、あまりに惜しい。彼(ベイダー=ブライス)には、プロモーションに存分に活躍してもらいましょう」
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ぞんぶん

リピンコットはダース・ベイダーと一般市民が一緒に写真を撮れたなら、映画そのもののプロモーションにもグッズの販促にも、そしてなによりもダース・ベイダーというキャラのお披露目にも絶好の機会だと考えた。

こうしてブライスは数日後には、ハリウッドの映画館の前で一般市民との写真撮影にかり出されていた。


別にいたずらに話を引き延ばしているわけではなく、時系列的にこちらが先だったので、機会を逃さず、5年前のmixi記事を引っ張り出して触れておきましたが……よかったですよね?

次回こそは、さすがにリック・ベイカーに行き着きますよ。