学年誌という活躍舞台(3)/内山まもるのウルトラマン〈タロウ・18〉 | アディクトリポート

アディクトリポート

真実をリポート Addictoe Report

今回は
ウルトラマンタロウ
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-たろうたいとる
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-tarouuu

未読の方は、こちらも併せてご覧ください

まずは恒例、ページに占める枠外コピーの割合分析から。

ちなみに「帰ってきたウルトラマン」は32/154で、
約2割(20.8パーセント)

「ウルトラマンエース」は46/165で、
約3割(27.8パーセント)
でした。

「タロウ」の枠外コピー数/枠の総数は、
1話 7/19
2話 5/19
3話 4/21
4話 4/29
5話 6/27
6話 5/23
7話 4/15
8話 5/19
9話 3/19
10話 5/21
11話 5/21
12話 5/18


全体では51/232で、
約2割(21.98パーセント)と「帰ってきたウルトラマン」の頃の割合に戻っている。

それよりも、ここでは内山マンガのページが大幅に増加していることに注目したい。

「帰ってきたウルトラマン」の通常連載は総154ページ。
これに9月増刊の「決戦ウルトラ兄弟対11大怪獣」の73ページを足して、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-4kyoudai
内山まもるが1971年度の1年間に描いたウルトラまんがは、227ページ。
月平均で、18.9ページ。

「ウルトラマンA」は通常連載の総165ページに、
9月増刊の31ページ、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-5ninn
1月増刊の29ページを足して
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-chichi
全部で225ページ。
しかし「エース」だけは11回連載だったから、月平均は11で割るので、20.45ページ。

それに対して「タロウ」は、通常連載だけで232ページと、すでにこの時点で「帰マン」「エース」の各総ページ数を越えている。
増刊は「小二」9月増刊号の1回だけだが、
「かがやけウルトラの星」↓のページ数は、なんと93ページもの長編!
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-hyousi
↑本編だけで93ページの大ボリューム!
そのため表紙を描く余裕がなかったのか、カラー写真で代用されている。


さすがに一人ではこなしきれず、「かがやけ~」は、「内山まもるとウルトラグループ」の連名になっていた。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-riri
↑ウルトラグループは、かたおか徹治・たくま宏章・森正人

しかもこれだけでは終わらない。
内山まもるの「ウルトラマンタロウ」は、
「小学五年生」にも並行連載されていたからだ。

「小五」版のページ内訳は、
1話 13P
2話 13P
3話 13P
4話 13P
5話 8P
6話 8P
7話 8P
8話 7P
9話 9P
10話 9P
11話 7P
12話 4P

ただしこの総96ページ、テレビとは別展開の完全オリジナルストーリーで、後半には東光太郎もウルトラマンタロウも出てこなくなってしまう。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-たろう
↑「小学五年生」の「タロウ」最終話のトビラ。
「ちゃんとタロウが出てるじゃん!」と思われるかも知れませんが、全4ページでタロウが出てくるのはここだけ!
そのうえ、10話と11話には、タロウは全く出てきません!

オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-206

だがこれは当時の内山まもるにはうれしかったようで、我々ファンはとにかく大歓迎で、いくらでも描きまくって欲しかった内山版ウルトラマンや怪獣というのは、本人にはけっこうつらいものだったらしい。

$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-ふっこく
↑「帰ってきたウルトラマン完全復刻版」より

オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-205

というわけで、内山まもるが73年~74年までに「ウルトラマンタロウ」のマンガを描いた総ページ数は、232+96+93=421ページ!
月平均で35ページ、つまり休日返上で毎日1ページ書いても、追いつかないペースだったのだ。

あいかわらず前置きが長くなったが、ようやく今回の本題の枠外コピーを見ていこう。

まずは新連載第1話。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-rerere
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-taroutuki
↑「おそろしいことです」って……
昨年度の「エース」の名調子など、どこへやら。
第1話からこれじゃあ、今年(1973年)のコピーは思いやられる。
イヤな予感がするぜ!

この後しばらくは小康状態を保つのだが、3話で馬脚を現し始める。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-kosumorikiddo
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-42koma
「42こま」って、どういう指定のしかたなんだか……。

同じことは、次の4話でも繰り返される。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-ありんどう
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-すっ
「この口、あの腕を見よう」(漢字に変換)って……
画面の特定箇所への指示誘導っていうのは、枠外コピーの役目じゃない気がするけど……。
そんなムズカシイことは、小二の読者にも、このコピー担当者にもわからないよね。

その4話には、ゾフィが登場。
表紙から大々的に宣言されている。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-ぱー
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-つけに
しかしテレビでは、大羽蟻怪獣アリンドウの登場する第9話「東京の崩れる日」(1973年6月1日初放映)には、ゾフィは出てこない。

つまりこれはマンガ独自の強化策で、当時人気だったゾフィにあやかろうというもの。
それだけにコピーもそれをあおり気味だ。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-はつとうじょう
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-はじめて
「はじめて まんがに」登場したと断っているところ、つまりテレビとは別展開で、「単独」登場なのが大事。(「タロウ」1話で他のウルトラ兄弟と共に登場している)

$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-7月ラスト
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-kiri
まんがの最後にまで、「来月もゾフィが出ます」と予告することを忘れない。

そしてその予告どおり、翌月もゾフィ(なぜかこの月からゾフィ「ー」)はやってきた。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-hyousi
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-こんげつ
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-koma
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-ひかり
「もしや」って、ここまでさんざん煽ってたら、ゾフィー以外にありえないと思うけど……

で、この噴煙怪獣ボルケラーが登場するテレビ12話「怪獣ひとり旅」にも、
虫歯怪獣シェルターが登場する13話「怪獣の虫歯が痛い!」にも、ゾフィーはやっぱり出てこない。

そして翌月の第6話。
トビラ絵の次のページで、いきなり衝撃の発表!
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-225
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-zoppi
なにもしょっぱなのページで、それも2回も「しぬ」って言わなくったって……

オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-2289
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-taima-

「うんめいは どうなるのだ」って、マンガの最初で「死ぬ」って断っておきながら!

このようにへんてこコピーが頻出するので、どうやら次号から担当が交代したらしく、その後はまともなコピーに終始する。

たかが、といっては何だが、小学二年生相手の枠外コピー一つでも、向き不向きというものがあるんですね。

というわけで、次回のレオで、「枠外コピーツッコミ」シリーズはおしまいです。

人気ブログランキングに参加中。気に入ったらポチしてね。
人気ブログランキングへ