宇宙戦艦ヤマト大図鑑(中編)/蒼きヤマトへの憧憬〈16〉 | アディクトリポート

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好評?「大図鑑」紹介の第2弾。

まず最初に、前回の訂正ですが、
これ↓は本編画像ではなく、この書のための描き下ろしで、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-02
判断の根拠は、先端にポール(旗竿)があることで、これはスタジオぬえ版の目印で、テレビ劇中には未登場だったそうです。

次に、↓この可愛らしい絵柄は、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-naze
岡迫氏ではなく、芦田豊雄(あしだとよお)氏だそうです。

メカはともかく、人物キャラはあまり興味がないこともあって、判定がダメダメですね。
たとえば↓これも、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-10
「全部描き下ろしのセル画」と判断しましたが、古代は劇中の流用とご指摘を受け、
「いや、オレはメカのことしか言ってないんだよ」と、あらためて自分の頭の中で勝手に決めたことは、他の人も納得ずみと感じている悪いクセがでましたね。

まあ、あくまでもメカのことしか興味がない私のページですので、そのおつもりで生ぬるい目でご覧ください。

ただし、甘やかされるつもりもないので、これからもバシバシ鋭い指摘をお願いします!

というところで、ようやく本題。

前回は↓この中央ページまで紹介したので、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-12

今回は中折りのヤマト大図解について。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-106
このアングルからの詳細な図版は、準備稿のものが1枚存在するだけで、
↓しかも左右が逆+作図がオリジネーターの加藤直之でなく、宮武一貫。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-307
決定稿からの詳細図版化は、番組放映後のこれが初めて。

同じ加藤直之画でも、
かなり独自アレンジが加わった、
こっち↓より、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-dvでゃこ

ずっとアニメの中のヤマトに近い、いわば究極の1枚。
なのに長年人知れずの状態で、この画像を借りた海外サイトでも、
掲載はどうやら昨2009年の9月以降だった模様。

↓前方の詳細がこちら
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-まえ
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-205
①1作目だけに頻繁に描かれる艦首の謎のパーツ(旗竿?探照灯?)
②開閉スライド機構が確認できる、甲板前方のドーム部分
③斜めに伸縮するパンタグラフ機構のある、艦載機用エレベーター
④肩が斜めに裁ち落とされている、準備稿型の主砲
⑤宮武版と同じ、急角度の斜めに面取りされたフェアリーダー
⑥波動砲のジョウゴ型の外形は、バンダイのプラモに引き継がれる
⑦両ヒレが末端肥大の、正確な形状のロケットアンカー
⑧知る限り唯一、図解に描かれた姿勢制御ロケット
⑨外形の基本が把握できる、構造材の断面形状


↓後方の詳細がこちら
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-うしろ
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-kouhou
①透明・照明と思われる、第一艦橋上にある突起
②内部に通じる第一艦橋肩の丸窓
③放送当時に確定していた、水平翼の理想的な形状
④1作目に顕著なバッタアンテナ
⑤ここだけカバーに覆われず、形状も独特な機銃(パルスレーザー)
⑥下すぼまりの第二艦橋正面
⑦第一主砲周辺までしか板張り表現になっておらず、第二主砲、第一副塔と上がるにつれて幅が狭くなっていく甲板(デッキ)部分。
⑧どうやら窓と思われる司令塔側面の張り出し
⑨姿勢制御ロケットか窓と思われる方形が並ぶエリア
⑩横に張り出した円筒状のパーツ。艦載機射出口?
(いかに主設計者でも、時に的確な判断を下せないことを示す一例)
⑪松本零士が設計し直した決定稿の形状で正しく描かれたカタパルト
⑫さすがにもう少し前方に張り出して描いた方が適切に思われる側方展望ドーム
⑬意外と複雑な面構成の第三艦橋周辺
⑭前方が狭く、後方が大きく張り出して幅広なパルスレーザー砲台の肩部分エッジ
⑮ここに外に通じるハッチが描かれている唯一の例
⑯側面ミサイル発射機構だが、実は艦載機射出口だった名残
⑰側面設定図面でなく、内部構造側面図に準じたエッジ形状
⑱当時の設定に忠実に描かれた、上部艦載機射出口

※後部の画にも、前部の⑧(姿勢制御ロケット)と
⑨(船体形状を読み取れる構造材の断面)
があるが、重複するので割愛。


さて、この「大図解」の決定版ヤマトの形状は、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-ぜんたい
過去にほぼ忠実に立体化されていた。

「んなこたぁ、わかってるよ、DVD付属の新1/700バンダイキットでしょ!」
という声が聞こえてきそうですが、それのことではありません。
もちろんあのキット(2008年2月22日発売)は、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-143
↑こちらは、どろぼうひげさんの作例で、細部がちょっとだけ異なっていますが基本プロポーションは同じ。
先端のポールはキットには付属しますが、ここではついていません。

この大図解が造形の参考資料にされていて、
↓ご覧のように、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-おなじ
イメージはぴったり同じです。

ですが、その何年も前に、これ↓があったんですよ!
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-びっくり!

他の資料も参考にしてるため、大図解とドンピシャリ、一致してるわけではないですが、
比べてみれば、このとおり↓
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-24343
↑戦艦大和の無粋な軍艦色まんまの俗称「黒ヤマト」でなく、「蒼い」ヤマトであるところとか、オレンジで木製を模した甲板色とか、各部の曲線構成等々に、大図解に通じるものを強く感じます。

で、これはいつのモノかというと、船腹のイカリマークからもわかるように、「ヤマトよ永遠に」の1980年です。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-123
1980年公開の「ヤマトよ永遠に」では、フェアリーダー直下(波動砲直上)と船腹、さらに主砲上面にイカリマーク、主砲の砲身に参戦章のストライプ(三本線)が追加された。

これはつまり、テレビ初放映から6年後というわけですが、当時のバンダイプラモの出来が(1/700はともかく、それ以外がのきなみ間に合わせ的+スケールモデル的解釈が発展途上で)「それなり」だったのに比べたら、月とスッポン。

というよりも、今だってこれが売ってたら、買いたくなると思いませんか?
さらにバンダイの最大キットと同じ、1/350スケールだったら、なおさらに!
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-16565
↑ここで今さらながらの、2007年発売のバンダイ1/350ヤマト(上)との比較。
ねっ、「お前、誰やねん?」って気になるでしょ?
えっ、なりませんか?
とにかくこの意識ギャップで、その人との「ヤマトの距離」が測れますよね~。


1/350?
「永遠に」の1980年?
ってことは、イマイの木製模型のこと?
「えーっ、こんなにカッコよかったっけ?
バンダイ版より断然いいじゃん!
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-27
↑27年のハンデがあっても、ディテールを差し引けば、その造形センスと取捨選択の確かさで、充分にバンダイのキット(上)と勝負できる、1980年製の木製ヤマト(下)の、ただし最終製品ではなくプロトタイプ。
だったら今からでも買おう(絶版だから、ヤフオクで落とそう)かなあ」
と思った、そこのあなた!

いえいえ、このとおりに商品化されたわけではありません。
じゃあ、この秀逸なモデルは何かというと、
広告に掲載されたヤマトだったのです。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-こうこく
「ヤマトよ永遠に」のロマンアルバムに載ってたらしい。
そんなの、すっかりノーマークだったよ。

↓こちらは同じモデルを使用した、別アングルからの広告。
(出典不明)
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-hiraku

この広告↓によれば、実際の製品発売は、1981年(昭和56年)の1月初旬だったらしい。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-こうこく

では実際の製品はどんなもので、どうして広告のものとは別物になってしまったのだろうか?
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-おりさい
↑初版の1981年製の外箱(上・定価28000円)と、
1999年の再版時(下)の箱。

この木製ヤマトは都合3回発売され、
1回目が「永遠に」に合わせた1981年1月で価格は28,000円。
(※当時は消費税はありませんでした)
2回目が1997年の12月で、価格は40,000円+税=42000円。
3回目が1999年の初旬で、価格は55000円+税=57750円
こちら↓が初版のキット内容。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-さいしょ
「永遠に」の2色カラー印刷の紙束で部品がまとめられている。

↓こちらが再販1回目の箱。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-たいそ
↓こちらがキット内容。
「永遠に」の関連ビジュアルが除外されているが、基本的には同じキットで、イカリマークや参戦章の転写マークもついていた。
組立説明書の表紙も、初版同様にカラー。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-どっち
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-さいはん2
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-さいはん1

再販2回目↓は、説明書表紙が白黒。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-やまとです
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-どっちで

↓再販1回目の組立説明書。
権利者が松本零士に変更されている。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-おもて
↓同じ説明書の裏表紙
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-うらうら
↑版権所在の記述以外は、初版と全く同じもの。

2回目の再販は、98年にホビーショーやラジコンプラモフェアで告知され、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-たいとる
そこでも完成見本が展示されたが、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-てんじ
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-てんじ2
↑その際にも素材の違いが判別できる未塗装で、
↓製品パッケージでも、なぜかそのままだった。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-まんま

とにかく実際の製品版では、
付属の実物大設計図に合わせて、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-紙
木製部品を積み木細工のように組み合わせ、
末端や細部を金属部品で仕上げるのだが、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-きほんぐみ
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-78
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-uuu
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-uuu3
当然おおまかな仕上がりにしかなりえず、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-くみたて
当初の製品構想からは、ほど遠い完成形にしか行き着かない。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-くらべ

というわけで、購入した人に繊細な細工を強いる計画が放棄された時点で、ヤマト本来の複雑で微妙な面構成を再現する目標はなくなり、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-zumenn
↑プロトタイプでは成し遂げられていたのに、木製ヤマト製品版で、この設定図面を再現する目標はあっさり放棄されてしまった。

そうなると、大まかな立体把握でもたどり着ける、別の立体例を掲げる必要が生じて、そのために選ばれたのが、例の船舶模型会社に作らせた設計図面だった。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-201
↑「全記録集」で紹介された側面図と内部図解
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-青年誌
↑映画「さらば」かテレビ「ヤマト2」の時(1978~79)に、青年誌(タイトル不明)に掲載された内部図解。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-らぽーと
↑ラポートデラックス⑨宇宙戦艦ヤマト大事典(1983年5月1日発行)巻末ピンナップ。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-434
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-555
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-279
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-948
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-483
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-じょうえmん
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-sireitousokumenn


そのため、細部の金属部品は、この図面の形状をもとに造形されている。

あまりにも割り切った路線変更のようだが、結局これでも満足に完成させた作例がほとんど見かけられない現状からかんがみると、この方が現実的な選択ではあったのかも知れない。

と、いつのまにか「大図鑑(の中の『大図解』)」から、「イマイ(今井・IMAI)木製1/350ヤマト」に話が移ってしまったが……たった1枚の画でこんなに長くなってしまったよ!

次回でこの「大図鑑」の話は終わりです。

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