三部作構想の意味+発想の原点 | アディクトリポート

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さて、「スター」を冠する宇宙戦争ものは、結局三部作構想に落ち着きました。

理由は、
1.スター・ウォーズの構想を借りた。最終的には六部作となったが、後年の新しい三部作は初期構想にはなく、とりあえずは三作だけのつもりだったこともあり。
2.侵略戦争を脱する物語といっても、すっかり平和になった理想郷を描いても意味がない。まずは絶望的な戦争状況があって、それをどう脱するかを描かなければ。それには最低3本の映画が必要と判断した。
----といったところです。

これとは別に、本来の発想の原点は、先に進めていたオリジナルメカデザインから出発もしています。

宇宙戦艦をデザインしながら、救命艇の類は、乗組員全員分を用意しないといかんなあと考えました。

この考えは、SWやスタートレックの宇宙船など、架空の船に限らず----
↓グリーヴァスは自分の旗艦〈インヴィジブル・ハンド〉から、救命ポッドでさっさと逃げ出した。巨大な艦でも、脱出設備は(ドロイドは使い捨てのためもあり)、たったこれだけ。『SWエピソード3 シスの復讐』(2005)
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-脱出
↓『スタートレック ファースト・コンタクト』(1996)より。E型エンプラの第一船体から大挙して避難する救命ポッドの群れ。だけど避難のためには、まずは第一船体に移動しないとならない。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-エンプラE

----実在の船でも、救命ボートが足りないってことはよくあります。
↓全然足りなかったらしいですね、1912年のタイタニック遭難。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-タイタニク

長大な宇宙戦艦の各所から短時間で避難するには、移動が短時間で済むように、配備された区画からすぐさま脱出可能でなければならず、そうなると艦が各部から分離して、その分離部分が避難カプセルや救命ボートの役目を果たし、一番近い呼吸可能な大気のある惑星への着陸も必要になります。
と、そういう便利な宇宙戦艦、各部がユニット形式で、分解したそれぞれが大気圏内に突入と飛行が可能っていうのをデザインしたら、当然その機能を果たす見せ場が欲しくなります。

というわけで、物語の発想の原点は、実はこの分離脱出のシーン、つまりビジュアルイメージから始まったのです。

本末転倒と思われるかも知れませんが、たとえばジェームズ・キャメロンも、ビジュアルイメージから作品を創り上げたことがありました。
言わずと知れた、『ターミネーター』(1984)です。
あの作品は、『殺人魚フライングキラー(ピラニア2)』(1981)という超低予算映画をメキシコで撮影中の、まだ駆け出し時代のキャメロンが、「こんな映画ばかり撮っていたら、オレは確実にダメになる」と確信しつつ、安ホテルにバタンキューで、熱にうなされてかいま見たイメージが原点になっています。

それは、金属製のガイコツが、炎の中にたたずんでいるイメージでした。
そのためキャメロンは制作のかなり初期の段階で、映画本編にかなり近いイメージのイラストを描き上げてます。
↓つまりまあ、こういう感じですね。『ターミネーター』(1984)本編より
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-タミ公

それともう一つ、当初に意図してたのは、せっかくやるんなら斬新な手法で、自分が「できるところ」を見せつけたい、ってことでした。

キューブリックの『2001年宇宙の旅』(1968)みたいに、キャラのセリフは最小限にして、そこで起きている出来事を淡々と描写するってやつです。
↓人物描写そっちのけで、こういう映像が延々と続く。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-2001パレード

ところがこれが、ぐれーすさんにウケが悪い。
もっと主人公を中心にと、方向修正を何度も促されます。

で、一般のドラマが、どうしてキューブリックみたいじゃないのか、よくわかってきました。
一般の(ありきたりの、ともいう)ドラマが、のきなみ似たような構成やセリフ量になっているのは、それだけの必要があるからなわけです。

それにキューブリックは、いったんありきたりなドラマ手法をきちんとモノにしてから、その先に踏み出してるし、今見れば『2001年』もそんなに難解じゃないというか、けっこう丁寧にわかりやすく作ってありますし。
↓キューブリックの『スパルタカス』(1960)。フジテレビの洋画劇場で中学生か高校生で見て、えらく感動した。だけどキューブリック本人は、雇われ監督で創作の自由がなくて、思い出したくもなかったらしい。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-スパルタ
↓遺作となった『アイズ・ワイド・シャット』(1999)。それまでモラルやタブーの既成概念をことごとく打ち破って来たキューブリックにしては、退廃や倦怠を描いたようでいながら、最後は案外まっとうなところに落ち着いていた。精神科医の香山リカはそれが気にくわなかったらしいが、私はそういうもんだよなとけっこう納得していた。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-アイズ

前衛的な作風の(もしくはきわめて写真的でない)絵画で有名なピカソだって、一見デタラメに見える作品群の以前には確固たる基礎があって、写実表現から次の表現形態への脱皮が、後年のぶっ飛び作品群だったわけだしね。
↓どちらも15歳の時の作品です。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-自画像

オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-教会

で、私はピカソでもキューブリックでもないので、まずは当たり前に、まっとうなものを取りあえず書き上げることを目指すことにした。