前回は不育症検査の項目の内、
子宮形態検査について書きました。
不育症1次スクリーニングでは、子宮の形態についての検査をしますが、
ここで子宮の形態異常があっても、
特に問題はなく、手術なども必要ありません。
そのまま不妊治療を継続すればよいということが分かりました。
今回は不育症1次スクリーニングの内、分泌検査について書きます。
内分泌検査には、①甲状腺機能検査と②糖尿病検査があります。
①甲状腺機能検査では、FT4やTSH等の甲状腺ホルモンの測定をします。
FT3やFT4の値は、血液中の甲状腺ホルモンの量を示します。
TSHは脳から分泌される甲状腺刺激ホルモンです。
甲状腺ホルモンはたくさん出ても、少なくても流産と関係します。
FT3、FT4が基準値以上でTSHは基準値以下であれば、
バセドウ病などの甲状腺機能亢進症や甲状腺炎が考えられますし、
FT3、FT4が基準値以下でTSHが基準値以上であれば、
甲状腺機能低下症や甲状腺炎が考えられます。
甲状腺の病気の人が妊娠すると、流産しやすいことが知られています。
なので甲状腺ホルモンの値を調べるのです。
甲状腺ホルモンが流産と関係すると書きましたが、
甲状腺ホルモンの値を調節すれば流産を防止できるのかというと、
そうではありません。
甲状腺疾患には橋本病やバセドウ病などがありますが、
多くの甲状腺疾患は自己免疫疾患です。
このため甲状腺に対する自己抗体ができて、免疫のバランスが崩れています。
この自己抗体が妊娠の継続を妨げるので、
甲状腺疾患のある人は、
甲状腺疾患の治療をすることはもちろんですが、
それだけでなく、
抗リン脂質抗体等の自己抗体がないかどうかを検査する必要もあります。
抗リン脂質抗体については、また後日書く予定です。
②糖尿病検査は血糖値を測定します。
糖尿病患者のように血糖値が高い人、
とくに妊娠初期に血糖値が高いと流産の可能性が高くなります。
なので糖尿病の方は血糖値をちゃんとコントロールして妊娠する必要があります。
妊娠前にあらかじめ血糖値をコントロールいなければなりません。
糖尿病の方はこうして妊娠初期の流産を防ぐたけでなく、
妊娠中も血糖値をコントロールする必要があります。
かつて妊娠中毒症と呼ばれていた、妊娠高血圧症候群になる可能性があるからです。
妊娠高血圧症候群はとてもリスクが高いので、食事療法はもちろんですが、
妊娠中のみインシュリンの自己注射が必要になることもあります。
糖尿病の方は主治医とよく相談することが大切です。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。
ブログランキングに参加しています。