陽転思考の達人 過去と現在の賢人たちに学ぶ実践的アクティブ・ブレインの生き方 -31ページ目

陽転思考の達人 過去と現在の賢人たちに学ぶ実践的アクティブ・ブレインの生き方

記憶術×陽転思考の<a href="http://www.oda-abs.com">アクティブ・ブレイン・セミナー</a>を受講した方限定のメルマガ「ウィークリーコンパス」の中から「陽転思考の達人」のみを抜粋し公開しています。

●まずは強く“願うこと”が大切。願わなければ何も始まらない。

先回取り上げた松下幸之助と共に、日本を代表する経営者として並び称される稲盛和夫。その実力は、たった2年半あまりで日本航空を再上場へと導いたことでも遺憾なく証明されました。

今から50年ほど前、当時まだ小さな会社の経営者に過ぎなかった稲盛は、松下の講演を聴いて、強い衝撃を受けています。
松下はその時、有名なダム式経営の話をしました。
ダムがあれば天候に左右されずに水を安定供給できるし災害も防げる。経営も景気の善し悪しに振り回されないように余裕を持った「ダム式経営」が必要だということです。

講演後の質疑応答の時、聴衆の1人が少し不満げに質問しました。
「ダム式経営が良いのは分かりますが、それができないからみんな困ってるんです。どうしたらそれができるのかを教えてくれませんか」と。

松下も、まだ「経営の神様」と神格化される前のこと。率直な質問にしばらく考えて、「そんな方法、私も知りませんのや。知りませんけども、ダムを作ろうと思わんとあきまへんなあ」とつぶやいたそうです。

会場は、失笑や失望の雰囲気に包まれました。
しかし稲盛は、その言葉に「体に電流が走るような強い衝撃を受けた」と述懐しています。
そこには、とても重要な人生の極意が隠されているということを稲盛は感じていました。
いや、隠されているというより、むしろあまりにもむき出しに語られているために、誰もそれが「宝物」だとは気付かなかったともいえるかもしれません。

しかし、稲盛の目には、はっきりとその「宝物」が見えていたのです。
それは、「まずは“願うこと”が大切。願わなければ何も始まらない。心に強く思い描くことは、必ず実現する」という陽転思考的な考え方です。

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□書籍のご紹介
 『生き方』- 人間として一番大切なこと
  稲盛和夫著/サンマーク出版
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●夢に向かう強い気持ちと結果を自然体で受け入れる柔軟さ

『不確実性の時代』の著者で世界的な経済学者のJ・ガルブレイス教授が、松下政経塾の塾生を前に講義をしたことがありました。
その話に熱心に耳を傾けていた松下幸之助は、講義終了後、次のように語りました。

「とても参考になった。でもな、僕はもう一つ違うことを感じたな。たしかに未来は不確実なものかもしれないが、未来は人間がこうありたいと念願することでより確かなものになると思う」と。

その松下の信念は、「毎日、素直になりたいと強く願っていれば、素直の達人になれる」という考え方にも貫かれています。
あきらめずに強く願うこと、人間のイメージ力には、不確実な未来をより確実なものにする力があるというのは、松下に限らず偉業を成し遂げた多くの人に共通する信念です。

しかしそれは、ただ肩肘を張って無理をしてでも強引に意地を通し続けるということではありません。
場合によっては、肩の力を抜いて現実をありのままに受け入れ、そこから再出発するということの大切さも、松下は教えています。

塾生の一人が、信長、秀吉、家康の「鳴かぬなら」に続く有名なホトトギスの句について、松下塾長ならどう続けるかと質問した時、松下は実に彼らしい名句を詠んでいます。
「鳴かぬなら それもまた良し ホトトギス やな」

夢や志、目標に向かって、その実現を強く願いつつ、万事を尽くし、それでも「ホトトギスが鳴かなかった」のなら、それはそれで良かったんだと自然体で受け入れてしまう。
そこで努力したこと、がんばったことは、決してムダにならずに別のところで芽を出し、花を咲かせるという確信が、松下にはありました。(完)

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□書籍のご紹介
 『1分間松下幸之助
  逆境を力に変える不屈の人生哲学77
  小田全宏著
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●雨が降ったら傘をさすように当たり前のことをする

いま多くの経営者が松下幸之助の考え方を研究し、組織経営の指針として導入しています。

しかし、その天才経営者の理念の核にあるのは、高度な学問を前提とするような経営学ではなく、むしろあっけにとられるほどシンプルで、当たり前で、具体的で、小学生でも分かるような内容です。

実際、松下は「商売や経営はとても簡単や」と言って、その極意を次のように説明しています。
「第一は、原価より高く品物を売ること。第二は物を売ったら、お金を回収すること」
「雨が降ったら傘をさすように、当たり前のことをすること」

あまりに当たり前すぎて、何も教えられた気がしないかもしれません。
「そんなことは分かってる。どうしたらそれができるの?」と、思わず聞き返したくなるような「極意」です。

松下はさらに、当たり前のことを当たり前に受け止め、当たり前に行うためには、「素直になること」が大切だと教えています。
これにしても、「どうしたら素直になれるの?」と聞きたくなります。
それに対して松下は、「素直になりたいと強く願うこと」と答えています。

「毎日、素直になりたい素直になりたいと念じていると、初めは素直の9級ぐらいだったのが、8級、7級と上達して、やがて素直の初段になる。
初段になると物事が自在になり壁がなくなる。さらに2段、3段と昇段し、5段になるともう神様やな」と。

まさに経営の神様・松下は「陽転思考の達人」であるとともに、「素直の達人」でもありました。

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●マイナスの塊の中から一かけらのプラスの宝物を探し当てる

「実はなあ、松下電器が明日なくなってしまうんやないかと思って、なかなか寝つかれんかった」ーー真っ赤に充血している目を見て心配する人に、松下幸之助は、そう答えたそうです。
じつは松下は、長年不眠症に悩まされていました。

病気や学歴が低いことさえプラス方向に受け止めて成功につなげるーーまさにプラス思考の達人のように思われている松下にも、少なからずそうした面があったのです。
「もしあんさんが毎日心配せずに生きたかったら、経営をやめたほうがよろしい。経営者のいちばんの仕事は、心配することや」という言葉が残されています。

ここで気づかされるのは、心配事をなくすためにも、しっかりと問題に向き合い、とことん思い悩むことの大切さです。
別の見方をすれば、ただくよくよと悩むのではなく、「真剣に思い悩んでいる自分自身を肯定している」ということでもあります。

プラス思考というと、マイナスなことを一切考えない、マイナスを無視する、マイナスは悪いこととして排除するーーそんな間違った印象を抱いている人がいます。
そのため、「プラス思考を目指しながら、プラスになれない自分をマイナス視する」という「プラス思考のパラドックス」に陥ってしまい、よけいに身動きがとれなくなってしまっている人も少なくありません。

しかし松下の発想法は、
「マイナスから逃げずにそれを直視し、そこに別の光を当てることでなにがしかのプラスを引き出す」
「マイナスの塊の中から、ほんの一かけらでもプラスの宝物を探し当てる」というようなものでした。
その彼の考え方は、まさに「陽転思考」そのものです。

プラス思考は、どちらかというと陰やマイナスを避けがちな西洋的な価値観を土台としています。
それに対して陽転思考は、陽陰の相補的な関係をありのままに捉える、東洋的な人間観・世界観に根差しています。

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●マイナスの中からプラスを引き出す発想法

「運の良い人を選ぶ」という言葉に示されるように、松下幸之助は、どちらかというとプラス思考で明るい感じの人を評価したように思われるかもしれません。
しかし、組織が大きくなり、業務内容が複雑になると、多様な人材が必要とされてきます。

商品の安全性等をチェックするような業務は、ひたすら前向きな人よりも、多少後ろ向きで心配性で欠点や間違いを探すのが得意な人にむいているかもしれません。

変わり者で周囲とのコミュニケーションに問題があると思われるような人が、大ヒットにつながる独創的なアイディアを生み出すということも、よくあるケースです。

あるとき、松下電器に、周囲の人が困り果てるぐらい、とても暗い性格の社員が入社してきました。
その上司から「彼は性格が暗くて、わが社には合いません」と相談された時、松下は「暗い性格か、それはええなあ」と答えたそうです。
「どうしてですか?」
「そりゃ君、松下関係にもよく葬式があるやろう。その時の要員としてはピッタリやないか」と。

ここで松下は、「暗い性格だけど、こういう面もある」という「フォロー」ではなく、「暗い性格そのものの使い道」を考えています。
「暗い性格」という一見マイナスに思える要素も、使い方次第ではそれが組織の役に立つこともあるという、まさに松下流の発想の大転換です。

毎年大きな被害をもたらす台風について、「この台風の大きな力を使って何か金儲けできないか」ーーと松下は考えていました。

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