先回取り上げた松下幸之助と共に、日本を代表する経営者として並び称される稲盛和夫。その実力は、たった2年半あまりで日本航空を再上場へと導いたことでも遺憾なく証明されました。
今から50年ほど前、当時まだ小さな会社の経営者に過ぎなかった稲盛は、松下の講演を聴いて、強い衝撃を受けています。
松下はその時、有名なダム式経営の話をしました。
ダムがあれば天候に左右されずに水を安定供給できるし災害も防げる。経営も景気の善し悪しに振り回されないように余裕を持った「ダム式経営」が必要だということです。
講演後の質疑応答の時、聴衆の1人が少し不満げに質問しました。
「ダム式経営が良いのは分かりますが、それができないからみんな困ってるんです。どうしたらそれができるのかを教えてくれませんか」と。
松下も、まだ「経営の神様」と神格化される前のこと。率直な質問にしばらく考えて、「そんな方法、私も知りませんのや。知りませんけども、ダムを作ろうと思わんとあきまへんなあ」とつぶやいたそうです。
会場は、失笑や失望の雰囲気に包まれました。
しかし稲盛は、その言葉に「体に電流が走るような強い衝撃を受けた」と述懐しています。
そこには、とても重要な人生の極意が隠されているということを稲盛は感じていました。
いや、隠されているというより、むしろあまりにもむき出しに語られているために、誰もそれが「宝物」だとは気付かなかったともいえるかもしれません。
しかし、稲盛の目には、はっきりとその「宝物」が見えていたのです。
それは、「まずは“願うこと”が大切。願わなければ何も始まらない。心に強く思い描くことは、必ず実現する」という陽転思考的な考え方です。
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□書籍のご紹介
『生き方』- 人間として一番大切なこと
稲盛和夫著/サンマーク出版
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