「どうして自分の人生はうまくいかないのか、なんて運の悪い男だと、天に見放されたように思い、不平不満を募らせ、世をすねたり恨んだりした」
ーーあらゆる困難を克服して不可能を可能にしてきた稲盛和夫の言葉とは、とても思えない内容です。
しかし、若い頃の稲盛の人生を振り返ると、そうした気持ちになるのも致し方ないと思えるような挫折の連続でした。
まずは、中学受験の失敗。自分よりも低い成績の子たちがみんな合格しているのに、稲盛だけが不合格。小学校の担任に睨まれて内申書に悪く書かれていたことが原因でした。
さらに稲盛は当時「死の病」として恐れられた結核にかかります。
その病の床で1冊の宗教書を読みふけり、「人生で出合う事柄はみんな自分の心が引き寄せたものである。
すべては心の様相がそのまま投影するのだ」という考え方に触れます。
しかしそれはまだ10代前半頃のこと。その考えを実際の行動に移そうと思っても、厳しい現実に跳ね返されてばかり。
世を恨み不運を嘆くような日々が続くなか、自らの心のありようを変えることは、なかなかできませんでした。
幸い結核は治癒して、大学受験に挑戦しますが、第一志望の大阪大学には届かず、やむなく稲盛は地元の大学に進学します。
卒業・就職の時期は、朝鮮戦争の特需景気が一段落した後の不景気の最中で、田舎の新設大学の卒業生は入社試験さえ受けさせてもらえないような就職難にぶつかります。
それでもなんとか就職した会社は、「赤字続きで、明日つぶれてもおかしくないオンボロ会社」だったと、稲盛は述べています。
給料の遅配は当たり前で、同期の社員は次々の辞めていき、最後に1人稲盛だけが残されてしまう・・・。まさに、不運と挫折の連続のような人生です。
しかし、そこでの地道な研究が、やがて京セラ設立の土台となり、第二電電(現KDDI)へとつながっていくことになります。
その大逆転のポイントは、急に景気が良くなったというような外部情況の変化ではなく、ただ一つ、稲盛自身の心の持ち方が180度変わった、ということでした。
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□書籍のご紹介
『新版 敬天愛人』- ゼロからの挑戦
稲盛和夫著/PHPビジネス新書
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