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本年もよろしくお願いいたします。
体内の鉄分が少なくなり、補給をしに糸魚川快速のグリーン車に乗りました。
グリーン車でご満悦の私
糸魚川駅での記念撮影(笑
1.糸魚川と梶屋敷間の交直デッドセクションを通過する最後の定期電車
(日本海ひすいラインの車両はディーゼルカーです)
2.国鉄型485系の最後の定期運用
3.485系の最後のグリーン車運用
糸魚川駅に車を置き、糸魚川→名立→糸魚川と往復してきました。
【参考】糸魚川デッドセクション
http://deadsection.image.coocan.jp/dead_sec/itoigawa/itoigawa.htm
糸魚川快速
http://1st.geocities.jp/rail4747/data/485-3000.htm
糸魚川快速廃止の新聞記事
月曜日にアメリカ大使館主催の勉強会があり、聞いて参りました。
そのライブがアップされたのでリンクを貼ります。
*****
2016年7月11日、アメリカンセンターJapanで開催された講演会で、全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC) 家事弁護部 執行役員、理学修士(社会福祉専攻)のマーシャ・ギルマー=トリス氏と同 家事弁護上級専門員のリネイ・ホームズ氏が、行方不明児童の保護、被害者家族の支援、そして被害児童の気持ちに寄り添った家族の再会・再統合の大切さについて講演されました。司会は、米国大使館領事担当公使兼総領事のスティーブン・マロニーです。
そのライブがアップされたのでリンクを貼ります。
*****
2016年7月11日、アメリカンセンターJapanで開催された講演会で、全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC) 家事弁護部 執行役員、理学修士(社会福祉専攻)のマーシャ・ギルマー=トリス氏と同 家事弁護上級専門員のリネイ・ホームズ氏が、行方不明児童の保護、被害者家族の支援、そして被害児童の気持ちに寄り添った家族の再会・再統合の大切さについて講演されました。司会は、米国大使館領事担当公使兼総領事のスティーブン・マロニーです。
あるメッセージに対する返信ですが、なんかうまく纏まった感じなので・・・(笑
私は父子家庭の父として二人の子どもを育てていました。
しかし、母は子どもに一度も会いに来ることなく、これまで過ごしています。
なので、私の面会交流に関わるきっかけは、
『母に会いたい子と、それを拒否する母親の立場』
から、どのようにすれば
『子は母親のことを良くも悪くも偶像化しないでいられるか』
つまりは
『子は等身大の親を知ることが、子の健全育成に必要なことである。』
です。
なので
『面会交流は、子の健全育成の視点から判断することが重要であり、親の都合で決定してはならない。』
という信念を持っています。
また、アメリカの面会交流の在り方を日本に持ち込むのは反対の立場です。
この理由は、こちらを読まれていただければと思います。
http://ameblo.jp/ackey-s/entry-10910784755.html
私は父子家庭の父として二人の子どもを育てていました。
しかし、母は子どもに一度も会いに来ることなく、これまで過ごしています。
なので、私の面会交流に関わるきっかけは、
『母に会いたい子と、それを拒否する母親の立場』
から、どのようにすれば
『子は母親のことを良くも悪くも偶像化しないでいられるか』
つまりは
『子は等身大の親を知ることが、子の健全育成に必要なことである。』
です。
なので
『面会交流は、子の健全育成の視点から判断することが重要であり、親の都合で決定してはならない。』
という信念を持っています。
また、アメリカの面会交流の在り方を日本に持ち込むのは反対の立場です。
この理由は、こちらを読まれていただければと思います。
http://ameblo.jp/ackey-s/entry-10910784755.html
離婚で子どもはどうなる?母子家庭の年収は平均223万円
夫婦3組に1組が離婚すると言われる昨今。離婚後も子どもが両親と会う「面会交流」が、いま議論にな..........≪続きを読む≫
たまたま目に留まった記事があったのですが、どうも色々な話がまぜこぜになっているような気がしています。ここで改めて整理をすることが必要になってきているのではないでしょうか。
1.日本の面会交流と養育費の根拠は何か?
『民法 第二章婚姻 第四節離婚 766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)』です。
この766条で確認が必要なのは、下記の部分です。
1項 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
4項 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
2.話題の共同親権とは何か。
『民法 第四章親族 第819条(離婚又は認知の場合の親権者)』です。
この819条では、1項父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
次に日本では「親権の効力」について、820~824条にこのような記述があります。
>>(監護及び教育の権利義務)第八百二十条
>>(居所の指定)第八百二十一条
>>(懲戒)第八百二十二条
>>(職業の許可)第八百二十三条
>>(財産の管理及び代表)第八百二十四条
上述の民法を単純に読みますと、『離婚後の子の健全育成のための面会交流』と『親権行使の共同化』は別の議論にする必要があると考えます。
外国と日本の法律の組み立ての違いを書いてみました。
私が知る限り、他の国で単独親権から共同親権に移行した国では、子に関する争いは『親権→監護権』に変わっただけで、内容に変化はないと聞いています。また、子の争いに刑事罰化をしている国では、面会交流をしない親は誘拐罪で捕まると、子の健全育成と逆方向に向かっていると思われることもあります。
雑多な書き込みになってしまいましたが・・・
夫婦3組に1組が離婚すると言われる昨今。離婚後も子どもが両親と会う「面会交流」が、いま議論にな..........≪続きを読む≫
たまたま目に留まった記事があったのですが、どうも色々な話がまぜこぜになっているような気がしています。ここで改めて整理をすることが必要になってきているのではないでしょうか。
1.日本の面会交流と養育費の根拠は何か?
『民法 第二章婚姻 第四節離婚 766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)』です。
この766条で確認が必要なのは、下記の部分です。
1項 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
4項 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
2.話題の共同親権とは何か。
『民法 第四章親族 第819条(離婚又は認知の場合の親権者)』です。
この819条では、1項父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
次に日本では「親権の効力」について、820~824条にこのような記述があります。
>>(監護及び教育の権利義務)第八百二十条
>>(居所の指定)第八百二十一条
>>(懲戒)第八百二十二条
>>(職業の許可)第八百二十三条
>>(財産の管理及び代表)第八百二十四条
上述の民法を単純に読みますと、『離婚後の子の健全育成のための面会交流』と『親権行使の共同化』は別の議論にする必要があると考えます。
外国と日本の法律の組み立ての違いを書いてみました。
私が知る限り、他の国で単独親権から共同親権に移行した国では、子に関する争いは『親権→監護権』に変わっただけで、内容に変化はないと聞いています。また、子の争いに刑事罰化をしている国では、面会交流をしない親は誘拐罪で捕まると、子の健全育成と逆方向に向かっていると思われることもあります。
雑多な書き込みになってしまいましたが・・・
アメリカ議会で子の奪取ハーグ条約で何か動きがあるらしいです・・・
それと併せてこんなビデオ配信もまわってきたので・・・
まずはアメリカのお父さんは養育費を払っていないとのことで、半分興ざめしてしまいました。
この報道を見ていて怒りが湧くのは、「アメリカの指名手配はアメリカ国内で有効であって、『自力救済禁止の原則』からストーカー行為となんら変わらないことをメディアがしている」ことです。
アメリカと日本の面会交流は、これだけの差異があります。
簡単に書くと、アメリカは『別居親の不可侵の権利』で、日本は『子の健全な育成を助けるため』なので、そりゃ簡単に折り合いはつかないです。
アメリカ:「生みの親には、子供の保護監督、養育、および管理に関する基本的自由権」がある、と宣言している。最高裁は、これは「いかなる財産権より貴重な権利」である
【参考】http://japan2.usembassy.gov/・・・/wwwf-american-view201001.pdf の4ページ
日本:子との面会交流は,子にとって親と面会交流を行うことが,その子の健全な成長を助け,子の福祉にかなうものとなるよう,子の年齢,性別,性格,就学の有無,生活のリズム,生活環境等を踏まえ,子に負担がかからないように十分配慮し,また子の意向も尊重した取決めができるように話合いを進めます。
【参考】http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_07_08/ の7-Q2
アメリカ基準で日本に乗り込まれたって、日本では「そうはいかんざき・・・」とならざるを得ません。
その上で、ミックス(ハーフ?)の子は、両方の国にまたがる子として、アメリカと日本の折り合いをつけることが必要なのですが、本当に難しいところです。
また前置きが長くなってしまいました。
さて本題、裁判所のウェブサイトを見ていないおいらがいけないのですが、裁判所が面会交流の調停に向けたビデオを公開しています。
http://www.courts.go.jp/video/kodomo_video/
ビデオ「離婚をめぐる争いから子どもを守るために」
それと併せてこんなビデオ配信もまわってきたので・・・
まずはアメリカのお父さんは養育費を払っていないとのことで、半分興ざめしてしまいました。
この報道を見ていて怒りが湧くのは、「アメリカの指名手配はアメリカ国内で有効であって、『自力救済禁止の原則』からストーカー行為となんら変わらないことをメディアがしている」ことです。
アメリカと日本の面会交流は、これだけの差異があります。
簡単に書くと、アメリカは『別居親の不可侵の権利』で、日本は『子の健全な育成を助けるため』なので、そりゃ簡単に折り合いはつかないです。
アメリカ:「生みの親には、子供の保護監督、養育、および管理に関する基本的自由権」がある、と宣言している。最高裁は、これは「いかなる財産権より貴重な権利」である
【参考】http://japan2.usembassy.gov/・・・/wwwf-american-view201001.pdf の4ページ
日本:子との面会交流は,子にとって親と面会交流を行うことが,その子の健全な成長を助け,子の福祉にかなうものとなるよう,子の年齢,性別,性格,就学の有無,生活のリズム,生活環境等を踏まえ,子に負担がかからないように十分配慮し,また子の意向も尊重した取決めができるように話合いを進めます。
【参考】http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_07_08/ の7-Q2
アメリカ基準で日本に乗り込まれたって、日本では「そうはいかんざき・・・」とならざるを得ません。
その上で、ミックス(ハーフ?)の子は、両方の国にまたがる子として、アメリカと日本の折り合いをつけることが必要なのですが、本当に難しいところです。
また前置きが長くなってしまいました。
さて本題、裁判所のウェブサイトを見ていないおいらがいけないのですが、裁判所が面会交流の調停に向けたビデオを公開しています。
http://www.courts.go.jp/video/kodomo_video/
ビデオ「離婚をめぐる争いから子どもを守るために」
久しぶりにこちらに・・・
5年前のアメリカ大使館のレビューですが・・・
今までの焼き直しなのですが、日本とアメリカは面会交流の考え方が全く違います。
日本:子どもの権利で、子どもの生活リズムを見ながら親がそれに併せる。
アメリカ:別居親の権利で、別居親のリズムに子どもが併せる。
日本の憲法にあって、アメリカの憲法にないもの
22条1 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する
なので、外国人父が日本に来て面会交流を求めると、この権利意識の違いが納得してもらえず、感情の行き違いで拗れることが多々あります。
ここの違いをどうやって理解してもらえるか?
***参考までに。
http://amview.japan.usembassy.gov/children-and-divorce/
離婚後の子供の親権に関する米国の法律
(2010年1月22日)
ジェフ・アトキンソン
米国の法律の下では、親権を持たない親には、子供との接触によって子供に害が及ぶことが明らかな場合を除き、面接交渉権(あるいは養育時間)が与えられる。米国最高裁判所は、米国憲法の下で「生みの親には、子供の保護監督、養育、および管理に関する基本的自由権」がある、と宣言している。最高裁は、これは「いかなる財産権より貴重な権利」である、と述べている。さらに、米国の社会科学者や精神衛生の専門家による数々の研究によると、子供は、積極的に関与する2人の親に育てられた場合に最も良い状態となることが明らかになっている(ただし親同士が常に争っている場合は別である)。
親に子供と接触させないようにするには、例えば子供に対する虐待や親の重大な精神疾患など特殊な状況のあることが証明されなければならない。親が子供を虐待した場合や、親に重大な精神疾患のある場合でさえも、裁判所は、親と子が裁判所の監督下で接触することを許可する可能性がある。
5年前のアメリカ大使館のレビューですが・・・
今までの焼き直しなのですが、日本とアメリカは面会交流の考え方が全く違います。
日本:子どもの権利で、子どもの生活リズムを見ながら親がそれに併せる。
アメリカ:別居親の権利で、別居親のリズムに子どもが併せる。
日本の憲法にあって、アメリカの憲法にないもの
22条1 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する
なので、外国人父が日本に来て面会交流を求めると、この権利意識の違いが納得してもらえず、感情の行き違いで拗れることが多々あります。
ここの違いをどうやって理解してもらえるか?
***参考までに。
http://amview.japan.usembassy.gov/children-and-divorce/
離婚後の子供の親権に関する米国の法律
(2010年1月22日)
ジェフ・アトキンソン
米国の法律の下では、親権を持たない親には、子供との接触によって子供に害が及ぶことが明らかな場合を除き、面接交渉権(あるいは養育時間)が与えられる。米国最高裁判所は、米国憲法の下で「生みの親には、子供の保護監督、養育、および管理に関する基本的自由権」がある、と宣言している。最高裁は、これは「いかなる財産権より貴重な権利」である、と述べている。さらに、米国の社会科学者や精神衛生の専門家による数々の研究によると、子供は、積極的に関与する2人の親に育てられた場合に最も良い状態となることが明らかになっている(ただし親同士が常に争っている場合は別である)。
親に子供と接触させないようにするには、例えば子供に対する虐待や親の重大な精神疾患など特殊な状況のあることが証明されなければならない。親が子供を虐待した場合や、親に重大な精神疾患のある場合でさえも、裁判所は、親と子が裁判所の監督下で接触することを許可する可能性がある。
http://www.hurights.or.jp/japan/new-project/2011/06/85.html
8.5 日米シンポジウム「子どもの最善の利益と親の権利から、国境を越えた子の連れ去りを考える」~「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」への加盟をめぐる課題
日本政府は2011年5月、「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」を締結すると閣議了解しました。「ハーグ条約」は、国際結婚の破たんを機に、一方の親が国境を越えて16歳未満の子どもを連れ去った場合、その子どもをもとにいた国に速やかに返還させることを、国どうしが約束し実現するための取り決めです。1980年に採択され1983年に発効したこの条約は、2011年5月現在の締約国は85カ国。未加盟の日本に対して、近年とりわけ欧米諸国から早期加盟の要請が強くなってきていました。
「ハーグ条約」の締結をめぐり、夫による子への虐待や妻へのドメスティック・バイオレンス(DV)から避難するために、子を連れ帰るという日本女性が相当数存在するとみられていることから、条約加盟に対して多くの懸念もあります。そうしたなか、日本政府は、条約締結に伴う国内法案の作成にあたり、配偶者や子どもの安全に配慮し、さらなる暴力を受ける恐れがある場合には返還を拒否できる、といった例外規定を盛り込むことを閣議で確認しています。
シンポジウムでは、「ハーグ条約」の実務に詳しく、女性と子どもの人権の観点から問題意識を持つ弁護士のナンシー・ザルスキー・バーグさんを招いて、同条約の実施と暴力からの保護に関する米国における状況について報告をしていただきます。それを受けて、日本が条約を締結する場合に検討しておくべき課題に関して、弁護士の大谷美紀子さんと、東京国際大学教授の小田切紀子さんに報告いただき、参加者とともに考えていきます。
日時:2011年8月5日(金) 午後2時~4時30分
場所:大阪国際交流センター・小ホール
(大阪市天王寺区上本町8-2-6)地下鉄谷町9丁目、近鉄大阪上本町駅下車
http://www.ih-osaka.or.jp/access/
パネリスト:(同時通訳)
・Nancy Zalusky Berg(ナンシー・ザルスキー・バーグ)
(弁護士、国際家族法弁護士アカデミー米国支部会長)
・大谷 美紀子(弁護士、日本弁護士連合会・ハーグ条約ワーキンググループ副座長)
・小田切 紀子(東京国際大学教授、臨床心理士、心理学博士)
コーディネイター:谷 英樹(弁護士)
参加費: 無料(同通レシーバー準備のため、事前にお申込みください。定員150名)
主催: (財)アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)
大阪弁護士会
申込先:ヒューライツ大阪 電話06-6577-3578、Fax 06-6577-3583
メール webmail@hurights.or.jp
※お申込時にいただいた個人情報は、本シンポジウムのご案内目的のみに使用します。
8.5 日米シンポジウム「子どもの最善の利益と親の権利から、国境を越えた子の連れ去りを考える」~「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」への加盟をめぐる課題
日本政府は2011年5月、「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」を締結すると閣議了解しました。「ハーグ条約」は、国際結婚の破たんを機に、一方の親が国境を越えて16歳未満の子どもを連れ去った場合、その子どもをもとにいた国に速やかに返還させることを、国どうしが約束し実現するための取り決めです。1980年に採択され1983年に発効したこの条約は、2011年5月現在の締約国は85カ国。未加盟の日本に対して、近年とりわけ欧米諸国から早期加盟の要請が強くなってきていました。
「ハーグ条約」の締結をめぐり、夫による子への虐待や妻へのドメスティック・バイオレンス(DV)から避難するために、子を連れ帰るという日本女性が相当数存在するとみられていることから、条約加盟に対して多くの懸念もあります。そうしたなか、日本政府は、条約締結に伴う国内法案の作成にあたり、配偶者や子どもの安全に配慮し、さらなる暴力を受ける恐れがある場合には返還を拒否できる、といった例外規定を盛り込むことを閣議で確認しています。
シンポジウムでは、「ハーグ条約」の実務に詳しく、女性と子どもの人権の観点から問題意識を持つ弁護士のナンシー・ザルスキー・バーグさんを招いて、同条約の実施と暴力からの保護に関する米国における状況について報告をしていただきます。それを受けて、日本が条約を締結する場合に検討しておくべき課題に関して、弁護士の大谷美紀子さんと、東京国際大学教授の小田切紀子さんに報告いただき、参加者とともに考えていきます。
日時:2011年8月5日(金) 午後2時~4時30分
場所:大阪国際交流センター・小ホール
(大阪市天王寺区上本町8-2-6)地下鉄谷町9丁目、近鉄大阪上本町駅下車
http://www.ih-osaka.or.jp/access/
パネリスト:(同時通訳)
・Nancy Zalusky Berg(ナンシー・ザルスキー・バーグ)
(弁護士、国際家族法弁護士アカデミー米国支部会長)
・大谷 美紀子(弁護士、日本弁護士連合会・ハーグ条約ワーキンググループ副座長)
・小田切 紀子(東京国際大学教授、臨床心理士、心理学博士)
コーディネイター:谷 英樹(弁護士)
参加費: 無料(同通レシーバー準備のため、事前にお申込みください。定員150名)
主催: (財)アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)
大阪弁護士会
申込先:ヒューライツ大阪 電話06-6577-3578、Fax 06-6577-3583
メール webmail@hurights.or.jp
※お申込時にいただいた個人情報は、本シンポジウムのご案内目的のみに使用します。
今朝の読売新聞の社説です。
これを読んでいて、いかに日本発の記事のみを集約して、現地法体制の現状を把握しないで書いているか、本当に腹が立っています。
が、自分自身で行動する時間がない。
ので、ここにいくつか記してみたいと思います。
>>政府は法整備の際、日本人の権利が一方的に損なわれないよう配慮すべきだ。
まさにその通りだと思います。
外国の運用はどうなっているのか?
自国から連れ去られたケースと、自国に連れ帰ってきたケースでダブルスタンダード運用をしていないのか、一度調べていただきたい。その上で、自国民を保護するという政府の本当の役割を果たしてほしい。
>>欧米の司法当局は、離婚した日本人に子連れでの帰国を禁じたり、無断で子どもと帰国した母親を「誘拐犯」と見なしたりすることがある。
アメリカが一番顕著ですが、『面会交流は親の権利』として確立しており、離婚後も隔週で別居親の面会交流を実施させるために、別居親と違う州に転居するのであれば、別居親の同意が必要という足かせが履かされるのです。
誘拐犯というのは、面会交流の権利を侵害すると『実子誘拐罪』として刑法処罰をするためにあります。面会交流ができないことをもって相手を処罰するということであれば、これは『子どもの最善の利益』に該当しないと私は考えます。ただし、実親の等身大な姿を見せ、子どもに現実の姿を見せるのが『子どもの最善の利益』と考える人も少なくないようです。
>>日本から子どもが外国に連れ去られても、日本人の親は相手国の協力を期待できない。
>>
>>条約に加盟すれば、政府間で国際ルールに基づき、こうした問題の解決を図ることになる。
これは一方的な見方です。これよりも数が多く、トラブルが多発している日本人父&外国人母(主にアジア諸国)のケースがまったく考慮されていません。アジアで子奪取ハーグ条約を批准している国が少ないという現実を見てください。
>>返還の是非は、子どもが現にいる国の裁判で決まる。政府は、DVの恐れがあれば、返還を拒否できる仕組みを関連法案に盛り込む考えだ。妥当だろう。
条約は30年前に作られたものです。当時想定をしていなかったモラハラや精神的DVに対して、どのように対応していくのか、また、様々な報告があがっているように、外国では『自国民の子どもは自国の政府が責任を負うのが大原則のため、離婚時に外国人母に引き渡して外国に連れて行かれるのであれば、自国の児童養護施設や里親に任せたほうが、子どもの最善の利益にかなう』という考え方があり、結果として外国籍だとして不利になる現実に対して、どうやって自国民保護を行うのか、提示してほしいと考えます。
>>親権を巡る裁判は、元の居住国で行われるため、不安を抱く日本人の母親は多い。在外公館が、現地の弁護士を紹介するといった支援を行うことも必要だ。
まりんこさんのブログを紹介します。
http://ameblo.jp/kokusai-rikon/entry-10915033275.html#main
日本の在外公館が、『民事不介入の原則により、お手伝いすることはできない』の態度を改めるかどうかに掛かっています。もっと言えば、日本の在外公館の原則は『現地国とトラブルを起こさず、見えるところで友好が図られていれば、それが日本国にとって最善の利益である』という勘違いしている考えであり、これが『在外公館は日本国民の公僕であり、仕事の基本は現地での日本人の権利侵害がないかチェックをし、あればそれを現地国と折衝して正していく』ということを忘れてしまっているところで、実際に支援をしていただけるのか?
上記事例に対して外務省は明確な意思表示をするべきだと考えます。
*****
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110614-OYT1T00034.htm
国際結婚の破綻で、両親が国を隔てて子どもの親権を争うケースにどう対応するか――。
政府が、その解決のための国際ルールであるハーグ条約加盟に向け、関連する国内法の整備に入った。
来年にも加盟が実現すれば、一歩前進と言えよう。政府は法整備の際、日本人の権利が一方的に損なわれないよう配慮すべきだ。
「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」は、16歳未満の子どもを、一方の親が無断で外国に連れ去ることを禁じている。居住国から出国した子どもの返還を親が求めた場合、条約加盟国は原則、協力する義務を負う。
親権争いは、元居住国の裁判で決着させるのが、子どもに望ましいとの考え方によるものだ。加盟国は80を超す。日本は欧米各国から加盟を求められていた。
米国では、離婚した日本人が、子どもを連れて帰国し、トラブルとなった事例が約100件に上る。日本が未加盟のため、外国人の親は、子どもの返還どころか、面会もしづらい。
このため、欧米の司法当局は、離婚した日本人に子連れでの帰国を禁じたり、無断で子どもと帰国した母親を「誘拐犯」と見なしたりすることがある。
逆に、日本から子どもが外国に連れ去られても、日本人の親は相手国の協力を期待できない。
条約に加盟すれば、政府間で国際ルールに基づき、こうした問題の解決を図ることになる。
条約は、返還拒否の条件として「子どもに身体的、精神的な害がある」ことなどを挙げている。だが、配偶者間の家庭内暴力(DV)については言及していない。
日本が加盟を長年見送ってきたのは、外国人の元夫によるDVが原因で、日本人の母親が帰国するケースが多かったからだ。母親には、子ども連れで同じ環境に戻ることへの懸念が強い。
返還の是非は、子どもが現にいる国の裁判で決まる。政府は、DVの恐れがあれば、返還を拒否できる仕組みを関連法案に盛り込む考えだ。妥当だろう。
加盟後は、外務省が、日本に連れ戻された子どもの居場所の特定や、裁判手続きの手助けといった役割を担う。外務省には不慣れな国内業務が多い。政府内の連携が欠かせない。
親権を巡る裁判は、元の居住国で行われるため、不安を抱く日本人の母親は多い。在外公館が、現地の弁護士を紹介するといった支援を行うことも必要だ。
(2011年6月14日01時20分 読売新聞)
これを読んでいて、いかに日本発の記事のみを集約して、現地法体制の現状を把握しないで書いているか、本当に腹が立っています。
が、自分自身で行動する時間がない。
ので、ここにいくつか記してみたいと思います。
>>政府は法整備の際、日本人の権利が一方的に損なわれないよう配慮すべきだ。
まさにその通りだと思います。
外国の運用はどうなっているのか?
自国から連れ去られたケースと、自国に連れ帰ってきたケースでダブルスタンダード運用をしていないのか、一度調べていただきたい。その上で、自国民を保護するという政府の本当の役割を果たしてほしい。
>>欧米の司法当局は、離婚した日本人に子連れでの帰国を禁じたり、無断で子どもと帰国した母親を「誘拐犯」と見なしたりすることがある。
アメリカが一番顕著ですが、『面会交流は親の権利』として確立しており、離婚後も隔週で別居親の面会交流を実施させるために、別居親と違う州に転居するのであれば、別居親の同意が必要という足かせが履かされるのです。
誘拐犯というのは、面会交流の権利を侵害すると『実子誘拐罪』として刑法処罰をするためにあります。面会交流ができないことをもって相手を処罰するということであれば、これは『子どもの最善の利益』に該当しないと私は考えます。ただし、実親の等身大な姿を見せ、子どもに現実の姿を見せるのが『子どもの最善の利益』と考える人も少なくないようです。
>>日本から子どもが外国に連れ去られても、日本人の親は相手国の協力を期待できない。
>>
>>条約に加盟すれば、政府間で国際ルールに基づき、こうした問題の解決を図ることになる。
これは一方的な見方です。これよりも数が多く、トラブルが多発している日本人父&外国人母(主にアジア諸国)のケースがまったく考慮されていません。アジアで子奪取ハーグ条約を批准している国が少ないという現実を見てください。
>>返還の是非は、子どもが現にいる国の裁判で決まる。政府は、DVの恐れがあれば、返還を拒否できる仕組みを関連法案に盛り込む考えだ。妥当だろう。
条約は30年前に作られたものです。当時想定をしていなかったモラハラや精神的DVに対して、どのように対応していくのか、また、様々な報告があがっているように、外国では『自国民の子どもは自国の政府が責任を負うのが大原則のため、離婚時に外国人母に引き渡して外国に連れて行かれるのであれば、自国の児童養護施設や里親に任せたほうが、子どもの最善の利益にかなう』という考え方があり、結果として外国籍だとして不利になる現実に対して、どうやって自国民保護を行うのか、提示してほしいと考えます。
>>親権を巡る裁判は、元の居住国で行われるため、不安を抱く日本人の母親は多い。在外公館が、現地の弁護士を紹介するといった支援を行うことも必要だ。
まりんこさんのブログを紹介します。
http://ameblo.jp/kokusai-rikon/entry-10915033275.html#main
日本の在外公館が、『民事不介入の原則により、お手伝いすることはできない』の態度を改めるかどうかに掛かっています。もっと言えば、日本の在外公館の原則は『現地国とトラブルを起こさず、見えるところで友好が図られていれば、それが日本国にとって最善の利益である』という勘違いしている考えであり、これが『在外公館は日本国民の公僕であり、仕事の基本は現地での日本人の権利侵害がないかチェックをし、あればそれを現地国と折衝して正していく』ということを忘れてしまっているところで、実際に支援をしていただけるのか?
上記事例に対して外務省は明確な意思表示をするべきだと考えます。
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http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110614-OYT1T00034.htm
国際結婚の破綻で、両親が国を隔てて子どもの親権を争うケースにどう対応するか――。
政府が、その解決のための国際ルールであるハーグ条約加盟に向け、関連する国内法の整備に入った。
来年にも加盟が実現すれば、一歩前進と言えよう。政府は法整備の際、日本人の権利が一方的に損なわれないよう配慮すべきだ。
「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」は、16歳未満の子どもを、一方の親が無断で外国に連れ去ることを禁じている。居住国から出国した子どもの返還を親が求めた場合、条約加盟国は原則、協力する義務を負う。
親権争いは、元居住国の裁判で決着させるのが、子どもに望ましいとの考え方によるものだ。加盟国は80を超す。日本は欧米各国から加盟を求められていた。
米国では、離婚した日本人が、子どもを連れて帰国し、トラブルとなった事例が約100件に上る。日本が未加盟のため、外国人の親は、子どもの返還どころか、面会もしづらい。
このため、欧米の司法当局は、離婚した日本人に子連れでの帰国を禁じたり、無断で子どもと帰国した母親を「誘拐犯」と見なしたりすることがある。
逆に、日本から子どもが外国に連れ去られても、日本人の親は相手国の協力を期待できない。
条約に加盟すれば、政府間で国際ルールに基づき、こうした問題の解決を図ることになる。
条約は、返還拒否の条件として「子どもに身体的、精神的な害がある」ことなどを挙げている。だが、配偶者間の家庭内暴力(DV)については言及していない。
日本が加盟を長年見送ってきたのは、外国人の元夫によるDVが原因で、日本人の母親が帰国するケースが多かったからだ。母親には、子ども連れで同じ環境に戻ることへの懸念が強い。
返還の是非は、子どもが現にいる国の裁判で決まる。政府は、DVの恐れがあれば、返還を拒否できる仕組みを関連法案に盛り込む考えだ。妥当だろう。
加盟後は、外務省が、日本に連れ戻された子どもの居場所の特定や、裁判手続きの手助けといった役割を担う。外務省には不慣れな国内業務が多い。政府内の連携が欠かせない。
親権を巡る裁判は、元の居住国で行われるため、不安を抱く日本人の母親は多い。在外公館が、現地の弁護士を紹介するといった支援を行うことも必要だ。
(2011年6月14日01時20分 読売新聞)
ここのところ、ハーグ条約と面会交流の話ばかりになっていて、大きなところに眼が行っていなかったのを気づかされました。
一度冷静に読み返してみます。
↓
http://bit.ly/l5ElmP
これが言いたい:ハーグ条約締結問題の放置は許されない=弁護士・大谷美紀子
◇「子の利益」最優先の議論を
国際的な子どもの奪取に関するハーグ条約を締結する方針を政府が発表した。「拙速」との意見があるが、私はそうは思わない。
日本人が他方の親の同意なく子どもを外国から日本に連れ帰ったままになってしまう問題は、2000年代の初めごろから国際的な議論となっていた。にもかかわらず、政府は何の手も打ってこなかった。我々司法関係者も真剣に議論してこなかった。逆に子どもが日本から一方的に連れ出される問題についても手をこまねいてきた。
外国での結婚が破綻し子どもを連れて母国に帰ったところ「誘拐犯」と言われ国際手配された母親。誘拐されたとして写真や名前がウェブサイトに出されたまま、一方の親やその国との関係が断たれたままの子ども。外国の裁判所に子どもを日本に連れ帰ることを止められた母親。ハーグ条約という耳慣れない問題について情報もなく誰にも相談できず、どれだけ心細かったことか。日本から子どもを外国に連れ去られ、どこに相談しても助けてもらえなかった母親・父親がどれだけいたことか。
「家族の問題に国は介入しない」としてこの問題を国が放置することによる最大の被害者は子どもである。国際結婚の破綻に伴う国境を越えた子の監護権紛争は、国家主権の壁や法制度の違いのため、あまりに複雑で、個人の問題として片付けることはできない。解決には国家間の協力が必要である。
政府が条約締結の是非を検討して方向性を決め、締結するならその準備を、締結すべきでないとすれば他の解決策を示すことが急務だった。国民のため、さらに外交的観点から条約に入ることが有益であると判断し、提案することは政府の役目である。締結方針を明確に国民に示した今回の決定を歓迎する。
政府の提案を承認するか否かは国民を代表する国会の判断にかかる。本格的な議論はこれからすればよい。そのために政府は必要な情報を開示し、開かれた形で議論を進めることが必要だ。
条約は国境を越え一方的に元の居住地の国から連れ出されたり、帰されないことによる有害な効果から子どもを保護するために作られた。実際には条約が前提としていた母親の下で監護されている子どもを父親が奪い自国に連れ帰るケースより、子どもを監護していた母親が自国に子どもを連れ帰るケースの方が多いことが報告されている。
*
また、約30年の条約運用の中でドメスティックバイオレンス(DV)から逃れ母国に戻った母親や、子どもを連れ出し刑事訴追を受ける恐れのある母親が子どもと共に戻ることができないケースが問題として浮かび上がってきた。日本で懸念されているこれらの問題は実は、日本特有の問題ではない。問題にどう対処するのか、条約の運用のあり方が国際的に議論されている。
日本が子どもの権利保護の観点からこの国際的なルールに参加し、子どもの人権が確保されるよう国際的な議論に加わるべきであると私はかねて主張してきた。政府は国民に対し条約に入ることがなぜ必要で有益なのか、国際結婚の当事者の不安・懸念にどう応え、どういう支援をしていくのか、さらに担保法の策定をはじめ支援体制の整備の計画を示すべきだ。
課題は多岐にわたる。この条約の運用が真に子どもの利益にかなったものとなるよう、国際世論をリードしてもらいたい。
一度冷静に読み返してみます。
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http://bit.ly/l5ElmP
これが言いたい:ハーグ条約締結問題の放置は許されない=弁護士・大谷美紀子
◇「子の利益」最優先の議論を
国際的な子どもの奪取に関するハーグ条約を締結する方針を政府が発表した。「拙速」との意見があるが、私はそうは思わない。
日本人が他方の親の同意なく子どもを外国から日本に連れ帰ったままになってしまう問題は、2000年代の初めごろから国際的な議論となっていた。にもかかわらず、政府は何の手も打ってこなかった。我々司法関係者も真剣に議論してこなかった。逆に子どもが日本から一方的に連れ出される問題についても手をこまねいてきた。
外国での結婚が破綻し子どもを連れて母国に帰ったところ「誘拐犯」と言われ国際手配された母親。誘拐されたとして写真や名前がウェブサイトに出されたまま、一方の親やその国との関係が断たれたままの子ども。外国の裁判所に子どもを日本に連れ帰ることを止められた母親。ハーグ条約という耳慣れない問題について情報もなく誰にも相談できず、どれだけ心細かったことか。日本から子どもを外国に連れ去られ、どこに相談しても助けてもらえなかった母親・父親がどれだけいたことか。
「家族の問題に国は介入しない」としてこの問題を国が放置することによる最大の被害者は子どもである。国際結婚の破綻に伴う国境を越えた子の監護権紛争は、国家主権の壁や法制度の違いのため、あまりに複雑で、個人の問題として片付けることはできない。解決には国家間の協力が必要である。
政府が条約締結の是非を検討して方向性を決め、締結するならその準備を、締結すべきでないとすれば他の解決策を示すことが急務だった。国民のため、さらに外交的観点から条約に入ることが有益であると判断し、提案することは政府の役目である。締結方針を明確に国民に示した今回の決定を歓迎する。
政府の提案を承認するか否かは国民を代表する国会の判断にかかる。本格的な議論はこれからすればよい。そのために政府は必要な情報を開示し、開かれた形で議論を進めることが必要だ。
条約は国境を越え一方的に元の居住地の国から連れ出されたり、帰されないことによる有害な効果から子どもを保護するために作られた。実際には条約が前提としていた母親の下で監護されている子どもを父親が奪い自国に連れ帰るケースより、子どもを監護していた母親が自国に子どもを連れ帰るケースの方が多いことが報告されている。
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また、約30年の条約運用の中でドメスティックバイオレンス(DV)から逃れ母国に戻った母親や、子どもを連れ出し刑事訴追を受ける恐れのある母親が子どもと共に戻ることができないケースが問題として浮かび上がってきた。日本で懸念されているこれらの問題は実は、日本特有の問題ではない。問題にどう対処するのか、条約の運用のあり方が国際的に議論されている。
日本が子どもの権利保護の観点からこの国際的なルールに参加し、子どもの人権が確保されるよう国際的な議論に加わるべきであると私はかねて主張してきた。政府は国民に対し条約に入ることがなぜ必要で有益なのか、国際結婚の当事者の不安・懸念にどう応え、どういう支援をしていくのか、さらに担保法の策定をはじめ支援体制の整備の計画を示すべきだ。
課題は多岐にわたる。この条約の運用が真に子どもの利益にかなったものとなるよう、国際世論をリードしてもらいたい。