死神とチェス
タイトルはベルイマンの『第七の封印』のなかの有名なワンシーン。
たくさんある彼の作品を全部観たわけではないが、
このひじょうに寓意に満ちた、ある意味コメディ?にも見える映画を初めて観たときは
やたら胸が騒いだのをおもいだす。
紛れもなく死を描いた映画であるのに、妙なほのぼのさだとか、
へんな明るさみたいなのがあって、それがかえって不気味でしかたなかった。
ひとびとがあつまって野いちごを!野いちごを食べる楽しげなシーンのすみっこで髑髏が揺れてたりね!
そうだどんなに仕合せそうにしてたって、
どんなに祈ったって、みんな100%、絶対に死ぬわけなのだ。
わたしはベルイマンを語れるほどには知らない。
詳しく知りたければ、大学の図書館に並んでいる数多の研究本を読んだらいいことだ。
それでもわたしは『野いちご』をわすれられない。
人生の最期にさしかかって、来し方を振り返る老教授。
若いころの思い出の中にでてくる少女と、野いちごの実。
実存主義のこの映画は、そーか人は死んじゃうんだ、ぜったいに100%死んじゃうんだ、
そのことを忘れちゃいけない。ならば、どうやって生きるのがいいのかな、
ちゃんと毎日考えよう、とハッとさせられた最初の1本だった。
次の日から、世界のいろが変わって見えたのを覚えている。
そのベルイマンの訃報を、けさの新聞で知った。
彼の目には、死の直前、どんな風景が見えていたことだろう。
イングマル・ベルイマン監督のご冥福をお祈りします。
