アッシェンバッハの彼岸から -101ページ目

映画比較文化論みたいなもの

下の記事である。

「へえ~通訳って案外適当なんだね」

なんていう意見をもらってしまったので多少手を入れました。

通訳は適当なんじゃなく、たぶんわざと言い換えたってことが面白かったのだ。

なぜって、スコセッシが熱くなりすぎて会見の本来の目標(映画の宣伝)から逸脱しまくってるから。

んー。わたしって相変わらず文章力が足りないのね。。。


ちなみに、この映画について書いた部分は、長くなったのでこちらに。

この映画はわたし好みとは云い難いジャンルの映画。
世間じゃ全く話題になる前の、今から2ヶ月ほど前に観たのだが、
よくできた映画で、さすがは巨匠監督だな、と唸った覚えがある。
ただしこれ、もともと大ヒットした香港映画のリメイクなのだが、オチのつけかたからして全くちがう。
リメイク元じゃ物語の核となる「無間地獄」という観念は、アメリカ人にはピンと来なかったのか、

いろんな意味でアメリカ仕様に翻案してある。

うまくできた脚本で、映画としての面白さはあちこちにあるし、

忠実にリメイクされている部分も随所に見られるのだが、

元の映画のファンなら「こりゃ別物だよ」とおもうかもしれない。
でもあくまでアメリカ映画として観れば、非常によく出来てる。
アジアと欧米の、死生観の違いを知るためにも、両方を見比べてみることはいいかもしれない。
アメリカ人にとったら、生きるか死ぬかだけなんですね。勝ちか負け。白か黒。
きちんときちんと説明してくれるところもアメリカ仕様。



下の記事を書いたのは公開前でしたが、予想通り興行成績ナンバーワンに躍り出ましたね。

そんで、2位が『マリーアントワネット』。これについてはあまりに好きなので試写含む2回鑑賞。

ちなみにわたしがあるところで酷評した硫黄島からの手紙』と『愛ルケ』が、

この2本の公開によりやっと上位から滑り落ちてくれました。

これらが1位やら2位になってしまうほど、日本の民度が低下しているのはなぜか。

わたしは、数ある理由のうちのひとつにシネコンとゆうやつがあるとおもっている。


シネコンって座席予約はできるし前のオヤジの頭にイラつかずに済むし、本当に便利。

だけど、どうも好きになれないのだ。

まずあの、ディズニーランドのアトラクションみたいにピカピカした内装・・・

映画館全体に漂うポップコーンの匂い・・・

違う。わたしがシネコンをあまり歓迎していないいちばんの理由は、

シネコンのせいで日本の映画文化はどんどん娯楽方面へと方向を変えつつあるということ。

それはそれでいいのだ。映画は昔から庶民の娯楽でもあるんだから。

『ディパーテッド』だって娯楽作品だし、

娯楽作品が売れたことで映画文化が盛り上がれば、それはそれで素晴らしい。


けれど、お金を払ってじっくり向き合う映画というものが、

どんどん画一化、それもテレビ化しているのだけはいただけない。

最近、洋画より邦画が熱いだとかいわれてるのは、要は邦画の質が向上したというなく、

単に映画がテレビ化してるだけってことなのだ。

テレビがなかった昔はともかく、今はどこの家の茶の間にもテレビがあって、

その上で映画という媒体があるのです。映画は映画でなくては。


特に目的もなく、デートか何かでシネコンを訪れた人たちが、

そこでやってるいくつもの映画の中からどれかひとつを選ぶ映画と言ったら、

どういう内容かが全くわからない作品よりも、

「なんかテレビでこの映画のことやってた」

「俳優の誰某がテレビに出てこの映画のこと宣伝してた」

という作品になりやすいわけだ(デスノートなんか一番いい例ですね)。

人々は未だにマスコミ(特にテレビ)に踊らされてるってわけなのだ。


そもそも、映画はテレビドラマと違う。

テレビは小さな画面で、わかりやすいよう、次の週も見たくなるよう、

ただた快楽原則に則った脚本で進められて行くものだとおもっている。

そもそも、客は1銭も払わなくたって製作者側にメリットが出るものなのだ。

映画はちがう。わたしたちは自分で選んで、高いお金を払って、わざわざ観に行く。

暇を潰すためではなく、何かを得るために。全身で感じるために。

良い映画を観た後は、映画館を出ると自分が生きている世界が違って見えるものだ。


翻って最近は、ただただ2時間飽きない、っていうだけの映画ばかり。

公開作10本の8本までは必ずそう。

仕事で大量に、自分の好みと無関係に映画ばかり観ていると、

そういう理由で感覚が疲れて磨り減ってくるんだ。

それで、ときどき足許が見えなくなる。

そもそも映画ってわたしにとって何だったっけ?わたしは映画が好きなんだったっけ?

だから寝不足になってもバスター・キートンやウディ・アレンや小津安二郎を観たくなるのだ。