~蒼空悠舞~ 蒼島えいすけ オフィシャルブログ -14ページ目

今日の天気は雨

静かな夜の空気の中、小雨が道路を濡らす。片手をポケットに突っこんだままスルスルと自転車を走らせ、ハンドルを持つ手の脇には小さなコンビニの袋がひとつ。中味はカフェオレと、、、お香典袋。


俺にこんなもん買わせんなよ。


通り過ぎてゆく街灯で四方から現れては消え、伸びては回り込んでくる自分の影を見るともなく見ながら、真夜中過ぎのお使いを済ませる。

初めて見る友人の父は繊細さと思いやりを持つ彼とそっくりだった。奥さんに支えられながらでないと足元もおぼつかないようすとは裏腹に、息子の早過ぎる死についてハッキリとした口調で「断腸の思いです」と語った。

もう半年位前から音信不通だった。でも自由な彼は以前も同じような事があったので、必要以上の心配はしないで、みんな信じて待っていた。発見された時は東北の橋にぶら下がっていたらしい。ほんの三、四日前の事だ。彼が居なくなってからつい最近までどこで何をして居たのか、何を思いどう苦しんでいたのか誰も分からない。

彼が姿と消したのは震災より前。でも最後は東北に居た。そこからどんな景色を見ていたのだろう。

お別れを言う刻が来て、遠目に遺体を見たら憤りがこみ上げて来た。


「おまえ、っざけんなよ」


理由はわからない。理屈じゃない。でも近づいて顔をよく見たら、口が少し歪んでいた。余程苦しんだ据えの結果だったろうと気付いたら怒りは自然に落ち着いて、涙が滴れた。

イメージにさえなら無い感情が湧き上がるなか、横たわる彼の表情をみながら彼がもうそこに居無いと悟った。いつもの少し困ったような笑顔は無く、みたこもないニュートラルな顔だった。何の色もない絶対的な無。嬉しさも悲しさも、怒りも苦しみも、存在さえ無い。肉体は魂の器だって言うのは本当だと思った。

すごく思いやりがあって、繊細で、真摯で、不器用で、実は頑固。アーティストを絵に描いたようなヤツだった。初めてライブを観たときはイケメンのチャラ男だと思ったのに、後日会ったら引き籠りのオタクだった。スタジオの帰りとかにみんなで飲みに行くと、外人ノリのメンバーに無茶ぶりされたりして、少し困った顔をしながら楽しそうに笑ってるカミナリ頭が忘れられない。

俺がこれから役者を目指すってときに、自分はバンドマンとしてプロデビューし、紆余曲折を経て、引退を選んだばかりだと言うのに、俺のヤル気を削ぐような事は何も言わず、高説もたれず、ただ自分の経験から得た気の持ち方だけを授けてくれた。Bunkamura近くの中華ソバ屋で教わったこの言葉は本当に今でも定期的に引っ張り出してきて確認してる。それと新宿のハブで言われた言葉。「女の子と話すときに態度が変わるのは、人によってはよくないと思われるかもしれない。」気にして直してんだけど、ちゃんと改善されてんのかな。もう聞けねーよ。

死ぬとはどう言う事か。哲学的な話しじゃなくて、実際周囲の人達にどう言う影響があるのか改めて思い出した。きっと本来なら死に触れる機会はもっと頻繁にやって来て、生と死のサイクルをよりリアルに捉えられる筈なのに、超高齢化が進むこの世界ではあまり死に出会わず、生がボヤける。

旅立った彼を責める気は全く無い。もうこれ以上苦しむ事は無いからそれが救い。でもやはりヒトは死んではいけないんだと思った。死ぬ事で回りに与える傷は金輪際消え無いから。忘れる事は出来ても、癒える事は絶対無いから。


本番3日前にしての知らせ。二日前に朝から葬式。後通し稽古。どう捉えていいのか正直わからん。気持ちの切り替えは出来る方だから本番に影響は無いけど、家に帰ってくるとなんだか心が重い。


33年間お疲れ様でした。

俺はカツに出会えて本当に感謝してるよ。

ありがとう。


初舞台!!!の稽古初日。


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帰国して早半年、、、やっと日本での初舞台ゲットだぜぃ!!
豊島照久さん作・演出の「匂いのないものたち」って言う芝居。
上の写真はその台本。

今日はその舞台の初顔合わせ&本読み。
豊島さんから色んな説明があった後、俺たちもウォーミングアップを兼ねて幾つかエチュードをやりながら彼の目指す演劇を探る。普段俺が慣れている演技のスタイルとは違ったモノを目指してるそうで、豊島さん曰く、「不条理とされるの戯曲はあっても、ちゃんとした不条理の演技法が無い。」だから台詞はポンポンとテンポよく言いながらも、それとは全く関係の無い動作するって感じの不条理演技をやりたいらしい。当然それだけじゃ無くほかにもきっと沢山やりたい事はあるんだろうけど、俺がまだ全然掴みきれてない。まぁ初日だし、それは当然。これからの稽古でどれだけ掴んでいけるかが勝負だな~って思う。ぶっちゃけ凄いチャレンジだなと思うけど、それがスゴク楽しみ。果たして、彼の目指す演劇が俺の好みかどうかとか、観客に受け入れられるかとかは別にしても、未知の領域を開拓出来るこんなチャンスはなかなかない。

役者さんも色んな人達が集まっていて、とっても興味深い。
みんなそれぞれに色があって、得意なものをもってる。
結構キャスティングあってるなぁって思うから一体何人オーディションしたのか漠然と気になる。

そして何よりも俺にとって嬉しいのは日本の演劇の空気に触れられた事。
まぁここは星の数ほど有る現場の一つで、しかもまだ初日だから一体どれだか分かるのかって言うのはあるけど、
やっぱり自分と違った常識って言うのは触れればわかるし、とりあえず新鮮だった。
印象としては結構みんな形から入ってるのかな~って感じ。「こういうキャラはこういう風に」って演じ分けが出来てて、滑舌や発声を含めてイントネーションや声色のコントロールとか技術が高い。ここ、俺は殆どノータッチの部分で、さすがにスピーチは苦手だったから頑張ってたけど、日本語の滑舌とかマジ終わってる。今回の舞台ではコレが俺個人での最重要課題。がむばる!!

では、明日のあるので寝るべし!!


文学座アトリエ公演、エドワード・アルビー作「山羊…それって…もしかして…シルビア?」


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文学座アトリエ公演、エドワード・アルビー作「山羊…それって…もしかして…シルビア?」を観て来た。

文学座のアトリエ初めて入ったけど、まず建物がいい感じ♪ 昔の倉っていうか民家っぽい階段とか、名札付きの造り付けの下駄箱とか、昭和っぽさに歴史と当時の意気込みが感じられる。なんか傷んだ木造りの感じがすごく好きだった。

まぁ、それはさて置き、中を進むとアトリエがある。低い3/4 thrustって言うタイプのステージが白く塗った木の板で作られていて、その上に青錆のついたガーデンチェアみたいのとか白木のカウチとかが配置されてる。なんだか寂しい心の風景とかの描写にありそうな殺風景な感じに、若干の不思議さをプラスした感じ。(不条理劇だしw)

ストーリーは表面的に見ると、まぁ、獣姦の話、、、なんだけど、これって実は価値観の違いが軸になってるストーリーなんだと思う。理想の夫婦が夫の浮気が原因で崩壊する。「山羊!?アンタやぎとセックスしてるの!!?」まぁそれは確かにオカシイ。でも夫は言う「いや、君は何にも分かっていない!僕は彼女を愛しているんだ!!」奥さんに向かって俺は違う女(メス?)を本気で愛しているって言い放つのもどうかと思うが、それを差し引いても山羊を真顔で彼女と呼ぶ神経は確かに「普通」とされる範疇にはない。けど、もしコレが若い女の子なら?昼メロの定番。逆に葛藤に欠ける勢い。じゃぁ若い男の子なら?段々難しくなってくる。なんとなくコレの延長線の果てにヤギが居るような気がする。たまたま一世一代の恋に落ちた二人がおじいさんと少女だったとか、惚れた相手が宇宙人で月に帰るとか、想定外の事態が起こってしまった時の悲劇。その一種の悲運を除いて、本人の思考は至って正常。無秩序が支配する狂人とは違う。問題は本人の外にあるからむしろ当人も被害者かな?なんて。。。まぁ要するに後藤さん待ってるような不条理劇とかとはちょっと違って、設定こそぶっ飛んでるけど、キャラクター達の心の流れとかはフォローし易いから意外とスムーズにお芝居を楽しめるんじゃないかなって思いました。

エドワード・アルビーの作品を文学座はどうやるのかなって言うのにすごく興味があって、結果、演出すごく好きだった。セットもそうだし、俺はあんまり演出の事を細かくは分からないけど、なんとなく品と芸術性と旨味みたいなののバランスが超いいなぁって思った。開演前から舞台両脇に並べられた陶器にライトが当たってた割には全然それに触れないなーって丁度疑問に思いはじめた位で、キレた奥さんが一つ床に叩きつけて実際に木っ端みじんにした。これ、大きなプロセニアム劇場でやったらいまひとつだろうけど、低い3/4thrustのステージでやられるとショック度大。アトリエならではの臨場感を活かした演出がイカス。

役者さんは親友役の若松さんが好きだった。主人公に対する彼の台詞も無い細かなリアクションが個人的にドンピシャで、観ながら「そうだよね!」って勝手に共感してたw あと息子役の若い人が意外にもうまいな~って思った。

文学座のお芝居を観たのは自主公演も含めて三つ目。ここの作る舞台スキだな~って思う。俺は普段あんまり不条理劇好きじゃないんだけど、今回はとっても楽しめた!アナタも安心の文学座クウォリティーで苦手な不条理劇をエンジョイ出来るチャンスかも!?