米・宇宙戦略
【National Security Space Strategy, Jan 2011】（PDF）
●The United States will support development of data standards, best practices, transparency and confidence-building measures, and norms of behavior for responsible space operations. We will consider proposals and concepts for arms control measures if they are equitable, effectively verifiable, and enhance the national security of the United States and its allies. （pp.5-6）
●…the United States will retain the right and capabilities to respond in self-defense, should deterrence fail. We will use force in a manner that is consistent with longstanding principles of international law, treaties to which the United States is a party, and the inherent right of self defense. （p.10）
【The National Military Strategy of the United States of America 2011】（PDF）
●We will support whole-of-nation approaches to establishing and promoting norms, enhancing space situational awareness, and fostering greater transparency and information sharing. We will work with allies and partners to enhance space capabilities enabling coalitions and improving space architecture resiliency. We will also train for power projection operations in space degraded environments that minimize incentives to attack space capabilities, and will maintain a range of options to deter or punish such activities. （pp.9-10）
【XXXXX】
●オバマ政権は、EUが提案している行動規範に前向きであるのと同時に、中露が提案している宇宙軍備管理に関する条約については牽制
●宇宙の安全や安全保障をめぐる状況が複雑化している中で、米国は様々な措置を講じることでそうした懸念の緩和・解消を図ろうとしているが、その中には軍事的な措置も含まれることが示唆されている。他方、規範の促進、宇宙状況認識の強化、透明性や情報共有、宇宙アセットの強靱化の改善などは日本も積極的に取組、また米国などと協力できる分野だと思われる
●The United States will support development of data standards, best practices, transparency and confidence-building measures, and norms of behavior for responsible space operations. We will consider proposals and concepts for arms control measures if they are equitable, effectively verifiable, and enhance the national security of the United States and its allies. （pp.5-6）
●…the United States will retain the right and capabilities to respond in self-defense, should deterrence fail. We will use force in a manner that is consistent with longstanding principles of international law, treaties to which the United States is a party, and the inherent right of self defense. （p.10）
【The National Military Strategy of the United States of America 2011】（PDF）
●We will support whole-of-nation approaches to establishing and promoting norms, enhancing space situational awareness, and fostering greater transparency and information sharing. We will work with allies and partners to enhance space capabilities enabling coalitions and improving space architecture resiliency. We will also train for power projection operations in space degraded environments that minimize incentives to attack space capabilities, and will maintain a range of options to deter or punish such activities. （pp.9-10）
【XXXXX】
●オバマ政権は、EUが提案している行動規範に前向きであるのと同時に、中露が提案している宇宙軍備管理に関する条約については牽制
●宇宙の安全や安全保障をめぐる状況が複雑化している中で、米国は様々な措置を講じることでそうした懸念の緩和・解消を図ろうとしているが、その中には軍事的な措置も含まれることが示唆されている。他方、規範の促進、宇宙状況認識の強化、透明性や情報共有、宇宙アセットの強靱化の改善などは日本も積極的に取組、また米国などと協力できる分野だと思われる
【パキスタン】4基目のPu生産炉の建設
【Albright and Brannan, “Pakistan Appears to be Building a Fourth Military Reactor at the Khushab Nuclear Site” ISIS Report, Feb 9, 2011】
http://isis-online.org/isis-reports/detail/pakistan-appears-to-be-building-a-fourth-military-reactor-at-the-khushab-nu/
●パキスタンはクシャブに、4基目の原子炉を建設。建設の初期段階だが、2基目、3基目の原子炉と同様の大きさ
●パキスタンは、核兵器用のプルトニウムの生産を一層拡大する決意
【“Nuclear experts say Pakistan may be building 4th plutonium reactor” Washington Post, Feb 9, 2011】
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2011/02/09/AR2011020906388.html
●ハイノネン：「追加的なPu生産炉の開始と、さらなる再処理能力の建設は、パキスタンが第二撃能力を発展されているかもしれないという兆候」
【XXXXX】
●パキスタンがすでに建設した2基の原子炉からは、1年間に核兵器2個分のPuが生産されると見られている
●パキスタンによるPu生産の拡大→核弾頭数の増加の可能性は、インドとの南アジアにおける軍備競争をもたらす可能性
●パキスタンの核管理に対する懸念は払拭されておらず、Puや核弾頭の増加は、この点からも核に関する脅威を高め得る
●パキスタンが兵器用核分裂性物質の一層の生産を模索しているとすれば、CDにおけるFMCT交渉の開始にパキスタンが合意する可能性は、やはり低いのであろう。
http://isis-online.org/isis-reports/detail/pakistan-appears-to-be-building-a-fourth-military-reactor-at-the-khushab-nu/
●パキスタンはクシャブに、4基目の原子炉を建設。建設の初期段階だが、2基目、3基目の原子炉と同様の大きさ
●パキスタンは、核兵器用のプルトニウムの生産を一層拡大する決意
【“Nuclear experts say Pakistan may be building 4th plutonium reactor” Washington Post, Feb 9, 2011】
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2011/02/09/AR2011020906388.html
●ハイノネン：「追加的なPu生産炉の開始と、さらなる再処理能力の建設は、パキスタンが第二撃能力を発展されているかもしれないという兆候」
【XXXXX】
●パキスタンがすでに建設した2基の原子炉からは、1年間に核兵器2個分のPuが生産されると見られている
●パキスタンによるPu生産の拡大→核弾頭数の増加の可能性は、インドとの南アジアにおける軍備競争をもたらす可能性
●パキスタンの核管理に対する懸念は払拭されておらず、Puや核弾頭の増加は、この点からも核に関する脅威を高め得る
●パキスタンが兵器用核分裂性物質の一層の生産を模索しているとすれば、CDにおけるFMCT交渉の開始にパキスタンが合意する可能性は、やはり低いのであろう。
【イラン】ブレークアウト能力に関する分析
【濱田和子「イラン核兵器開発疑惑においてウラン濃縮能力が持つ意味—ブレークアウト・シナリオへの展望」『国際安全保障』第38巻第3号（2010年12発）69-71頁。】
●ブレークアウト・シナリオ：イランがNPTから脱退せずに、現存の保障措置下にある施設を用いて、秘密裏に兵器級高濃縮ウランの生産に着手し、探知される前に最低でも核爆弾1個分の必要量25kg以上を確保；1ヵ月に1度の割合で無通告査察が実施→ブレークアウト・シナリオとして許される日数は30日以下
●遠心分離機を再構成せずに、濃縮された製品を供給物質として遠心分離機に繰り返し供給して濃縮度を高める方法
●ブレークアウトを可能にし得る条件
- 濃縮度4.4％のUF6約1356kg、または濃縮度20％のUF6約181kgを供給物質として確保
- 供給物質の濃縮度が4.4％の場合は、1機あたりの分離作業量を2kgSWU近くにまで高め、すでにFEPに設置済みの8000機をフル稼働させること。もしくは、遠心分離機を15000機まで増設しフル稼働させる（イランの遠心分離機の製造能力（約140機／月）では増設には4年ほどかかると推定）
- 濃縮度が20％のUF6を180kg余り保有した場合には、遠心分離機稼働機数を8000機、もしくは3000機の場合は分離作業量2kgSWU弱を達成すること
【Fitzpatrick, “Iran's Nuclear, Chemical and Biological Capabilities - Executive Summary” 3 Feb 2011】
http://www.iiss.org/publications/strategic-dossiers/irans-nuclear-chemical-and-biological-capabilities/press-statement/
●イランがナタンズにある4000機の遠心分離機を使用し、これが最大限のアウトプットを生産し続けるとすれば、最初の核爆弾のためのHEUを生産するのに1年7ヵ月ほど要する。最初の核爆弾には、3.5％のLEUが2900kg必要（2010年末の時点で、イランはすでに保有）。2発目以降は1300kgのLEUで最低32週で兵器用HEUを生産
●HEUを兵器に使用すべく加工するのに、少なくとも6ヵ月は要する
●こうした方法によってイランが最初の核兵器を生産する場合、2年以上を要するであろう
●ブレークアウト・シナリオ：イランがNPTから脱退せずに、現存の保障措置下にある施設を用いて、秘密裏に兵器級高濃縮ウランの生産に着手し、探知される前に最低でも核爆弾1個分の必要量25kg以上を確保；1ヵ月に1度の割合で無通告査察が実施→ブレークアウト・シナリオとして許される日数は30日以下
●遠心分離機を再構成せずに、濃縮された製品を供給物質として遠心分離機に繰り返し供給して濃縮度を高める方法
●ブレークアウトを可能にし得る条件
- 濃縮度4.4％のUF6約1356kg、または濃縮度20％のUF6約181kgを供給物質として確保
- 供給物質の濃縮度が4.4％の場合は、1機あたりの分離作業量を2kgSWU近くにまで高め、すでにFEPに設置済みの8000機をフル稼働させること。もしくは、遠心分離機を15000機まで増設しフル稼働させる（イランの遠心分離機の製造能力（約140機／月）では増設には4年ほどかかると推定）
- 濃縮度が20％のUF6を180kg余り保有した場合には、遠心分離機稼働機数を8000機、もしくは3000機の場合は分離作業量2kgSWU弱を達成すること
【Fitzpatrick, “Iran's Nuclear, Chemical and Biological Capabilities - Executive Summary” 3 Feb 2011】
http://www.iiss.org/publications/strategic-dossiers/irans-nuclear-chemical-and-biological-capabilities/press-statement/
●イランがナタンズにある4000機の遠心分離機を使用し、これが最大限のアウトプットを生産し続けるとすれば、最初の核爆弾のためのHEUを生産するのに1年7ヵ月ほど要する。最初の核爆弾には、3.5％のLEUが2900kg必要（2010年末の時点で、イランはすでに保有）。2発目以降は1300kgのLEUで最低32週で兵器用HEUを生産
●HEUを兵器に使用すべく加工するのに、少なくとも6ヵ月は要する
●こうした方法によってイランが最初の核兵器を生産する場合、2年以上を要するであろう
スーダン南部の独立
【「スーダン南部の独立確定、石油利権の分配がカギに」ロイター、2011年2月8日】
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-19441020110208
●スーダン南部の分離独立に関する住民投票は、98.83％の賛成という結果となり、独立が確定した。
●スーダンのバシル大統領は、住民投票の結果を受け入れると表明。また、南部自治政府のキール大統領も、国際社会からの制裁解除や対外債務支払い免除に向けて北部と協力する意向を明らかにし、融和ムードを強調。
●南北スーダン間には依然、石油利権の分配をめぐる協議など未解決の問題も多く、地域の経済的・政治的な安定に向かうかどうかは不透明な要素も残されている。
【Andrew S. Natsios and Michael Abramowitz, “Sudan's Secession Crisis” Foreign Affairs, Jan/Feb 2011】
●住民投票から6カ月の移行期間が設けられているか、この間が、南北間などでの暴力的な対立の可能性が最も大きくなる
●石油利権の問題はあるが、他方で南北はともに石油からの歳入に今後も依存するであろうし、石油を通じて、経済的には相互依存関係にあり、協力なしには双方ともに歳入がすぐに枯渇＜For all their differences, the north and the south will remain dependent on each other after the referendum, if only because both need oil revenues. And so one way to avert violence might be to encourage the two sides to cooperate in the name of their economic codependence. The vast majority of Sudan’s oil reserves may be in the south, but most of the infrastructure necessary to export that oil—pipelines and a port—are in the north. Thus, without cooperation between the north and the south, oil revenues could quickly dry up for both.（p.26）＞
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-19441020110208
●スーダン南部の分離独立に関する住民投票は、98.83％の賛成という結果となり、独立が確定した。
●スーダンのバシル大統領は、住民投票の結果を受け入れると表明。また、南部自治政府のキール大統領も、国際社会からの制裁解除や対外債務支払い免除に向けて北部と協力する意向を明らかにし、融和ムードを強調。
●南北スーダン間には依然、石油利権の分配をめぐる協議など未解決の問題も多く、地域の経済的・政治的な安定に向かうかどうかは不透明な要素も残されている。
【Andrew S. Natsios and Michael Abramowitz, “Sudan's Secession Crisis” Foreign Affairs, Jan/Feb 2011】
●住民投票から6カ月の移行期間が設けられているか、この間が、南北間などでの暴力的な対立の可能性が最も大きくなる
●石油利権の問題はあるが、他方で南北はともに石油からの歳入に今後も依存するであろうし、石油を通じて、経済的には相互依存関係にあり、協力なしには双方ともに歳入がすぐに枯渇＜For all their differences, the north and the south will remain dependent on each other after the referendum, if only because both need oil revenues. And so one way to avert violence might be to encourage the two sides to cooperate in the name of their economic codependence. The vast majority of Sudan’s oil reserves may be in the south, but most of the infrastructure necessary to export that oil—pipelines and a port—are in the north. Thus, without cooperation between the north and the south, oil revenues could quickly dry up for both.（p.26）＞
ダーティボムへの懸念
【“WikiLeaks: al-Qaeda 'is planning a dirty bomb'” Telegraph, 2 Feb 2011】
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/wikileaks/8296956/WikiLeaks-al-Qaeda-is-planning-a-dirty-bomb.html
●ウィキリークスに公表された外交文書では、アルカイダがダーティボムの取得に近づいていること、また「workable and efficient」な生物・化学兵器の製造も近いことへの懸念が高まっていることが記されている。
【“Foiled: plot to devastate capital with a radioactive 'dirty bomb'” Evening Standard, 2 Feb 2011】
http://www.thisislondon.co.uk/standard/article-23919800-foiled-plot-to-devastate-capital-with-a-radioactive-dirty-bomb.do
●2004年に海外のテロリストがロンドンでダーティボムを用いたテロを計画していたが、英、米、パキスタンの情報機関によって阻止された。Former shadow security minister Patrick Mercerも、この計画の存在を認めた。
【XXXXX】
●2010年の核セキュリティ・サミットでは、核兵器テロの防止に焦点があてられていた。放射性物質を利用したテロによる人命などへの物理的な損害は核兵器テロよりもはるかに小さい。しかし、放射性物質の入手は核分裂性物質よりも容易であるとされ、これを用いたテロの蓋然性は高く、経済や日常生活に及ぼす影響は小さくないと予想される。
●核兵器テロ対策の一層の努力が不可欠であるが、同時に2012年にソウルで開催される核セキュリティ・サミット、あるいは他の枠組みで、放射性物質テロを防止するための国際的な取り組みに関する議論の活性化が求められる。
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/wikileaks/8296956/WikiLeaks-al-Qaeda-is-planning-a-dirty-bomb.html
●ウィキリークスに公表された外交文書では、アルカイダがダーティボムの取得に近づいていること、また「workable and efficient」な生物・化学兵器の製造も近いことへの懸念が高まっていることが記されている。
【“Foiled: plot to devastate capital with a radioactive 'dirty bomb'” Evening Standard, 2 Feb 2011】
http://www.thisislondon.co.uk/standard/article-23919800-foiled-plot-to-devastate-capital-with-a-radioactive-dirty-bomb.do
●2004年に海外のテロリストがロンドンでダーティボムを用いたテロを計画していたが、英、米、パキスタンの情報機関によって阻止された。Former shadow security minister Patrick Mercerも、この計画の存在を認めた。
【XXXXX】
●2010年の核セキュリティ・サミットでは、核兵器テロの防止に焦点があてられていた。放射性物質を利用したテロによる人命などへの物理的な損害は核兵器テロよりもはるかに小さい。しかし、放射性物質の入手は核分裂性物質よりも容易であるとされ、これを用いたテロの蓋然性は高く、経済や日常生活に及ぼす影響は小さくないと予想される。
●核兵器テロ対策の一層の努力が不可欠であるが、同時に2012年にソウルで開催される核セキュリティ・サミット、あるいは他の枠組みで、放射性物質テロを防止するための国際的な取り組みに関する議論の活性化が求められる。